2019年08月06日 13:50 掲載
クルマ ハーフカットモデルで迫る現行車種の内部メカニズム!「フィット」&「レジェンド」編【クルマ解体新書】
埼玉自動車大学校のカスタムボディ科の学生が2014年に製作した、ホンダ「フィット ハイブリッド」のハーフカットモデル。同校で開催されたクルマとバイクの祭典「オートジャンボリー2019」にて撮影した。
埼玉自動車大学校カスタムボディ科の学生は、1年に1台のペースで、現行車種(それもハイブリッドカーやEVなど)を題材にハーフカットモデルを製作している。特徴は、クルマの外装のカットに加え、エンジンやバッテリー、モーター、制御機構など、クルマの主要パーツもカットしていること。ボタンを押すとピストンが上下したりモーターが回ったり、電気の流れがライトの点灯したりして、現代のハイブリッドカーやEVの機構を学べるよう製作されている。
今回はホンダ編。JC08モードで37.2km/Lというクラス屈指の低燃費を誇るコンパクトカー・3代目「フィット ハイブリッド」(2014年製作)と、世界初の3モーター式4WDハイブリッドシステムを搭載したフラッグシップ・セダンの5代目「レジェンド」(2016年製作)のハーフカットモデルを紹介する。
地元・埼玉の寄居工場で生産されている3代目「フィット ハイブリッド」の技術に迫る
「フィット ハイブリッド」のハーフカットモデルを助手席側から。
同校の学生によるハーフカットモデルはその完成度の高さから、公益財団法人埼玉県産業振興公社 次世代自動車支援センターからの製作依頼を受けるようになり、この「フィット ハイブリッド」もその1台だ。
2013年に登場した3代目「フィット」は埼玉県と縁の深い車種で、県内の寄居完成車工場で生産されている(鈴鹿製作所でも生産)。そして、「フィット ハイブリッド」用の「1.5Lアトキンソンサイクルi-VTECエンジン」も生産工場は埼玉県内。比企郡小川町の小川エンジン工場で製造されており、まさに"埼玉県産"の車種だ。「フィット ハイブリッド」の注目すべき技術は、デュアルクラッチ制御ハイブリッドシステム、薄型高出力モーター、小型で高出力のリチウムイオンバッテリーなどである。
エンジンとハイブリッドシステム。エンジンとモーター「H1」によるシステム合計の最高出力は139.5馬力、最大トルクは294N・m。(1)i-VTECエンジン「LEB-H1」。排気量1496cc、アトキンソンサイクルを採用したDOHC直噴・直列4気筒エンジン。(2)ブレーキ用電動サーボ。(3)電動ウォーターポンプ。(4)油圧駆動クラッチアクチュエーター。(5)ギアチェンジ用アクチュエーター。(6)エアコン用フル電動コンプレッサー。(7)高出力モーター内蔵7速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)「SPORT HYBRID i-DCD」。DCTとは奇数段と偶数段それぞれにクラッチを備え、変速時間の短縮と伝達効率の向上を実現したトランスミッション。
上の画像を左サイドから。(1)ブレーキ用電動サーボ。電動サーボブレーキとは、回生ブレーキを最大限に活用しつつ、ドライバーの感覚に沿ったフィーリングをもたらす摩擦ブレーキを組み合わせたシステム。(2)高出力モーター内蔵7速DCT。(3)パワーケーブル。「フィット ハイブリッド」のフロントの足回りは、サスペンションがマクファーソン式ストラット/トーション・バー、ブレーキはベンチレーテッドディスク。
フロントからリアまで。(1)リチウムイオンバッテリー。装置のフタが外されており、制御システムが見えるようになっている。(2)パワーケーブル。(3)ブレーキ用電動サーボ。(4)油圧駆動クラッチアクチュエーター。
リチウムイオンバッテリーとその制御システム関連。画像左隅に置いてある青い機器が、取り外されたリチウムイオンバッテリー。(1)バッテリー冷却用ファン。(2)リチウムイオンバッテリー内蔵IPU(インテリジェント・パワー・ユニット)。(3)DC-DCコンバーター。(4)ジャンクションボード。
フィットのリアの足回り。サスペンションはFF車は車軸式で、4WD車がド・ディオン式/トーション・バー。ブレーキはリーディング・トレーリング。
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続いては、5代目「レジェンド」の内部に迫る!
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