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ライフスタイル最終更新日:2016.12.26 公開日:2016.12.26

その4/テーマパークEXPO2016で見つけた非常用多言語拡声装置 「MLI タッチメガホン」

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手前の赤いメガホン、これが今回の主役、非常用多言語拡声装置 「MLI タッチメガホン」

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重量は約1.9kg。ポータブルで緊急時での使い勝手もいい。

さまざまな業界関係者向け展示会・見本市のなかでひっそり咲く、関係者相手に展示される製品の数々。これらのなかから専門的ゆえの不思議さが心くすぐるものを毎回ピックアップして、白日の下に紹介してしまおうというこの企画。

第4回は、東京・有明の東京ビッグサイトで行われた「テーマパークEXPO2016」(2016年12月6日~8日開催)に出かけて、展示品を物色してきました。

テーマパーク・レジャー施設開発・運営のための設備・サービスの専門展と銘打つこの展示会。
テーマパーク業界の門外漢である、私の目にとまったのはこんな展示品でした。

→次ページ:燃える男の赤いメガホン、それが非常用多言語拡声装置!(音声あり)

燃える男の赤いメガホン、それが非常用多言語拡声装置!(音声あり)

機器 MLI タッチメガホン.png

画面にタッチするだけで簡単に操作できるのが魅力。

突然ですが、あなたが海外旅行で外国を訪れているときに、不運にも災害に遭遇してしまった場面を想像してみてください(さらに悪いことに、あなたはその国の言葉がよく分からない)。
土地勘のない外国、しかも思ってもみない災害との遭遇、それに言葉が分からないなど多くの不安要素が重なる中、正しい判断ができないことが十分に予想できる。
そんな時、母国語による語りかけや誘導があればどれだけ心強いことだろう。
また、どれだけ安全に避難するために役に立つことだろう。

実は、そんな場面で活躍しそうなメガホンを発見したのです!

このメガホンもアミューズメント機器の一種なんですか?
「いえいえ、違います。その名も『MLI タッチメガホン』という製品で、非常用の多言語拡声装置なんです。日本語、英語、中国語、韓国語の緊急時のメッセージなどが収録されていて、いざというときには繰り返しその4か国語で放送してくれる、優れもののポータブル多言語拡声装置なんです!」と、この展示品を製造販売する、エジソンハードウェア㈱の加藤さんが熱っぽく解説してくれる。

※こんな風にアナウンスが再生されます→4か国語アナウンス(大雨洪水警報の例)

それにしてもなぜテーマパークの展示会への出展なんですか?
「この多言語拡声装置、防災関係者の中ではおかげさまで認知度は高いんです。もっと多くの方に知ってもらうにはどんな展示会に出せばいいのかを考えました。拡声器を使うのはどこかを考えたら、人がたくさん集まる、テーマパークに思い当たって、テーマパーク関係者には興味を持っていただけるかなと思いまして、この展示会に出展しました」(加藤さん)

なるほどですね。理由は至極真っ当でした。

→次ページ:開発のきっかけは、東日本大震災だった

開発のきっかけは、東日本大震災だった

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電源スイッチを入れると、「災害・通常・プリセット・番号選択」のアイコンが出る。

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災害のアイコンを選んだ場合は、このように「自然災害・人的災害・事故障害・鉄道系・注意喚起」のアイコンが出る。この先、さらにアイコンを選択していくと、メッセージが画面に出てくる。そのメッセージを選択してタッチすると、日本語、英語、中国語、韓国語でアナウンスが繰り返し再生される。

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トリガーボタンを引けば、メッセージが再生中であっても、マイクを通してメガホンが使える。

どうしてこのような多言語のメガホンを開発することになったんでしょう?
「きっかけは、2011年3月11日の東日本大震災です。あのとき、数多くの帰宅困難者が出ました。首都圏などでも、各公共交通機関の駅では帰宅困難者であふれる事態が頻発しました。駅員さんは、多数の帰宅困難者に対応する必要からメガホンを使って誘導していました。ところがあの場には多くの外国の方もいたんです。誘導する言語は日本語を使って行われましたから、その言葉の意味が分からず、多くの外国人は『いったいどうすればいいんだ?』っていう苦情というか不満を感じたということを、後になってから聞きました。たとえば英語なら英語で伝えられるものが世の中にないのかなとインターネットで探したんですが、当時はなかったんです。そこでそんな局面でも、外国の方にお役にたてるものが何かできないかと考えて開発したんです」(加藤さん)

災害時など、正しい誘導が重要なことは多くの過去の前例から指摘されていることだが、正しい誘導は正しく伝わることができなければ意味がない。どうやって他言語話者の人間たちとコミュニケーションをとるかが未だに大きな課題になっているわけだ。

さてこの非常用多言語拡声装置の操作手順ですが、以下のとおりでした。

  • (1)まず電源スイッチをオン。
  • (2)すると操作パネルに、「災害・通常・プリセット・番号選択」のアイコンが出る。そのいずれかを選択。
  • (3)たとえば「災害(非常放送)」を選ぶと、「自然災害・人的災害・事故障害・鉄道系・注意喚起」のアイコンが出る。いずれかを選択。
  • (4)そこから、たとえば「自然災害」を選択すると、「地震・津波・台風・崖崩れ・火山噴火・気象」のアイコンが出る。いずれかを選択。
  • (5)たとえば「津波」を選択すると津波に対応するメッセージが表れる。そのメッセージをタッチするとメッセージの音声が流れる。

→次ページ:パネルのアイコンを選択していくだけで簡単に操作できる

パネルのアイコンを選択していくだけで簡単に操作できる

たしかに操作はとても簡単。
「災害のときは、焦っていてふつうの精神状態でなかったりするので、なるべく簡単に操作できることを心がけて作りました」(加藤さん)
パネルのアイコンを選択していくだけで、考えないで簡単に先に進むことができる。

またアナウンスは音声合成でないので、聞き取りやすいのも特徴。
「すべてネイティブ(現地)の方が喋っているものが録音されています。中国語は中国の方、韓国語は韓国の方というように。翻訳もその国の方にお願いしています。そこは安全と直結していますので、こだわったところです」
拡声装置を握る手に力が入り、加藤さんの説明する声が少し大きくなった。

メッセージは、電源(単2型乾電池6本で駆動)が続く限りの再生が可能。約8時間以上鳴り続けるという。だから、人間がいなくなっても8時間以上は他のリソースに依存せず、単独で機能できる。つまりアナウンスは自動放送(4か国語を順番に繰り返す)なので、そのまま置いて逃げることができるというわけだ。
またメガホンとしての音声の到達距離は静かな場所で200mほど。
「このような展示会場のような騒がしい場所だと100mほどでしょうか」(加藤さん)
通常の拡声マイクとしての使用もサイレン音での注意喚起も可能だ。

ちなみに希望小売価格は、28万800円(税込)とのことでした。

旧約聖書に出てくるバベルの塔崩壊の一件以来、人類にとってばらばらの言語はコミュニケーションをとる際の大きな壁でした。
でも技術革新は着実に言葉の壁を越えつつあるなあって実感しちゃいました。

ドラえもんも、ほんやくコンニャクを食べてがんばってるしね。

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帰り際、他のブースでハシビロコウの大型ぬいぐるみを発見。来てるねハシビロコウブーム。エリマキトカゲ、ウーパールーパー(古っ!)に続く、変な生きもの界のスターだ!

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東京ビッグサイトの中庭は紅葉真っ盛りでした。

2016年12月26日(JAFメディアワークス IT Media部 上條 謙二)※2016年12月6日取材

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