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クルマ最終更新日:2023.06.19 公開日:2022.04.15

ホンダ、100万円台の軽EVを2024年に販売! 研究開発に8兆円を投資し、全固体電池も独自開発。

ホンダは4月12日、四輪車の電動化に向けた説明会で、2030年へ向けた研究開発費として約8兆円を投入し、そのうち半分以上の5兆円を電気自動車(EV)やソフトウェア領域に充てると発表した。さらに同時期までにグローバルでEVを30車種展開し、その年間生産台数は現在の半分に近い200万台を計画。次世代電池である全固体電池の内製化も進め、その研究開発にも約430億円を投資してモビリティの電動化をいっそう加速する考えだ。

文=会田 肇

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ホンダは2050年までに、同社の関わる全ての製品と企業活動を通じたカーボンニュートラルを目指している。

ホンダは2040年までに脱ガソリン、2050年までに同社の関わる全ての製品と企業活動を通じたカーボンニュートラルを目指している。

ホンダが考える2040年に向けての脱ガソリン計画とは?

昨年4月の新体制がスタートして一年が経ち、三部敏宏社長は「この数年の取り組みの成果」と、新体制の下で進めている「四輪電動化の進捗」について説明した。

それによると、まず既存事業については、「昨年、新型ヴェゼルや新型シビックを投入し、いずれも高い評価を獲得し、中でもシビックは3度目となる北米カーオブザイヤーを受賞できたことは、ホンダが数年来取り組んできた”ものづくり改革”の効果があった」と評価。その上で「プラットフォームのレイアウト統合や部品共用化など実現する『Hondaアーキテクチャー』を広く展開することで良い製品を効率良く作ることができるようになった」とこれまでの成果を振り返った。

さらに、日本の狭山での完成車生産を終了したことで、英国やトルコでの「生産能力の適正化」を推進。これによって生み出された事業体質の強化は、単に利益を改善することだけでなく、電動化や新成長領域への投資を生み出すための重要な糧になったという。三部氏は21年4月の社長の就任会見で、2040年での「脱ガソリン」を宣言して大きな注目を浴びたが、今回の発表はその実現に向けて具体策を提示したものとなる。

ホンダは四輪車の電動化だけではなく、あらゆるモビリティに対して交換式バッテリーや水素の活用など、さまざまな国や地域のユーザーの用途に応じた多様なソリューションを提示していくという。

ホンダは四輪車の電動化だけではなく、あらゆるモビリティに対して交換式バッテリーや水素の活用など、さまざまな国や地域のユーザーの用途に応じた多様なソリューションを提示していくという。

商用の軽EVを100万円台で提供

それを受けて登壇した青山真二執行役専務は、より具体的な今後の戦略について説明した。そこで語られたのは、ホンダのEV戦略として主要地域を北米/中国/日本の3つに分け、それぞれの市場特性に合わせた商品を投入していくということだ。

まず、北米市場にはGMと共同開発する中大型クラスのEVを2024年に2車種投入(Hondaブランド:プロローグ、Acuraブランド:SUV)し、中国市場には2027年までに「e:N」という名のEVシリーズ10車種を投入する予定だ。その一方で、ハイブリッド車の普及が著しい日本に対しては、2024年前半に商用の軽EVを100万円台で投入。パーソナル向けはその後に軽EV、SUVのEVを適時投入していくとした。

昨年、ホンダより発表された内容ではこの地域分けが示されていなかったが、今回、地域の実情に合わせるという意味で、賢明な方向性が示されたと言っていいだろう。

日本では2024年前半に、商用の軽EVを100万円台で投入する計画だ。その後、パーソナル向けの軽EV、SUVタイプのEVを適時投入するという。

日本では2024年前半に、商用の軽EVを100万円台で投入する計画だ。その後、パーソナル向けの軽EV、SUVタイプのEVを適時投入するという。

日本では2024年前半に、商用の軽EVを100万円台で投入する計画だ。その後、パーソナル向けの軽EV、SUVタイプのEVを適時投入するという。

ホンダはEVを2030年までに軽商用からフラッグシップクラスまで、グローバルで30機種を展開するという。年間生産は200万台を超える計画だ。

ホンダはEVを2030年までに軽商用からフラッグシップクラスまで、グローバルで30機種を展開するという。年間生産は200万台を超える計画だ。

GMと共同で普及価格帯のEVも開発中

また、ホンダは2020年代後半以降にEV普及期となることを見据えており、その時期を目指してグローバル視点でベストなEVを展開する。そのためにEVのハードウェアとソフトウェアの各プラットフォームを組み合わせたEV向けプラットフォーム「Honda e:アーキテクチャー」を開発。これを採用した車種を2026年から順次投入していくことも明らかにされた。

その中で注目されたのが、2027年以降、コストや航続距離といった領域でガソリン車並みの競争力を持つ量販価格帯EVの投入についてだ。これはGMとのアライアンスを通して生み出されるもので、購買なども含めた共同開発を通してグローバルでEV普及を進めていく計画だ。中国のほか、北米の工場にもEV専用ラインを設けるという。これらによってホンダは2030年までにグローバルで30車種、年間200万台のEV生産を計画することとなった。

EVのハードウェアとソフトウェアの各プラットフォームを組み合わせたEV向けプラットフォーム「Honda e:アーキテクチャー」を採用した商品を2026年から投入する。

EVのハードウェアとソフトウェアの各プラットフォームを組み合わせたEV向けプラットフォーム「Honda e:アーキテクチャー」を採用した商品を2026年から投入する。

 この日の説明では、今年3月4日に発表されたソニーとの合弁会社設立についても語られた。それによると「モビリティメーカー単体では成し得ない新しい移動の価値を探求する、いわば”モビリティの概念の拡張への挑戦”と位置付け、2025年を目標に両社の強みを融合させた高付加価値モデルを投入する」(青山真二執行役専務)とした。ソニーはプロトタイプとして「VISION-S」を世に発表しているが、これに近いイメージで登場するのだろうか。ここへの期待も大いに膨らむ。

ホンダは今後、同社のスポーツマインドや、際立つ個性を体現するようなスペシャリティとフラッグシップ、2つのスポーツモデルを発売予定だという。

EVのハードウェアとソフトウェアの各プラットフォームを組み合わせたEV向けプラットフォーム「Honda e:アーキテクチャー」を採用した商品を2026年から投入する。

全固体電池を自前で開発。2台の新たなEVスポーツの投入も

そして、電動化に対して見逃せないのが電池の調達体制だ。これは”地産地消”の考え方を進め、中国向けについては車載電池で世界最大手となる中国・寧徳時代新能源科技(CATL)との連携を深める。北米ではGMとは別の企業との合弁会社の設立も検討していくとしている。日本では日産/三菱が電池の調達先ともしている中国系のエンビジョンAESCグループから調達することで合意しているという。

また、ホンダがEV用電池として本命としているのが、次世代型「全固体電池」の開発だ。現在の液体型リチウムイオン電池に比べて全固体電池は、走行距離を延ばせるだけでなく、充電に要する時間も半減できるという特徴を持つ。ホンダはこれを自前で開発し、2024年春の立ち上げに向け、約430億円を投資して量産化に向けた試作ラインを栃木県さくら市に建設する計画だ。

そのほか、発表ではホンダのスポーツモデルに関して、「スペシャリティ」と「フラッグシップ」という2台のEVスポーツモデルを2020年代半ばにもグローバル投入することも明らかにされた。三部社長は、「カーボンニュートラルや電動化に挑む中でも、常にFUN(ファン=楽しみ)もユーザーに届けていきたいという想いを持ち続けていきたい」と語り、その想いからこの2台は生み出されるという。この日は具体的な内容こそ公表されなかったが、ベールを被った画像が公開されており、この登場にも大いに期待したい。

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