クルマのある暮らしをもっと豊かに、もっと楽しく

ライフスタイル最終更新日:2023.06.19 公開日:2019.03.01

富士山の絶景とサーキットの魅力

富士山の絶景とサーキットの魅力

「フジ」と聞いて何を思い浮かべますか? と尋ねられれば、真っ先に「富士山」を思い浮かべる日本人は多いのではないでしょうか。いや、今や海外の人でも日本を代表するこの山の名前を思い浮かべる人が少なくないかもしれません。

鉄道好きの方にとっては、かつてのブルートレインの名前でしょうか。TV好きには放送局の名前が浮かぶかも知れません。かつてはこの山の名前を冠した銀行もありましたし、日本ではさまざまなジャンルで愛されている呼称のひとつでしょう。我々カメラマンにとっては、カメラやフィルムのメーカーとして馴染みのある名前でもあります。

しかし、同じカメラマンでも僕も含めモータースポーツの撮影に携わる者にとって、日常会話の中で一番使われる「フジ」は、静岡県にあるサーキット「富士スピードウェイ」です。ここは日本でも有数のサーキットで、国内外のビッグレースが数多く開催されていることから、仕事で訪れる回数もおのずと多くなる場所です。

今回はそんな我々の仕事場である「富士スピードウェイ」から見える富士山のスナップの数々をお届けします。

まずは午前中の富士山が映えるショットから

富士山の東側の麓に位置するこのサーキット。午前中は、山肌に光が当たり富士山全体がとてもクッキリ見えます。背景に富士山が写り、一目で富士スピードウェイとわかる最終コーナー(パナソニックコーナー)は、午前中に足を運ぶカメラマンが多い撮影ポイントです。少しシャッター速度を落として疾走感を出すか、高速シャッターでバックの富士山をクッキリ写すか、少々迷う時もありますが、風景写真ではないので僕はいつもこんな感じでクルマをメインに撮影しています。ちなみに走っているスバルのマシン、このベース車両のメーカーもかつての社名は”富士”重工業でしたね。

春の訪れを感じられる、6月の富士山

ダンロップコーナーを抜け第13コーナーへ向かうマシン越しに見る富士山は最終コーナーから見る富士山と同じような角度ながら、その見え方は大きく違います。6月の富士山にはまだうっすらと雪が残っていますが、山肌をよく見ると緑色に染まっていて「山の中腹にも春が訪れているのだなぁ」と感じます。

夏から秋にかけての雪のない富士山

スタートして最初のコーナー(TGRコーナー)から、グッと下っていくラインの後方に見える富士山。夏から秋にかけての富士山には雪がないので、春先のレースとは随分雰囲気が違います。この写真では、山の右側にスッと横に伸びた雲がいいアクセントになってくれました。ちなみに写真の左側に見えるギザギザの屋根はグランドスタンドです。

午後の光の中、荒々しさを感じさせる富士山

こちらは午後の光を浴びた冬の富士山です。綺麗な円錐形の単独峰である富士山は、とても親しみやすい美しい形をしていますが、逆光気味の山肌からはいつもと違った荒々しさが感じられます。風で巻き上がる雪も相まって、この時はちょっと怖いくらいの表情を見せてくれました。

ダンロップコーナーは、おすすめの撮影ポイント

こちらはダンロップコーナー。スタート直後にはマシンが密集するポイントであり、富士山も映える絶好のビューポイントでもあります。撮影許可を受けてコースサイドで撮影する我々と全く同じ場所ではありませんが、画面右方向にある高台は撮影ポイントの1つ。人で混み合うパドックからも遠く、のんびり観戦できるのでおすすめです。

時間の経過とともにその趣を変える富士山を眺めながら過ごす時間は、仕事とはいえなかなか楽しいもの。レース観戦に来たお客さんが富士山を撮っている光景もよく見かけますが、きっとみんな同じ気持ちなんだと思います。

富士スピードウェイは周辺も見どころがいっぱい

富士スピードウェイへ向かう周辺道路から見る富士山もいろいろな表情を見せてくれます。青々とした苗が整然と植えられた田んぼに映る「逆さ富士」は、まさに日本らしい風景と言えそうです。仕事場に向かう前のちょっとした通勤時間すら清々しい気持ちになり、晴れた日は気分良く1日のスタートを切れるのです。

墨絵のようなモノトーンの世界

こちらも道すがらの風景。他の写真と同じようにカラーで撮影したものなのですが、この日はモノトーンの世界が広がっていました。独特な雲の形とまるで墨絵のような色合いがとても不思議な世界を見せてくれています。11月中旬の朝方の1コマです。

ホテルの窓からは、見事な赤富士が!

富士スピードウェイでの撮影において宿泊は御殿場が便利なのですが、この真っ赤な富士山は、御殿場のホテルから撮影したもの。山肌の色合いや雲の形など色々な要素で変化する風景は、宿泊地でリラックスしている時も我々を楽しませてくれます。こちらは9月下旬の1コマです。

なかなか見られない、夕日越しの富士山

富士スピードウェイ、そしてその周辺から見る色々な富士山をご紹介しましたが、締めの1枚はこちら。レース終了後、山に沈む夕日がとても綺麗でした。もっとも、朝から日没まで1日中、富士山の姿が見え続けるかどうかは天候次第。僕の経験では朝、鮮明に見えていても夕方には雲に覆われてしまうことも多いので、日が沈んでもクリアなシルエットとなった富士山は貴重な光景。そんな光景を眺めながら仕事を終えられると、ちょっぴり得した気分になります。

刻々と変化する富士山を眺めながら、ゆったりとレース観戦を楽しむ1日は、ご褒美のような時間の過ごし方が楽しめるはず(僕は仕事でバタバタしていますが・・・)。サーキットに足を運んだことのない人もぜひ一度「富士スピードウェイ」に足を運んで、富士山の絶景とサーキットで繰り広げられる熱いバトルを同時に楽しんでみませんか?

2019年2月22日(自動車カメラマン・高橋学)

高橋学(たかはしまなぶ):フォトグラファー。1966年北海道生まれ。スタジオに引きこもって創作活動にいそしむべくこの世界に入るが、なぜか今ではニューモデル、クラシックカー、レーシングカーなど自動車の撮影を中心に活動中。日本レース写真家協会(JRPA)会員。

この記事をシェア

  

応募する

応募はこちら!(4月30日まで)
応募はこちら!(4月30日まで)