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クルマ最終更新日:2021.04.05 公開日:2021.04.05

高速料金がお得に!ETC2.0導入のメリットとは

今や93%以上の利用率となっているETC。中でも、機能強化されたETC2.0は、通行料金の決済以外にもさまざまなサービスが受けられるのをご存じだろうか。ETC2.0を購入、利用した時に受けられるお得なサービスをまとめてみた。

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ETCとETC2.0の違いとは

2021年1月現在、ETCの利用率は93%を超えている。一方でETC2.0の利用率は3割に満たない現状だ。

© 今井 空 / PIXTA(ピクスタ)

 2001年のETC本格導入から20年が経過した。今やETCの利用率は93%を超え、高速道路利用時の必須アイテムになっていることは疑いようもない。一方で、新規格であるETC2.0は2016年の導入以来、国交省などが普及に取り組んできたが、利用率は20211月時点で未だ3割に満たない。

 では、ETCETC2.0の違いはどのようなものだろうか。ETC2.0は、全国の高速道路に設置された約1700か所の通信スポット「ITSスポット」において、高速かつ大容量のDSRC(※)通信が行える。これにより、料金支払い機能のほかに、高速道路上の渋滞・規制情報や災害情報などの運転支援情報を得ることができるようになった。

 例えば、渋滞情報はITSスポットからの道路交通情報がリアルタイムで配信され、ETC2.0対応カーナビゲーションが装着されていれば、その情報を考慮したより最適なルート選択が可能になる。規制や災害情報についても、ルート上の要注意箇所について音声や画像による注意喚起を行ったり、災害発生状況などの情報が随時配信される。

※専用狭域通信の略称。限られたエリア内で高速、大容量の通信が行える。

ETC2.0導入で助成金や割引サービスを受ける

 ETC2.0の現在利用可能なサービスについてまとめてみた。


メリット1. 高速道路からの一時退出ができる

道の駅利用時の一時退出:対象道の駅検索マップ

画像はITSサービス高度化機構「「賢い料金」社会実験(23か所限定)」より。

 道の駅利用のための一時退出をしても、目的地まで高速道路を降りずに利用した場合と同じ料金で継続利用ができる。このサービスは現在実証実験中のもので、対象は全国23か所の道の駅限定。

高速道路の一時退出標識イメージ図

高速道路の一時退出標識「道の駅「玉村宿」」イメージ図 出典:国土交通省

 対象の道の駅付近では、「乗り直し 料金据置」の案内標識が出ているので目印にすると良いだろう。もしくは、ITSサービス高度化機構のWebサイトでも確認可能だ。(https://www.go-etc.jp/michinoeki/)利用条件は以下の通り。

【高速道路からの一時退出利用条件】

  • ETC2.0搭載車が対象(全行程で同一のETCカードを利用)
  • 対象のICもしくはスマートICでの乗り直しかつ順方向のみ料金据え置きとなる。
  • 対象の道の駅に必ず立ち寄ること。その際には、国道側から道の駅に進入する必要がある。
  • 高速道路に戻る際には、ICもしくはスマートIC退出後、3時間以内に同一のICから再流入する必要がある。

メリット2. 中京圏ならETC2.0車載器購入費の助成を受けられる

NEXCO中日本、名古屋高速道路「中京圏ETC2.0車載器購入助成キャンペーンWEBサイト」トップ画面

画像はNEXCO中日本、名古屋高速道路「中京圏ETC2.0車載器購入助成キャンペーン」WEBサイトより

 さらに、2021年4月1日から、NEXCO中日本と名古屋高速道路が共同で2.0車載器購入を助成するキャンペーンを実施している。愛知・岐阜・三重県内の対象店舗にてETC2.0車載器を購入した人には購入費用1万円を助成、さらに、ETC車載器未設置の車両へETC2.0を設置した人には先着で毎月2500名にQUOカード1万円分がプレゼントされる。キャンペーン詳細については以下の通りだ。

【中京圏ETC2.0車載器購入助成キャンペーン詳細】

実施期間:202141日(木)~731日(土)

内容:①ETC2.0車載器(新セキュリティ対応)購入費1万円助成
   ②QUOカード1万円分プレゼント(毎月先着2500名、計1万名)

対象:①期間中に愛知・岐阜・三重県内のキャンペーン取扱店舗(※)で指定の「中京圏ETC2.0車載器購入助成キャンペーン申込書」に記入の上、新たにETC2.0車載器(新セキュリティ対応)の購入・セットアップ・取り付けをした人(※ETC2.0車載器未設置の車両に限る)

※対象店舗は、「中京圏ETC2.0車載器購入助成キャンペーンWEBサイト」(https://www.chukyo-etc2josei.jp/)で確認可能。

   ②キャンペーン1対象者のうち、ETCまたはETC2.0車載器未設置の車両へ取り付けをし、WEBアンケートに回答した人

 再セットアップまたは旧セキュリティのETC2.0車載器はキャンペーンの対象外だが、①においてはETC車載器からの付け替えも対象となる。また、ほかのETC車載器購入助成を受けた車両も対象外となる。


メリット3. ETC2.0だけの圏央道割引が適用される

圏央道割引:対象区間マップ

画像はITSサービス高度化機構「圏央道割引」より。

 ETC2.0搭載車両で、圏央道と新湘南バイパスを利用した際に約2割引きの通行料金割引を受けられるサービス。割引料金は、高速道路の地方部区間の料金水準(例:普通車の場合は24.6円/km)の料金から割引される。対象区間などの詳細は以下の通り。

【圏央道割引詳細】

対象区間:圏央道(茅ヶ崎JCT~海老名JCT、海老名~木更津JCT)、新湘南バイパス(藤沢~茅ヶ崎JCT

割引の適用条件:ETC2.0搭載車両で無線通信により走行すること

割引後料金の一例については以下表にまとめた。

①大井松田⇔相模原(44.9km)

車種 ETC2.0以外 ETC2.0
1230円 1150円
普通 1500円 1390円
中型 1770円 1650円
大型 2370円 2200円
特大 3840円 3550円

②入間⇔境古河(62.1km)

車種 ETC2.0以外 ETC2.0
1780円 1510円
普通 2180円 1850円
中型 2580円 2180円
大型 3490円 2940円
特大 5710円 4790円

③つくば中央⇔神崎(34.4km)

車種 ETC2.0以外 ETC2.0
1040円 910円
普通 1280円 1100円
中型 1510円 1280円
大型 2010円 1700円
特大 3280円 2720円

④松尾横芝⇔木更津東(59km)

車種 ETC2.0以外 ETC2.0
1690円 1430円
普通 2070円 1750円
中型 2450円 2070円
大型 3300円 2780円
特大 5400円 4530円

メリット4. 事業者向けには大口・多頻度割引が適用される

NEXCO東日本「ドラぷら 高速道路の大口・多頻度割引」より、利用から支払いまでの流れ概要図

画像はNEXCO東日本「ドラぷら 高速道路の大口・多頻度割引」より、利用から支払いまでの流れ概要図

 大口・多頻度利用を対象とした割引制度も用意されている。ただし、この制度を利用するには、NEXCO3社(NEXCO東、中、西日本の各社)のいずれかに利用申し込みをした後、各社から貸与されるETCコーポレートカードを利用する必要がある。対象はETC搭載の事業用車両で、ETC2.0搭載車の場合はETC搭載車よりも高い割引率が適用される。割引率などの詳細は以下の通り。

【高速自動車国道の大口・多頻度割引】

●車両単位割引
 自動車1台ごとの1か月の高速自動車国道の利用額に対し、以下の割引率を適用する。

車両単位割引の割引率(括弧内はETC2.0の割引率)

利用額合計 割引率
5000円を超え、1万円までの部分 10%(20%)
1万円を超え、3万円までの部分 20%(30%)
3万円を超える部分 30%(40%)

●契約単位割引

 1か月の高速自動車国道の利用額の合計が500万円を超え、かつ自動車1台あたりの利用額が3万円を超える場合に適用される。割引率は、当該月の高速自動車国道利用額の合計から10%

【一般有料道路の大口・多頻度割引詳細】

●車両単位割引
 自動車1台ごとの1か月の一般有料道路の利用額に対し、以下の割引率を適用する。

車両単位割引の割引率(括弧内はETC2.0の割引率)

利用額合計 割引率
5000円を超え、1万円までの部分 10%(20%)
1万円を超え、3万円までの部分 20%(30%)
3万円を超える部分 30%(40%)

●契約単位割引

 1か月の一般有料道路の利用額の合計が500万円を超え、かつ自動車1台あたりの利用額が3万円を超える場合に適用される。割引率は、当該月の一般有料道路の合計から5%

 なお、現在割引対象となる一般有料道路は京葉道路、東京湾アクアライン、圏央道、新湘南バイパスの4路線。また、このうち、車両単位割引のETC2.0に利用される割引率が適用されるのは20223月末までとなっている。

2022年、旧規格ETC車載器の一部が、電波法違反の対象に

2022年12月1日以降、電波法関連法令の改正により一部ETC車載器が使用できなくなる。

©umaruchan4678 – stock.adobe.com

 紹介してきた通り、ETC2.0には通行料金割引などのサービスが多数あるにもかかわらず普及率は振るわないのが実情だ。しかし、今後は確実に買い替えの需要が増加するだろう。その理由は、電波法関連法令の改正だ。改正により、2022121日以降には、一部のETC車載器の使用が改正法に抵触する可能性が出てくるのだ。一部のETC車載器とは、基本的には2007年以前に技術基準適合証明・工事設計認証(旧スプリアス規格)を受けて製造された機器である。

 スプリアスとは、無線設備において必要周波数帯の外側に発射される不要電波の一種のこと。この不要電波の発射は、電波障害の原因となるため電波法により発射強度の許容値が規定されており、電波法改正によりその基準が強められた。

 既に国内では、無線設備のスプリアス発射の強度の許容値に係る技術基準等の関係省令及び告示が改正され、2005年12月1日から新たな許容値が適用されている。その経過措置期間が2022年11月30日までのため、2022年12月1日からは使用が認められないETC車載器が発生してしまう。

  2007年以前の車載器でも、再度検査を受けて使えるものもある。ただ、そうでないものを使用し続けると電波法違反となってしまう。これを機に新規格のETC車載器を導入するのであれば、より広いサービスが受けられるETC2.0にしない手はないだろう。

 購入費助成キャンペーンや割引サービスは、これまでにもNEXCO各社などで実施されてきた。期間限定のサービスが多いので、タイミングを逃さず上手に活用してお得にETC2.0を利用していこう。

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