夜の闇に浮かぶ路上の宇宙船──日本が誇るデコトラが一冊の写真集に

神楽坂のアートギャラリーで写真展も開催

　あなたはデコトラをご存じだろうか。答えは1970年代後半に公開された東映映画『トラック野郎』で火がついたトラックである。きらびやかな電飾と極彩画に彩られたそのトラックはデコレーション・トラック、略してデコトラと呼ばれ、高度経済成長の一翼を担った。そしていまや日本のポップアートとして海外からも注目を集める存在になった。

『DEKOTORA － Spaceships on the Road in Japan －」はデコトラの魅力にとりつかれてしまった写真家、秦淳司が15年にわたって撮り溜めてきた写真を一冊にまとめたものだ（通常版8800円、オリジナルプリント付き限定版3万8500円）。

　秦は龍虎丸（デコトラ界隈では有名な一台）にはじめて向き合ったとき、雷に打たれたような衝撃を受けたという。その数年前に撮影したメキシコのウルトラバロックの教会に勝るとも劣らないインパクトだったそうだからなかなかのものだ。「密度の濃い巨大な物体にはわい雑さがありながら、ある種の神々しさがあった」というのは写真集を出すにあたって出したコメントである。

　秦がデコトラを撮影するのは決まって夜だ。夜の闇を黒バックがわりにしたデコトラはなにかの生き物のようにくっきりとその輪郭を浮かび上がらせる。

　判型はA4変形判で、総ページ数は86ページ。5センチ厚、2.4キログラムという堂々の体躯を誇る。ページを飾るデコトラに見劣りしない一冊が完成した。

　12月9日からアートギャラリーのRollで写真展も開催される予定だ。昭和のロマンを感じたいならぜひ。

『DEKOTORA』
Spaceships on the Road in Japan
JUNJI HATA

発行所：DIAMOND HEADS
ブックデザイン：DIAMOND HEADS
A4変型版（280×215mm）86ページ
ハードカバー/小冊子付
価格：8,800円（税込）

JUNJI HATA PHOTO EXHIBITION DEKOTORA − Spaceships on the Road in Japan −
会期：2022年12月9日（金）～ 25日（日）13:00〜19:00（月休）
会場：Roll（東京都新宿区揚場町2-12 セントラルコーポラス No.105）
TEL：080-4339-4949
https://yf-vg.com/roll.html