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クルマ最終更新日:2020.02.05 公開日:2020.02.05

新型コロナウイルスで、フォーミュラE中国が開催延期!F1も延期?

中国の湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の流行は、収束の見込みが立たずにいる。WHOが緊急事態宣言をしたこともあり、3月21日に中国・海南島で予定されていたフォーミュラEの三亜ePrixは開催延期となった。そしてF1も4月19日の中国GPの延期を検討し始めている。

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新型コロナウイルスでF1が中国GP延期を検討

2019年の中国GPは、F11000回目のレースを祝ったメモリアルイベントでもあった。 写真:ホンダ

新型コロナウイルスの流行でフォーミュラEは開催延期

 EVレースの世界選手権であるフォーミュラEは、321日に中国・海南島で予定されていた第6戦の三亜ePrixの開催延期を発表した。内陸部の武漢市で発生した新型コロナウイルスだが、海南島と近い香港でも感染が疑われる死者が出ている。

 延期発表は行われたが、新型コロナウイルスの流行が収束する見込みが立たないこともあり、新しい日程に関して24日の時点でフォーミュラEの公式サイトからの発表はない。主催団体は、FIAや三亜の自治体などと協議し、新しい日程の決定は即決せずに、状況を観察しながら決定するとコメントしている。

新型コロナウイルスでフォーミュラEの三亜が延期

2019年のフォーミュラE三亜ePrix優勝者は、ゼッケン25DS TECHEETAHのジャン・エリック・ベルニュ(写真中央)。三亜は、香港南西の南シナ海に浮かぶ海南島にある。 写真:DS TECHEETAH

4月に上海で行われるF1も開催延期を検討

 そして419日に上海で予定されているF1の中国GPに関しても、FIAはフェラーリ、メルセデス、レッドブル、ルノー、マクラーレン、ウィリアムズといった主要チームと延期に関する協議に入ったという。しかし、2月4日の時点では公式サイトからの発表は行われていない。

新型コロナウイルスでF1が中国GP延期を検討

2019年のF1中国GPのスタート。優勝はメルセデス・ベンツのルイス・ハミルトン(写真左下のシルバーのマシン)。 写真:メルセデス・ベンツ

年間22戦という過密スケジュール

 ウイルス流行に収束の見込みが立たず、中国GPが延期となった場合には、新しい日程はどうなるのだろうか。

 2020年のF122戦が予定されている。2020年には日曜日が52回あるが、そのうちの22回でF1が開催される。各国GPの間には、国をまたいでF1マシンや工具、タイヤ、ガソリンなどといった大量の物品を運ばねばならず、その管理は並大抵ではない。航空便や陸送だけでなく、船便を利用する場合もあり、通関手続きもあるので、スケジュール変更はそれら手配の組み直しを意味する。それは関係者にとって大きな負担だ。

 ちなみにホンダの場合、2017年のヨーロッパ以外のGPには約5トンの物品を送り出していた。これにはF1マシンは含まれておらず、エンジン(PU)関連のみ。各F1チームやエンジン・タイヤなどサプライヤーには、輸送管理を専門とする”ロジスティクスマネージャー”などと呼ばれる職種や、専門の部署が必ず置かれている。

 航空便による各レースの段取りは、決勝レースが終わった日曜日の夜までに物品を梱包してサーキットから搬出。日曜もしくは月曜日にフライト。次のレースは金曜日から練習走行が始まるので、火曜日もしくは水曜日にはサーキットに搬入を済ませ、木曜日に開梱とピットなどの設営を行う。フライトの前後には通関手続きもある。2週連続開催となれば、フライトから搬入まで1~3日しかない。

 このような輸送の便宜を考慮し、F1はオーストラリア、バーレーン、ベトナム、中国、オランダという前半戦のスケジュールをほぼ2週おきに予定していた。その後は陸送を中心としたヨーロッパを転戦し、再びロシア、アジア、北米、南米、中東と航空便を利用するようにしていた。輸送だけを考慮してスケジュールが決定されるわけではないが、とくに空路が絡む輸送はスケジュールを検討するうえで重要な要素の1つとなっている。

 話を中国GPに戻そう。延期となった場合の代替スケジュールを考察してみた。陸送によるヨーロッパ転戦の間に中国を入れることは、輸送面での効率が悪い。そこでヨーロッパ転戦以降のスケジュールを見ると、ヨーロッパの最後であるイタリアが9月4日に行われる。その後シンガポール、ロシア(黒海のソチ)、日本(鈴鹿)、アメリカと開催。中国(上海)を間に入れられそうな国々を回ることになっている。しかし、この5戦は9~10月の2か月間(8週間)で行われるため、ほぼ2週おきのレース開催となる(シンガポールは9月20日、ロシアは9月27日と連続)。そこに割り込むとなれば強行軍となる。

 10月25日のアメリカ以降も北米、南米、中東で4戦が2週おきの開催で11月29日まで続く。ならば最後に中国という考えもあるが、12月に入ると上海の気温は10度前後に低下して、レースに不向きな気温となってしまう。やはりシンガポールからアメリカの間に割り込むのが有力な気がする。

 そもそもF1の年間22戦というスケジュールづくりは、無数にある針の穴に1本の糸を次々と通していくようなものだ。それを短時間で再編することは容易でない。だからこそF1関係者たちは早めに検討に入った。そして、ぎりぎりで判断を下すことになるだろう。

 F1だけでなく、世界的なスポーツイベントは人の流れだけでなくモノの輸送がスムーズに進まないと成り立たなくなっている。

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