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クルマ最終更新日:2017.07.05 公開日:2017.07.05

【AI・人工知能EXPO】 認識能力にすぐれた人工知能が、 人手不足問題を解消する!?

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4か国語を話す人工知能接客システム「さくらさん」

 さまざまな業界で人手不足が課題となっている。人に代わって業務を行うAI=人工知能が注目されている中、日本初のAIを活用した技術やサービスの展示会「第一回AI・人工知能EXPO」が6月28日~30日、東京ビッグサイトにて開催され、3日間で約8万人の来場者を記録した。

4か国語対応の対話型人工知能

 会場に等身大のディスプレイが設置され、ビジターの目を引いていたのは、ティファナ・ドットコム社の「さくらさん」という対話型人工知能だ。日本語のほか英語、中国語、韓国語の4か国語を話すアニメキャラ・さくらさんは、PC、スマホ、タブレットなどマルチデバイスに対応し、以下のような接客・窓口業務を行うことができる。

ヘルプデスク対応 社内のPCに設置することで、埋もれている資料を探す手間を大幅に短縮したり、申請書の作り方を説明したり、社内手続きのガイダンスを行い、業務担当者の負担を軽減する。さくらさんに蓄積された情報は全社員に共有できるため、「あの人に聞かないと分からない」といった属人化する仕事がなくなる。
コールセンター業務の軽減 商品の使い方やマニュアルの説明、注文手続きの方法など、よくある問い合わせに24時間365日Web上で対応する。
受付対応(コンシェルジュ) 受付や観光案内として人に代わって対応する。スタジアムで行きたい場所への行き方や座席位置までのナビをしたり、ショッピングモールで「おススメのお店は?」と質問をすれば、対話形式で顧客のニーズを引き出し最適なお店へと誘導する。
インバウンド接客 店頭での接客で4か国語に対応する。難しい質問の場合はボタン1つで通訳オペレーターに直接つながる。

 この対話型人工知能は、顧客や社員の知りたい情報を即時に表示することで、様々な仕事の効率化がなされるだけでなく、顧客の声を抽出して、商品開発に使用するなどマーケティングにも活用できるという。

さくらさんがアニメキャラなのは、日本のアニメに対する海外からの関心の高さを意識してだという。アニメのほかにも企業用キャラもあるし、オリジナルキャラの作成も可能だ。

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人工知能ロボットはさらに進化

受付に愛嬌あるAIロボットを

 ペッパーくんのような人工知能ロボットも、小型のものが出展されていた。
 「Kibiro」は、対話やチャットでのコミュニケーションを重ねることにより、ユーザーの趣味や嗜好を学習し、ユーザーにぴったりのおすすめ情報を提供する人工知能ロボットである。企業用と一般販売モデルがあり、一般ユーザー用の価格は15万円。ロボットと一緒に暮らしたいという人にとっては、魅力的な価格となっている。

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人工知能ロボットKibiro

 テーブルトップ型のKibiroは、タブレットとセットで受付業務を行う。システム連動したKibiroを受付に設置すると、来訪者の自動検知や、担当者の呼び出しなどの業務が可能だ。コストの問題で受付に人を雇えないが、無人受付では顧客に対して歓待の姿勢がないという企業にとって、ロボットクリエーター・高橋智隆氏がデザインした愛嬌のある容姿のKibiroはおもてなしの役割をし、設定をすれば「先週のお食事はどうでしたか?」など待ち時間に顧客と個人的な対話をすることもできる。

Kibiroが行う受付業務

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認識能力はもはや人間以上?

目を持つようになった機械

 コンピューターがデータの特徴を学習して事象の認識や分類を行う能力は、AI技術の中でも、特に「ディープラーニング」という新しい機械学習手法によって飛躍的に上昇。すでに人間の認識能力を超えるようになったともいわれている。これは、従来人間がやっていた仕事や職業に大きな変化をもたらす可能性がある。

 株式会社アジラは、この認識能力を活用して社会や人の役に立つAIサービスの開発を行っている会社であり、以下のようなサービスを提供している。

車両認識
行動認識 高齢者に特化した行動認識サービスで、様々な行動を認識化し、高齢者の見守りサービスとして活用する。
不審者認識 挙動不審者や万引き常習犯を特定し、アラートをあげるサービス。
コンテンツ検索 猥褻画像など公開するのにふさわしくないコンテンツを認識し、どのくらい不適切かをパーセンテージとして判断し、コンテンツのブランド価値を守る。

AIにできることはAIに

 ①の車両認識とは、スマホなどで撮影した画像から車両のメーカー、車種、カラー、ナンバープレートといった情報を取得するサービスを、月額1万円という低価格で提供するものである。このサービスは、車両の管理、防犯、統計、マーケティングなど幅広い分野での活用を可能とする。
 例えば、車種と年収は相関関係にあるというデータがあるが、クルマの購入に来た顧客のクルマを認識させることで顧客の年収に応じた対応をしたり、現在広告代理的が実験的に行っている道路のデジタル広告に、ドライバーのニーズに沿った広告を流すといった取り組みに導入できそうだ。

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テストではミニカーでも車両の認知がなされた。もちろん実際の車両の方が認識の精度が高い。© asilla

 また、数字の認識においてもAIは効果的であるという。工場での残業申請書を、事務職員がデータ化するために入力している会社は今も多いそうだが、AIを使った高精度な読み取りで自動的にテキストデータ化すれば、今までタイピングで2週間かかっていた200枚の打ち込み作業を、10分に短縮化することができると代表取締役の木村大介氏はいう。

 100社以上の企業が出展し、活発な商談が行われていたAI・人工知能EXPOは、初日から活況を呈していた。人工知能のビジネス活用が今後大きな市場になるであることを予想させる。

2017年7月5日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)

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