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道路・交通最終更新日:2023.06.16 公開日:2021.01.26

高速道路を緊急避難場所に活用、国土交通省が新たに665か所増設の方針

高速道路や国道の高台を、津波や洪水時の緊急避難場所に活用する取り組みについて、国土交通省は新たに655か所を整備していく方針だ。この取り組みは、「防災・減災、国土強靭化 5か年加速化対策」の一環として、地域住民の避難場所の選択肢を増やすものとして注目されている。

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道路の高台を活用した緊急避難場所

徳島県徳島市(徳島自動車道)の緊急避難場所整備例

徳島県徳島市(徳島自動車道)における緊急避難場所整備例 出典:国土交通省

 2020年9月に、高速道路などの高架区間を、津波などの災害時の緊急避難場所として活用していく方針が国土交通省によって発表されたが、この度、全国の高速道路や国道の655か所を整備していく方針であることが分かった。この緊急避難場所の整備は、激甚な自然災害が頻発している状況で、災害対策として十分な避難場所を確保する狙いがある。対象は、津波や洪水などの水害による浸水想定エリアにおいて、浸水想定より高い場所に位置する高速道路や直轄国道となっている。2020年7月時点で、全国で388か所(高速道路166か所、直轄国道222か所)が既に整備済みだ。

国土交通省道路局の担当者に話を聞くと、この道路高架区間の緊急避難場所を国が支援するきっかけのひとつに2011年に発生した東日本大震災の経験があるという。岩手県釜石市では、震災時に国道45号の高架に駆け上がり、津波から逃れた事例がある。それを受けて、2016年6月には釜石市の国道45号の一部が指定避難場所に定められ、近隣の小中学校などでは、現在に至るまで避難訓練が実施されてきたのだ。

こうした経験から、道路高架区間の緊急避難場所活用へ関心が高まり、国土交通省は、2020年12月に閣議決定した防災・減災、国土強靭化の5か年加速化対策として、道路高架区間の整備を明記した。

道路区域に設けられる緊急避難施設のイメージ図

出典:内閣官房

 今回新たに選定された655か所(高速道路59か所、直轄国道596か所)は、全国の自治体からの要請を踏まえて決定された。この緊急避難場所の選定に際しては、道路にスロープや階段設置などを設置していく予定で、準備が整い次第2021年度から順次整備が開始される。2025年までを目標に整備を進めていき、地方公共団体管轄の場所については、同省の補助金、交付金で支援を講じていくという。国土交通省では、今後も引き続き地方のニーズを聴取していきながら、緊急避難場所の設置可能箇所を選定し、整備を進めていきたいとしている。

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