名作十選「なんちゃってエジソン」8番人気
今だから明かせる撮影秘話と一緒にご紹介!
JAF Mate誌で4年間の連載を終えた「なんちゃってエジソン」。2016年も年の瀬に迫ったこの機に、司会者・ライター横内と調ベンジャー3人が全48話からザ・ベスト・オブ・「なんちゃってエジソン」10選を選んでみました。
各自が10点を満点として「なんちゃってエジソン」全作品に投票する形式。40点が満点です。
第8位(得点:30/40点)
走行中のエンジン停止、車はコントロールできる?/2015年12月号
ここだけの話であるが、エンジンが停止した車の制御し難さを伝えたくて実施した実験ではなかったのです。車を手で押してみたかった。それだけ。
以前、こんなことがあった。私の甥っ子が遊びに来たときのこと。「おじさんね、車を手で押すと、動かすことできるんだよ」と言ったら、「うっそだ~」とまるで信じない。あんな大きい鉄の塊が、おじさん一人の力で動かせっこない。そう信じて疑っていない様子であった。
そこで私は、シフトロックを解除してギアをNにし、サイドブレーキを戻しながらゆっくり車を動かして見せた。そのときの、甥っ子の驚いた顔と来たら、人間は心のそこから驚くとすべての穴という穴を丸くするんだなぁと、驚きの表情を教えられたように感じた。そのとき、ふと思ったのである。「これは、もしかしたら、甥っ子だけではないのかもしれない」。
だから、車を手で押して見せたかったのである。
だがしかし、甥っ子の前でならそれでいい。読者の前で同じことをしても「だからどうした?」と恥をさらすだけである。やるからには、我々は、一つの知見を示さねばなるまい。そして我々は、エンジンの停止した車は、ブレーキの倍力装置もパワーステアリング機構も停止することを知っていた。倍力装置が利かなければ、ブレーキは本当に固くなるし、パワステが利かなければハンドルはウソみたいに回らない。それを実験で示してみよう。
そこで、エンジンの停止した車を3人で手押しし、ドライバーのライター・横内がそれを体験してみた。
そんな今回の名場面と言えば、車の速度を出すために、3人で歯を食いしばって車を手押ししているシーンだろう。速度を出せば、臨場感が出る。しかし悲しいかな、そもそも人間が普通に走る以上の速度には車を手押しできないのは必定で、還暦、不惑、三十路の運動不足の3人組では、せいぜい時速15キロでの実験となったのであった。
【走行中のエンジン停止、車はコントロールできる?/2015年12月号(動画)】
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