町工場の専務です。これから世界はどうなるんでしょうか。
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40代の男です。大田区の町工場で専務をやっています。専務っていっても、70歳近い父親が社長で、従業員が私以外に3人という小さな規模で、私は跡取りなんですが……。
アメリカ大統領がトランプになり、この先、世界はどうなるんでしょうか。
いや、世界なんてどうでもいいんです。
私たちの仕事は、取引先から「輸出が減ったから」という理由だけで、ビシバシ切られてきました。トランプ大統領になり、アメリカが保護貿易になり、ますます仕事が減っていくのは、目に見えています。
ほんとに、いったい、このまま日本はどうなっていくんでしょうか。
息子がひとりいて、中学生です。
世界情勢を目にするたびに、自分や子ども、家族、従業員のことを考えて、身の縮まる思いがします。
これからの世界に、未来はあるんでしょうか。
バンジョー

もう、今日は飲みに行こうよ!
秋の夜、鳥獣たちを引きつれて、夜の町を練り歩きたし。
誰か、ぼくを飲みに連れていってくれないかなぁ。
寒くなってくると、ほんとに、誰かといっしょに飲み歩きたくなるよね。
仕事がなくなっちゃうかもしれないっていうのは、もう、めちゃくちゃ気が滅入るけど、そういうときは、やっぱり飲むしかないと思うんだけど。
考えても仕方ないことに頭をめぐらせると、それはストレスの原因になるから、やめたほうがいいらしいよ。
Take It Easy!
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純一

ただの思いこみですよ
埼玉県にも、もちろん、町工場あるんですが、どちらかというと、トラックなどの運送業とか土建業という職種の中小企業が多いのが特徴です。
トランプ大統領になって、日本はどうなるかっていうのは、アメリカがどうなるのか以上に、未知数な部分が多いと思います。
経済評論家みたいなことは、私にはとても言えないのですが、日ごろ、仕事仲間と話しているようなことを言うとすれば……。
こういう質問に対する答えは、いつも同じなんです。
だめなら辞めてしまうしかない。
それが仕事です。
家族を食わせられない。だったら、その仕事を辞めて、ほかで収入を得るしかない。必要以上にしがみつくことはないし、すっぱりとあきらめてしまう勇気も必要です。
収入が半分になってしまうからもしれない。1/4になってしまうかもしれない。仕事を変わるっていうのは、収入の面を考えると大変ですけど、そのままズルズル続けて大きな赤字を出すより、ぜんぜんいいはずです。
とにかく、だめなら辞めてしまうしかない。
そうじっくりと考えて、でも「これだけは手放せない」というものがあるのだとすれば、それにしがみつくのも、ひとつの道です。けれど、私の経験から言えば、そういうものは実に少ない。ただの思いこみという場合が多いです。
家族みんなで、まじめにこつこつと働いて、贅沢をしなければ、案外、ひとは生きていけるものです。そういう自分を想像して、たくましく、捨てるべきは捨てて、生きていく。いかがでしょうか?
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恵子

腹が立つくらい、いい迷惑
うちの会社……宮城グリーンファームだって、大騒ぎなのよ。TPPで日本の農業が変わるって前提で会社をつくって、バンジョーや私や山田一郎はコンピュータソフトの会社を辞めて、移ってきたわけだから。
もう、ほっんと、青いわよ。まじで。これからは日本の農業を根本的に元気にして、世界に売って出るぞ、くらいの勢いだったんだから。それがまた「保護」という2文字にひっくり返されるってことかもしれない……。
トランプって、腹が立つくらい、いい迷惑。
でも。でも、それが現実なのよね。
このところ会ってる農家のおじさんやおばさんたちも、TPPがオジャンになりそうで、だからといって元気がなくなっているかっていうと、案外、そんなこともないんだよね。農協にどっぷりとおんぶに抱っこな気持ちだったのが、いったん「ここは、もう、自分たちで工夫してやっていくしかない」って気持ちが芽生えたもんだから、そういう勢いは止まらないの。
おばさんたちは言うのよ。
「これまでは農協が買ってくれるって思って仕事してた。けど、TPPの一件で、自分たちの野菜をどう売るかってことを考えはじめた。それで元気になれた。だから、これからも、どう売るかって気持ちでやる」
大田区あたりの町工場の状況は詳しくはわからないけど、これまでも、取引先の都合で仕事が増えたり減ったりしてたわけでしょ。中国と仲が悪くなったりよくなったり、ベトナムやらミャンマーやら、アメリカ以外の国との関係も大きく影響してたんだと思う。だから、これからアメリカがどう出るかってことも、重要だけど、実は、そんなことは関係ないかもしれない。
やっぱり大切なのは、仕事をもらってるって意識より、自分たちで工夫して、自分にしかできないこととか、オリジナルな技術を磨いていくしかない気がする。下請けってポジションからどう抜け出すか。現実的には大変ことかもしれないけど、そういう方向しかないんじゃないかなぁ。
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ライター・松尾の右往左往
トランプになろうがクリントンだろうが、アメリカ大統領なんて誰になろうが、日本がぐっと景気がよくなるなんて話は、まだまだ遠い未来だろうということかもしれません。
今回は、高橋純一、大宮の青年実業家(といっても、もうオッサンですが)に話を聞いてみました。答えは、実にきびしいものでした。ちょっとびっくりするくらいです。
Mr.オクレ似の、まったく冴えないオッサンなんですが、さすがに若いときから経営の才覚を認められただけのことはあるかもしれません。
が、それにしても、きびしいこと言いますね。
だめなら辞めるしかない。
大きな赤字を背負うより、いい。
でも、恵子が言うように、自分たちの技術に自信を持って、それを「売っていく」という攻めの姿勢で生き抜くことも大切な気がします。
バンジョーみたいに「気が滅入るから、飲みにいく」というのは、まったくオススメできませんけど、あまり考えすぎないことも、確かに大切かなという気もします。