2022年12月23日 17:30 掲載

クルマ 国産SUVが元気だ! 日産「エクストレイル」とマツダ「CX-60」にクルマ好きが注目する理由

百花繚乱のSUV市場で、いまひときわ個性を放つ注目の日本車がある。日産の新型「エクストレイル」とマツダの「CX-60」。クルマ好きのハートを射止めるのはどっちだ? モータージャーナリストの小川フミオが試乗した。

文と写真=小川フミオ

とにかくコーナーリングが楽しい新型エクストレイル

こちらはエクストレイル e-4ORCE「G」グレード。2トーンペイント、ガラスルーフなどはオプションだ

こちらはエクストレイル e-4ORCE「G」グレード。2トーンペイント、ガラスルーフなどはオプションだ

 日本のSUVがおもしろくなっている。今年7月に発売された日産の新型「エクストレイル」と、9月に発売されたマツダの「CX-60」。ともに独自のコンセプトを持ち、走らせて楽しい個性的な出来で、楽しいドライブを味わわせてくれるのだ。

 日産エクストレイルは、今回で4代目。最大の特徴は、e-Power(イーパワー)と日産が呼ぶシリーズハイブリッド式ドライブトレイン。エンジンは駆動用バッテリーに給電する役割のみで、駆動は電気モーターで行う。

 今回のエクストレイルの特長は、e-Powerにe-4ORCE(イーフォース)という独自の駆動制御システムを組み合わせたところ。4つの車輪のトルクを個別に制御するとともに、制動力にも使う。それによって、滑りやすい路面での走行安定性と、カーブでの素直な操縦性を実現していると日産は説明する。これは4輪駆動仕様にのみ用意される機能だ。

 e-4ORCEの見どころは、「カーブで運転がうまくなったように感じられるところ」と、開発を指揮した日産自動車の寺本広樹氏は言う。特に効果を発揮するのは、速度が高いままカーブに入ったときだそう。

 前輪を(前輪も)駆動していると、カーブで車体を外側に引っ張りだそうという力が働きがち。これをアンダーステアと専門用語でいう。エクストレイルのシステムではアンダーステアの傾向を察知すると、外側の車輪の駆動力をすこし増す。同時に内側の車輪にブレーキをかける。それによって、車両が外にふくらむ傾向を打ち消すのだ。

 はたして、私が高速道路へアプローチするカーブで試したところ、気持ちよく望んだとおりのコーナリングラインをなぞって走ってくれる。

 聞いてなければ、よもやe-4ORCEがシゴトをしているなど思いもよらず、ただただ"気持ちいい感覚で曲がるなあ"と感心したはず。自分の運転がうまくなったと、そこまで自信過剰になるかはよくわからないけれど。

機能主義的なエクストレイルのダッシュボード

「タフギア」に「上質さ」を加えたというのが新型エクストレイルのコンセプト

機能主義的なエクストレイルのダッシュボード。「タフギア」に「上質さ」を加えたというのが新型エクストレイルのコンセプト

 もうひとつの特徴が、エンジン。日産が開発した「VCターボ」という可変圧縮比の1.5リッター3気筒だ。アクセルペダルの踏みこみ量に応じて圧縮比が変わり、燃費とパワーの両立をめざしている。

 エクストレイルに搭載した理由は、「欧州市場でも勝負するので時速180kmで巡航できるようにと考えて」と、エンジン開発担当者が教えてくれた。

 エンジン排気量が小さいと、電気の供給量が不足してきて、結果、エンジンがずっと回りっぱなしになる。それによってパワーに頭打ち感が出たり、また、エンジン音のやかましさに悩まされることもある。エクストレイルのVCターボではそれはない。余裕を感じさせる。しかも、エンジン音はいい感じの振動と音で、聴いていて気持ちよさするあるのだ。

 室内は広く、3列シートの7人乗りも用意されているので、幅広い需要に対応できそう。私にとっては、ちょっとスポーティな「オーテック」仕様が魅力的だった。

まさかの新開発直6ディーゼル搭載のCX-60

大きなエアダムと長いノーズが独特のプロポーションを生んでいるCX-60

大きなエアダムと長いノーズが独特のプロポーションを生んでいるCX-60

 マツダの「CX-60」は、同社が「ラージ商品群」とよぶ新世代の上級SUVラインナップの皮切りになるモデル。特徴として、エンジンバリエーションの多さがまず挙げられる。

 私が乗ったのは「e-SKYACTIV D(イースカイアクティブ・ディー)」と呼ぶ新開発のエンジン搭載モデル。3.3リッター直列6気筒ディーゼルを新開発し、マイルドハイブリッドシステムを備えている。

 このご時勢でいまさら直列6気筒を新開発ですか、と驚かされたものの、マツダの開発陣によると「カーボンニュートラルの道をひとつに絞るより、いまはさまざまな可能性を追求する時期」という。

 ディーゼルエンジンの燃費のよさに注目すれば、まだインフラもきちんと確立していない電気自動車にすべてを賭けるより現実的、ということだ。そういえば、フェラーリの技術者も同様のことをいい、目下のところ、ガソリンの多気筒エンジンの開発を止めない、としていたなあ、と私は思い出した。

 はたして新しいエンジンを載せたCX-60、よく走る。変速機はさらなる効率化をめざしてと、トルクコンバーターを廃した8段オートマチック変速機を自社開発している。これもいいシゴトをしてくれている。

 電気モーターの力を得て、すっと発進したあとは、低回転域から大きなトルクを発生するディーゼルエンジンによる、力強い加速が味わえる。変速機は、気持ちよくシフトアップしていくいっぽう、アクセルペダルの踏みこみに敏感で、加速時などはすかさず適切なギアへとシフトダウンもする。

 足まわりはやや硬いかなと高速道路では思うものの、カーブが連続するような道では、ひらりひらりと走る。そのとき私が思ったのは、このクルマ、全長が4740mmあって、全高が1685mmあるはずなんだけど、スポーツカーみたいに軽快だということだ。

できるだけシンプルにしつつ素材を含めて上質感を追求しているCX-60のダッシュボード

ボディ面のカーブで

できるだけシンプルにしつつ素材を含めて上質感を追求しているCX-60のダッシュボード(上)。ボディ面のカーブで"表情"をつくったCX-60のエクステリアデザインは、マツダ独自のもの(下)

 車内のつくりもよくて、質感はかなり高い。快適装備の数は、トヨタや日産に少し負けるかもしれないけど、上質感が高いので、毎日乗るようなオーナーにはよく合っていると思う。

 燃費はエクストレイルe-4ORCEモデルがリッター18.4km(エンジンを回して給電するため)、CX-60のe-SKYACTIV Dが21.2km。へたな軽自動車より燃費がよい。

 エクストレイル(e-4ORCE搭載モデルで347万9300円から)も、CX-60(前輪駆動で323万9500円から)も、燃費と質感と走りを追求し、しかもメーカーの個性がしっかり盛り込まれているという点で共通している。よく出来たSUVが、ほぼ同時に登場したのは、クルマ好きとしては嬉しい。

日産 エクストレイル e-4ORCE|Nissan X-TRAIL e-4ORCE
全長×全幅×全高 4660x1840x1720mm
パラレルハイブリッド 電気モーター2基 全輪駆動
最高出力 前150kW 後100kW
最大トルク 前330Nm  後190Nm
エンジン 1497cc直列3気筒ターボ
燃費 18.4km/L(WLTC)
価格 347万9300円〜

マツダ CX-60 e-SKYACTIV-D|Mazda CX-60 e-SKYACTIV-D
全長×全幅×全高 4740x1890x1685mm
エンジン 3283cc直列6気筒ディーゼルターボ+マイルドハイブリッド 4輪駆動
最高出力 187kW@3750rpm
最大トルク 550Nm@1500〜2400rpm
燃費 21.1km/リッター(WLTC)
価格 505万4500円〜

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