2022年07月28日 06:00 掲載
クルマ
現役バスにも安全を!
助け舟となる"後付けEDSS"
EDSS搭載車が必要。ただし、新車購入は厳しい!
バス関連イベント「バステクフォーラム2022」に出展された、HINO製の小型バス「ポンチョ」。この車両に後付けEDSSが装着され、緊急停止を体験できるデモ走行が行われた。
ドライバーの健康状態に起因する路線バスや高速バスの事故は年間で160件を超え、社会的にも対策が急務となっている。国土交通省も対策として新車にEDSS(Emergency Driving Stopping System)などの安全装置の装着を進めている。しかし、およそ10万台と言われている現在稼働中のバスの多くには、このEDSSは搭載されていない。ならば、新車を購入すれば、と考えてしまいたくなるが、それは簡単な話ではない。
バスを新しく購入するとなると、観光用や路線向けなどの用途に、サイズでも大きく価格は変動するが、中型や大型といった新車のバスは一台で1,000万~3,000万円近くかかると言われており、加えて、ドア・座席・運賃決済・化粧室などの有無や仕様変更によるオプション代が発生するため、バスの購入とは、実質オーダーメイド仕様なのである。さらに、運用形態にもよるが、大抵は複数台での購入となり、億単位の導入費がかかってしまう場合も珍しくない。これは市町村や民間企業にとっては、大変な負担額となる。また、2022年の時点においては、部品不足の関係などから新車の納期が遅れ、5~10台でも半年後になることもあり、そもそも新しいバスを購入しづらい状況なのである。
そこで、商用ブレーキ機器大手の「ナブテスコオートモーティブ」と、バス・トラックの整備を行う「城東自動車工場」は共同で「後付けEDSS」を開発した。これにより、車両の仕様にもよるが、新車を購入するよりもずっと低コスト(※)で既存のバスに搭載できるようになっている。
(※希望小売価格120万円~。実車の条件などは下記URLを参照ください。
https://www.nabtesco-service.co.jp/special/edss/ )
国内の新車で唯一、EDSSが標準搭載されていないポンチョだが、現在はナブテスコオートモーティブの後付けEDSSを搭載した状態で納車することも可能となっている。
実際に車両に後付けEDSSを装着した様子。写真左が乗務員用で、写真右が乗客用の非常停止スイッチ。
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EDSSの機能を紹介
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