高速道路にも種類がある。高速自動車国道と自動車専用道路の違いとは。
いわゆる高速道路と呼ばれる道路には、「高速自動車国道」と「自動車専用道路」の2つの区分があることをご存じだろうか。制限速度や料金など、本記事では2つの「高速道路」の違いを説明しよう。
2つの「高速道路」の違いとは?
一般道路よりも速く走れることが多く、長距離移動にも便利な「高速道路」。そんな何気なく「高速道路」と呼んでいる道路には、実は「高速自動車国道」と「自動車専用道路」という2つの種類の道路があることをご存知だろうか。
高速道路と名が付く路線は全国に4路線のみ
高速自動車国道は、国の方針のもと開発段階から区間が指定され建設された道路のことで、全国的な自動車交通ネットワークである。全国に43路線あり、常磐自動車道、東関東自動車道など、「自動車道」が付されることで見分けられる。一方で、高速道路らしく「高速道路」が付く道路も43路線のうち4路線ある。「名神高速道路」「新名神高速道路」「東名高速道路」「新東名高速道路」の4路線だ。
次に自動車専用道路は、自動車のみが走ることのできる道路の総称として用いられるが、実はこの自動車専用道路にはさまざまな種類がある。例としては首都高速道路、阪神高速道路などの「都市高速道路」や、「一般国道自動車専用道路(A´路線)」、「一般国道自動車専用道路(B路線)」などがある。
ちなみに、「A´路線」とは、高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路のこと。高速自動車国道の計画のほかに、整備が急務となっている混雑解消などのために建設される自動車専用道路で、高速自動車国道の機能を代替えするものとされており、京葉道路、伊勢湾岸道路などがそれにあたる。対する「B路線」は、一般国道の自動車専用道路を指し、高速自動車国道の一部区間を、一般国道のバイパスとして整備されている道路のことである。
制限速度の違いに要注意
高速自動車国道や自動車専用道路を利用する際の注意としては、最高速度、利用できる車両、料金の違いなどが挙げられる。
まず高速自動車国道では、法定最高速度は時速100km以下、最低速度が時速50kmと定められている。しかし、この法定最高速度は、速度規制がかかっていない本線車道でのみ該当するものである。最高速度が指定されているところでは、指定された最高速度が優先で、それを超えて走行するとスピード違反となる。
自動車専用道路の場合、道路標識がないときの法定最高速度は時速60km以下に規定されている。高速自動車国道と同じで、速度指定がある場合はそちらが優先されるが、自動車専用道路の場合は「指定最高速度」の方が速いこともある。一方で、最低速度のほうは、自動車専用道路では特に定められていない。
高速自動車国道の料金は全国で同じ料金体系
次に料金体系について説明しよう。高速自動車国道は、その建設費を賄うために、利用者から料金を徴収し返済していく仕組みとなっており、原則として全国で同じ料金体系が採用されている。内訳は、走行距離1km毎に加算される加変額とターミナルチャージの合計。例えば普通車の場合、24.6円(1km毎)×走行距離+ターミナルチャージ150円(固定額)が通行料金だ。また、利用距離が100km以上の場合は25%、200km以上の場合は30%の割引が適用される。
自動車専用道路では、建設費の一部を地方自治体が負担するため、通行料金が無料であることも多い。有料区間の料金も、地域によって異なっている。
2005年、日本道路公団が民営化された時点では、高速自動車国道の建設費の返済は2050年に終わり、その後無料で開放すると発表されていた。しかし、その後大規模補修などの追加により15年がプラスされ、現状では2065年が無料化の時期とされている。
高速自動車国道と自動車専用道路、異なる通行不可車両に注意
高速自動車国道と自動車専用道路では、通行できる車両にも違いがある。まず高速自動車国道は、最低速度が時速50kmに定められているために、それ以上の速度が出せない小型特殊自動車(農耕トラクターなど)や、けん引車両(けん引装置、被けん引装置のある車両は除く)は通行不可となっている。そのほか、通行不可車両については以下の通り。
【通行不可車両一覧】
高速自動車国道
・ミニカー
・総排気量125cc以下の普通自動二輪車
・原動機付き自転車
・小型特殊自動車
・けん引車両(けん引装置・被けん引装置のある車両除く)
自動車専用道路
・ミニカー
・総排気量125cc以下の普通自動二輪車
・原動機付き自転車
道路交通法を遵守したドライブをするためにも、高速自動車国道と自動車専用道路の区分について、こうした違いがあることを覚えておこう。
【お詫びと訂正】公開時、高速自動車国道の解説に一部誤りがありましたので、正しい表記に修正いたしました。お詫びして訂正させていただきます。