ペットボトルの空き容器で心肺蘇生訓練ができるキットが誕生!
一般社団法人ファストエイドは、心肺蘇生訓練をペットボトルの空き容器で簡単に実施できるキット「CPR TRAINING BOTTLE」を開発、訓練等での使用や、販売を準備している。
CPRとは心停止した人の胸部を強く押して血液を循環させる心肺蘇生のこと。「CPR TRAINING BOTTLE」は、CPRの際に胸部を押すのに必要な力が、空のペットボトルを押す力とほぼ同じであることに着目したCPR訓練用キットだ。
ペットボトルで心肺蘇生訓練ができるキットが誕生!
日本では年間7万人以上が突然の心停止で亡くなっている!
119番通報をしてから救急車が現場に到着するまで、全国で平均8.5分かかる。また、心停止してからの救命率は1分経過するごとに7~10%下がる(2007年 Lancet誌 369号掲載 SOS-KANTO スタディグループ調べ)。しかし発見から救急車の到着まで絶え間無くCPRを続けることで、救命率は約2.5倍に高まることがわかっている(総務省消防庁 2016年 救急救助の現況より)。その一方で、突然の心停止現場の43.9%で、居合わせた市民によるCPRは実施されていない。実際、57.3%の人が応急手当に自信がないと回答している(内閣府 救急に関する世論調査)。
日常で手に入れられるペットボトルを用いたCPR訓練キット
「CPR TRAINING BOTTLE」は、日本で年間7万人以上が亡くなる「突然の心停止」から命を助ける心肺蘇生(CPR)訓練を簡単に実施できるキット。ペットボトル、訓練用シート、ペットボトルラベル、レクチャー動画の4点から構成されている。
「CPR TRAINING BOTTLE」を用いたCPR訓練は、2人1組で行うものとなっている。まず、ペットボトルを広げた訓練用シートにセット。1人がボトルを保持し、もう1人はレクチャー動画を見ながら曲のリズムに合わせて2分間のCPR訓練を実施。2分間終了したら、ボトルを保持している人と交代し同様の訓練を行う。
『CPR TRAINING BOTTLE』訓練動画。使用方法を解説した動画を見ながら実践することで、気軽にCPR訓練が体験できる。
◆「CPR TRAINING BOTTLE」の特徴 ◆
ペットボトルを利用したCPR訓練
CPR訓練は通常、専用の人形を使って行われるが、ペットボトルを押すことで、訓練用の人形とほぼ同じ弾力が得られることが判明。「CPR TRAINING BOTTLE」は、人形での実践効果とペットボトルでの実践効果を精密測定した上でキット化したものとなっている。なお、ペットボトルは空になった飲料用のものでも代用可能。その場合は「サントリー天然水」(サントリー南アルプスの天然水、サントリー奥大山の天然水、サントリー阿蘇の天然水)のペットボトルが推奨されている。
短時間で覚えやすい講習
「CPR TRAINING BOTTLE」は、心肺蘇生訓練を初めて行うきっかけとなることを目指している。成人の心停止に対して市民が行う心肺蘇生では、胸骨圧迫のみの場合と胸骨圧迫と人工呼吸を組み合わせた場合とを比較して、胸骨圧迫のみでも予後に大きな影響がないことを示す複数の研究がある。そのため、講習でも「胸を押すことだけ」でのシンプルな心肺蘇生法を推奨。重点を胸骨圧迫に絞ることで、短時間で記憶に残りやすく現場で実践しやすい講習を目指している。
訓練キットを持ち帰れる
突然の心停止の発生場所は自宅であることが多いが、自宅での救命率は著しく低い現状がある。飲料用のペットボトルは全国どこでも手に入れることができるため、同キットがなくても、YouTubeのレクチャー動画を使用して、自宅で家族と一緒に訓練することも可能だ。
写真上はペットボトルに貼り付けるトレーニング用のラベル。写真下は訓練用シート。
なお、CRPをより詳しく知りたい場合は、消防署などで開催されている救命講習で学ぶことができる。