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最終更新日:2018.03.20 公開日:2018.03.20

【自動車カメラマンの、旅のしおり】佐賀県・有田町(前編)

数ある焼き物の中でも日本全国津々浦々、広く知られているのが有田焼。今回は有田焼で有名な、佐賀県有田町を"軽く"巡ります。

写真提供 有田観光協会

 ちなみに、和歌山県にみかんで有名な有田市がありますがこちらは”ありだし”。佐賀県にあるのは”ありたちょう”です。念のため……

 さて、そんな有田町の有田焼。その歴史は古く、400年もの昔から磁器が焼かれていたといいます。日本最古の焼き物の町でありながら、「有田焼」という名称自体が一般的に使われるようになったのは、なんと明治時代以降だそうです。

 それ以前は商品の積み出し港のある隣町の名をとって「伊万里焼」と呼ばれていたそうです。つまり江戸時代は有田で焼いても、伊万里で焼いてもみんな「伊万里焼」だったようです。そういえば古伊万里っていう言葉はよく耳にしますが古有田って言葉は聞いたことがありませんね。

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交通手段をどうしよう?

ゆっくりのんびり巡りたいときは自転車で!

 有田焼の話で前置きが長くなりました。海からちょっと離れた山あいの町、有田。その風情を体いっぱいに感じるために、今回は移動の手段に僕が選んだのはレンタサイクル。自転車は、JR有田駅前の観光案内所で簡単に借りられます。借りたのは「ヴェロ・ミシュラン」(写真上)という何となくオシャレな感じが漂うモデル。1日500円(2018.3月現在)。1000円で電動アシスト付きも選べますが、メタボな僕はカロリー消費も期待して完全人力モデルで町巡りです。

 ちなみにこの「ヴェロ・ミシュラン」はフランスのタイヤメーカー、ミシュランが訪日外国人向けに発行している「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」が佐賀県を紹介したことを記念し生まれたモデルです。タイヤはもちろんミシュラン製、色はミシュラン・グリーンガイドカラーと呼ばれるやさしい緑色の自転車です。乗り物好きの僕が語らずにいられない一品でした。

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焼き物の歴史を探訪する

焼き物にまつわる史跡を見て回ろう

 では、自転車に乗って出かけましょう。まず、焼き物の町有田の原点とも言える泉山磁石場に向かいます。17世紀はじめに、ここ(写真上)で磁器の原料である陶石が発見され、その後400年もの間掘り続けた―― という由緒正しき日本の磁器産業の発祥の地です。駅から約4km。

 この町では日本で初めて磁器が焼かれた窯の一つとされている登り窯の跡(写真上)、天狗谷窯跡も見学できます。泉山磁石場からなら2km弱、有田駅から直接向かえば3km弱。これらはどこも、自転車の移動で無理のない範囲にあります。

 町のいたるところで、焼きものの町らしい風情と歴史の重さを感じます。それでいて、どこも飾りっ気も気負いもない雰囲気がなんとも心地よいのです。それはまさに貴重な文化財としての顔を持ちながら、一方で日常的なお皿や茶碗の身近さも併せ持つ有田焼の風情そのものでした。

後編はこちら

2018年3月20日(自動車カメラマン・高橋学)

高橋学(たかはしまなぶ):フォトグラファー。1966年北海道生まれ。スタジオに引きこもって創作活動にいそしむべくこの世界に入るが、なぜか今ではニューモデル、クラシックカー、レーシングカーなど自動車の撮影を中心に活動中。日本レース写真家協会(JRPA)会員。

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