2022年12月13日 06:00 掲載
クルマ 最新バスの祭典「バステク in 首都圏」をレポート!
バス関連に特化したコンテンツが集結!
バス専門情報誌「バスラマインターナショナル」を発行している「ぽると出版」が主催するバステクフォーラム。2022年7月に大阪・舞洲で開催されたバステクフォーラムに続き、関東では11月に幕張メッセの屋外展示場にてイベントが開催された。今回の首都圏の開催では、恒例のバス運転体験・試乗会や、多様なバス車両の展示に、タイヤ・ホイールなどのパーツ、さらに置き去り防止装置など、バラエティに富んだ展示イベントとなっていた。すべて紹介すると膨大な量になってしまうため、今回はその中でも特に気になった車両やサービスを紹介していこう。
1.トルコからやってきたEVコミュニティバス「カルサン e-Jest」 |
前回のバステクフォーラム大阪の様子はこちら
日本仕様が楽しみ! トルコ生まれの小型EVバス!
1.KARSAN【e-JEST(欧州仕様)】
トルコのEVバス? と思われる人もいるかと思うが、KARSAN(カルサン)社の自動車生産実績は確かなもので、1970年代にはフィアットやルノーの生産を行い、90年代には日本の商用車の生産と販売も行うなど、世界の主要ブランドのOEMも行っている。バス事業では自社ブランドのカルサンを展開しており、レベル4の自動運転バス「e-ATAK」や、大都市に向けた10~18m級の大型電気バスを生産するなど、多数のEVバスを展開している。
出展社であるアルテックは、日本において供給が追い付いていないコミュニティバス※のカテゴリーに注目し、この「e-JEST」を日本に上陸させた。欧州で2020年から2年連続で小型電気バスのトップブランドに輝いたという、カルサンの「e-JEST」をさっそく見てみよう。
※コミュニティバス=交通空白地域・不便地域の解消などを図るため、市町村などが主体的に計画し、運行する乗車定員が約11人未満の車両を指す。
フラットな側面とフロントの曲線の組み合わせがユニークで、日本や中国とは異なるデザインが目を惹く。行先や系統が表示されるであろうフロントトップのデザインも愛嬌がある。
ドア横のロゴマーク。
e-JESTの心臓部には、BMWのiシリーズのバッテリーとモーターが搭載されている。iシリーズは、BMWのバッテリーの中でも「革新的な環境配慮型モデル」と位置づけられており、BMW「i3」や「i8クーペ」、「i8ロードスター」にも採用されている。e-JESTはこのバッテリーをダブルで積むことで、88kWhのバッテリー容量を確保し、パフォーマンスを向上させている。
運転席まわり。欧州仕様のため、ハンドルは左側に。
入口ドアから前方を撮影。折りたたみ席は、日本でも馴染み深いファブリック付きのシート。
車両の後方を撮影。樹脂製の椅子がとても可愛らしい佇まいだ。
e-JESTは外観だけでなく、内観も個性的だ。大きな窓があり、樹脂製の椅子や、咄嗟に掴みやすそうな手摺パイプにはビビットなイエローやブルーが多用され、テーマパーク内を巡行する乗り物のようなワクワク感に包まれた。担当者に聞いてみたところ、この内装は清掃がしやすく、欧州でも評判の仕様だが、左ハンドルも含め、日本の規格に合わせるために、仕様が変更する可能性が高いとのことだった。今後の予定では、来春には日本向けに車両を改装し、車両登録に進みたい、とのことだ。この愛着が湧きそうな仕様がどこまで変わるのか、どこを走るのか、続報が楽しみな車両だ。
KARSAN e-JEST(欧州仕様) |
ラインナップも充実! 本格量産にも期待が高まるEVM-J!
2.EVモーターズ・ジャパン【F8 series-2 City Bus(10.5m)】
EVモーターズ・ジャパン(EVM-J)から出展されたこのEV路線バスは、2022年の夏から販売が始まっている。さらにF8シリーズには既存のコミュニティバスと、観光バスもラインナップに加わるため、様々なシーンで活躍できるモデルが一気に充実することになる。
このラインナップ拡充には、福岡県北九州市で建設中の商用EV最終組み立て工場の存在が大きく、生産以外にも試乗・試運転や資料館に、工場見学まで対応できる複合施設「ゼロエミッションe-PARK」の稼働が2023年の秋に控えているという背景がある。生産工場が稼働すれば、国内で商用EVの量産体制が整うことになり、ついにメイド・イン・ジャパンのEVバスが誕生することにもなる。
EVM-Jが開発したアクティブ・インバーター(オレンジ色の配線が集中しているボックス)はもちろん健在。EVバスの要となる消費電力の削減とバッテリーの劣化防止へ貢献している。
F8 series-2の耐久性と軽量化を両立させているステンレス骨格とカーボン素材。表面のカーボン素材が高級感を感じさせる。
バスの昇降口からスロープを展開している状態。路線バスの利用者からすると、"バスに乗り込む"というより、"バスの中に入る"という表現の方が合うほど低い昇降口。スロープは内蔵式で、子どもや高齢者以外にも、ベビーカーや車椅子を利用する人にとっても助かる仕様。
床が低いおかげで天井が高く感じられる車内の後方部。窓も大きく後方の段差を上がっても窮屈さは感じない。
運転席もすっきりとした印象。車内や車外の様子は液晶画面で同時に確認できる。
F8 series-2は大容量バッテリーと低消費電力システムを搭載することで、一回の充電で280km(時速60km、負荷重500kg、エアコンオフ)の走行が可能となっている。また、シリーズ共通で採用されているコンポジット素材による軽量ボディは、耐久年数が20年と長寿命で実用性に優れている。EVバスの多くは床下にバッテリーを搭載している印象があるが、EVM-JのF8 seriesはリア部分にシステムが集約しているため、そもそも床が低いEVバスよりもさらに床が低く、とにかく乗り降りが楽だ。路線バスといえば、段差のあるステップを昇りながら、右側にある紙の乗車券を受け取って乗り込むもの、というイメージを持つ人もいると思うが、このF8 series-2に乗車すると、その差に驚くことだろう。このF8 series-2は早くも2023年から大手事業での導入が決まったそうで、国内での量産化に入った暁には、多くの地域で活躍することだろう。
F8 series-2 City-Bus |
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特装仕様のFUN!BUSを紹介
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