車の「オートライト機能」、なぜ義務化? その狙いとは。
薄暗くなると自動で車のヘッドライトが点灯する「オートライト機能」。2020年4月以降に販売される乗用車(新型車のみ)には、その搭載が義務付けられることになりました。なぜいま義務化が必要なのでしょうか。その理由について調べてみました。
「オートライト機能」の義務化で何が変わるの?
道路運送車両の保安基準が改正され、2020年4月以降に販売される乗用車(新型車のみ)には「オートライト機能」の搭載が義務付けられることになりました。
オートライト機能とは、走行中の車が周囲の明るさを検知してヘッドライト(前照灯)の点灯・消灯を自動で行ってくれる機能のこと。過去に販売された車の中にも、すでにオートライト機能を装備しているモデルはありますが、従来のオートライト機能と、今回の新しい保安基準に適合するオートライト機能では大きな違いがあります。
最も異なるのは、「走行中に一定の暗さになると強制的に点灯する」「走行中にドライバーが手動で消灯できない」というふたつの点が挙げられます。従来のオートライト機能には、メーカーや車種によってライトの点灯タイミングに差があり、明確な基準がありませんでしたが、今回の義務化によって統一されることになりました。
<今回の改正で定められた主な新保安基準>
■周囲の照度が1,000ルクス未満になると、2秒以内に点灯する
■周囲の照度7,000ルクス以上になると、5秒から300秒以内に消灯する
■走行中、手動によるON・OFF機能はなし(ただし、駐停車状態にある場合は消灯可能)
「オートライト機能」が早めのライト点灯を実現。
未然に事故を防ぐ!
では、点灯時の周囲の照度である「1,000ルクス」とは、どの程度の明るさなのでしょうか。一般的には、野球のナイター開催時のスタジアムの外野にあたるエリアが約1,000ルクスだと言われています。でも、あまりピンときませんよね。JAFによれば、1,000ルクスの照度とは「信号や他車のブレーキランプなどの点灯が周囲から目立ち始める時の明るさ」と説明しています。日没に向かって暗くなり始める薄暮時間帯をイメージすれば分かりやすいでしょう。そしてそれは、1日の中で最も交通事故が多いとされる時間帯(17時~19時)にピタリと重なります。
道路交通法でも、ヘッドライトを付ける時間帯は「日没から日の出までの夜間」と定められていますが、日没や日の出の時間は日付と場所によって変わるため把握するのが大変で、実際にはドライバー個人の感覚に委ねられていたといえます。今回のオートライト機能の義務化は、まさにそこの改善が狙いといえるでしょう。明るさによる基準を明確化し自動化することで、ヘッドライトのつけ忘れを防ぎ、早めの点灯を実現することで、安全性をいっそう高めることが目的なのです。
(参考記事:JAF『2020年から新型車に搭載されるオートライト。その点灯タイミング「1,000ルクス」ってどんな明るさ?(JAF Safety Light)』
https://jaf.or.jp/common/safety-drive/car-learning/safety-light/autolight-1000lux
(参考記事:政府広報オンライン『薄暮時間帯における交通事故防止』)
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201711/1.html
日頃から早めのライト点灯を心がけましょう。
このようにオートライト機能の義務化は、私たちの車社会をより安心・安全なものとしてくれることでしょう。ただし気を付けたいのは、オートライト機能といえどもいかなる時も万能とは限らない、ということ。昼間の雪や豪雨、霧などの悪天候時には正常に機能しない場合もありますので、ライトオンになっていることを必ず確認しましょう。
また、すでに販売されている車や中古車には、オートライト機能の義務化は課せられていません。オートライト無しでも車検を通すことができます。そのため例えば、オートライト機能装備車を所有するドライバーが、知人の車等でいつものように運転すると、うっかり無灯火で走行していた!? なんて事態も十分に考えられます。
安全技術がどんなに進化しても確認を怠らず、日頃から早めのライト点灯を心がけ、安全運転に努めましょう。