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Cars

公開日:2025.12.31

クルマって、ちゃんとワクワクできる方向へ進んでる? モーターショーの記憶とモビリティショーの現在・未来。━━YOKOHAMA Car Sessionの「ジャパンモビリティショー2025」潜入レポ!

ダイハツ・コペン コンセプト|Daihatsu K-OPEN Concept

11月、東京ビッグサイトで開催された「ジャパンモビリティショー2025」。会場を歩いたのは、大のクルマ好きである「YOKOHAMA Car Session」の3人だ。モーターショーからモビリティショーへと姿を変えて2回目の開催。クルマの未来は、いまどんな方向に向かっているのか。彼らが感じたことを語ってもらった。

ダイハツ・コペン コンセプト|Daihatsu K-OPEN Concept

文=YOKOHAMA Car Session

写真=佐藤大輝

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■YOKOHAMA Car Session(YCS)とは?
“35歳以下”のクルマ好きな若者たちが集う自動車イベント「YOKOHAMA Car Session(ヨコハマカーセッション)」の主催者である、後藤和樹、本田浩隆、甲野大輔で結成した3人組のグループ。

YCSのメンバー3名。左から本田浩隆(愛車:シトロエン BX19TZi)、後藤和樹(愛車:いすゞ ピアッツァXE)、甲野大輔(愛車:ホンダ S2000)。モビショー限定トミカを無事にゲットしてニッコリ。

YCSのメンバー3名。左から本田浩隆(愛車:シトロエン BX19TZi)、後藤和樹(愛車:いすゞ ピアッツァXE)、甲野大輔(愛車:ホンダ S2000)。モビショー限定トミカを無事にゲットしてニッコリ。


クルマ好きな僕らが、モビショーで心に残ったポイントを自由に語り合う座談会企画。これまで、展示されていたモビリティの中で、気になったクルマや、良かったブース演出についてを語ってきた。

今回は「まとめ編」。今までのモーターショーと、これからのモビリティショーについてアツく語り合った。

モーターショーがモビショーになって、変わったこと

後藤 ここまでジャパンモビリティショー2025(以下、モビショー)で、それぞれが良いと思ったモビリティやブースについて話してきたけど、今回はまとめとして、俺らのようなクルマ好きな若者にモビショーがどう映ったのか、そして今後のモビショーに何を期待するのか。このあたりを話してみようと思います。じゃあ、まずは甲野から!

甲野 若い世代に向けて「クルマって楽しいものだよ」ってアピールしようという姿勢は、どのメーカーも強くなってきていると感じたね。

軽やコンパクトカーを中心に、「若い世代にこそ楽しんでほしい」とメーカーが力を入れている車種が、いつ正式発表されても不思議じゃないクオリティで出てきたのは良かった。次のモビショーまでに販売されそうなクルマも多かったよね。

今は免許を持っていない人でも、免許を取ったら「これに乗りたい」って思えるクルマが結構あったんじゃないかな。

後藤 ぶっ飛んだコンセプトカーとは違って、近い将来、実際に手が届きそうだと思えるクルマには、ある種の夢があるよね。モーターショー時代の最後の方なんかは、「時代は電気」「エコとサステナビリティ」みたいなテーマばかりで、正直ワクワクするクルマが少なかったもんね。

甲野 逆に2007年頃のモーターショーは、ワクワクするクルマが多かったよね。「こんなクルマがあったら欲しいよね」みたいな。でもモビショーになってから、当時のワクワク感が徐々に戻ってきている気がする。

YCSが忘れられない、モーターショー時代のコンセプトカー

後藤 ちなみに今までのモーターショーで、一番印象に残っているクルマって何?

甲野 一番鮮明に覚えているのは「R35 GT-R」かな。2000年代初頭からコンセプトは出ていたけど、市販車が初めてアンベールされた瞬間は忘れられないね。

本田 俺は「不夜城」(※ホンダが1999年に出展)だな。最初に見たとき、「なんだこの掃除機みたいなクルマは!?」って思ったもん。

ホンダが1999年に発表・出展したコンセプトモデル「不夜城」。画像=ホンダ

ホンダが1999年に発表・出展したコンセプトモデル「不夜城」。画像=ホンダ

甲野 色もすごかったもんね! 青紫みたいな。

後藤 ホンダは「PUYO」(※ホンダが2007年に出展)もあったな。

本田 あったあった! アルファゲル(※高所から生卵を落としても衝撃を吸収し、割れないことで知られる高性能衝撃吸収素材「αGEL」のこと)みたいなやつ!

ホンダが第40回「東京モーターショー 2007」で初出展した「PUYO」。名前の由来はボディを触った時の感覚(「ぷよぷよした」感覚)を日本語の擬音で表現したもの。人にも環境にも優しい、角のない箱型フォルムがデザインコンセプト。

ホンダが第40回「東京モーターショー 2007」で初出展した「PUYO」。名前の由来はボディを触った時の感覚(「ぷよぷよした」感覚)を日本語の擬音で表現したもの。人にも環境にも優しい、角のない箱型フォルムがデザインコンセプト。

甲野 86のコンセプトもあったな! 「FT-86」(※トヨタが2009年に出展)だっけ。

後藤 なつかしいな(笑)。

本田 あと2005年かな? 「デリカD:5コンセプト」!

甲野&後藤 あーー、あったあった!!(笑)

後藤 もう20年近く前の話だけど、こうして何年経っても記憶に残っているっていうのは大事なことだと思うんだよな。今の若い人たちにとって、どんなクルマが記憶に残るのかっていうのがね。

“クルマそのもの”から、“モノや人を運ぶ考え方”へ

本田 モーターショー時代は、コンセプトカーのデザインがそのまま市販化される例が結構あって、「5年後くらいには、こんなクルマが街を走り始めるんだろうな」と想像しながら見ていたのを覚えてる。

モビショーに変わってからは、すぐに市販化するわけではないけど、「このコンセプト自体は今後も変わらないんだろうな」と思える提案が多くなったと感じたな。

コンセプトカーって“概念”みたいなものだから、近年では“自動車そのもの”よりも、“モノや人を運ぶ考え方”にフォーカスが移ってきているんだと思う。

世の中には自力で移動することが難しい人もいて、そうした人たちに移動の自由を届けようとする提案が増えてきた。「すべての人に移動の喜びを」っていう気概を各社から強く感じられたね。

後藤 なるほどね、本田の話はすごく良くわかる。あくまで個人的な見解だけど、モビショーは明らかにモーターショーとは別物だと思うんだよね。

単にクルマのコンセプトカーを展示するだけではなく、各メーカーが「モビリティとは何か」を改めて咀嚼して、新しい解釈で10年後や20年後、あるいはもっと先の未来を明るくするための提案を行う場だと思っている。

「こんな世界もあるんだ!」「こういうのもモビリティなんだ」って発見や高揚感があって楽しいよね。

大のクルマ好きとして知られているYCSだけど、もちろんどんなモビリティにも興味津々。

大のクルマ好きとして知られているYCSだけど、もちろんどんなモビリティにも興味津々。

本田 俺ら自身の解釈の幅も、かなり広がったよね!

後藤 そうそう! だから未来の世界観を描いた展示エリア「Tokyo Future Tour 2035」は面白かった。あの世界観がもっと大きく広がってほしい。

甲野 今回は各メーカーブースに、間もなく市販できそうなクルマと、コンセプトとしての未来型モビリティが共存していたけど、メーカーブースとは別に「Future Tour」を設けて、市販車と未来モビリティを分けて展示しても面白いかもね!

後藤 ワクワクするようなメーカー像を、もっと見せてもらいたいね。

甲野 未来の姿も気になるけど、個人的には1年後や2年後といった近い将来のクルマも見たいから、市販前提のモデルももっと盛り上がってくれると嬉しい。近い未来と、すごく先の未来の姿がうまく共存していくといいなって思う。

Tokyo Future Tour 2035のエントランスを抜けた瞬間、視界がふっと開ける。そこにあったのは、未来という言葉がしっくりくる、少し非日常な空間。さて、この先にはどんなモビリティが待っているのだろう。

Tokyo Future Tour 2035のエントランスを抜けた瞬間、視界がふっと開ける。そこにあったのは、未来という言葉がしっくりくる、少し非日常な空間。さて、この先にはどんなモビリティが待っているのだろう。

すべての“移動”で、ワクワクできる未来になりますように!

本田 あと今回のモビショーで思ったのが、移動の在り方への原点回帰かな。陸上移動だけじゃないモビリティが結構あったように思った。例えばホンダなんかは、クルマやバイク以外にもホンダジェットがあったり、船外機があったりさ。

後藤 宇宙に行こうとしてるよね(笑)。

本田 そう! 陸上移動にとらわれず、もっと「ウチの技術やプロダクトはすげぇだろ!」っていう勢いで、さらに観客を魅了してほしいよね。

甲野 クルマをあまり知らない人でも、ワクワクできるイベントになるといいな。クルマがどうこうじゃなくて、「あのイベントに行けば面白いものが見られる!」みたいな存在になったら理想だよね。

本田 あとは、我々よりさらに下の世代。たとえば小中学生や幼稚園児にも、社会科見学として見に行ってほしいよね。モノづくりやモビリティへの知見を深めて、新しい角度から興味を持ってもらいたい。

「Out of KidZania in Japan Mobility Show 2025」の「日本カーモデラー協会」ブースにて。カーモデラーのクレイモデルを作る仕事といえば、みんなの夢でしょ。

「Out of KidZania in Japan Mobility Show 2025」の「日本カーモデラー協会」ブースにて。カーモデラーのクレイモデルを作る仕事といえば、みんなの夢でしょ。

甲野 モビショーになってから、キッザニアとのコラボもやっているよね。あれこそ、未来の乗り物好きを育てる第一歩だと思うんだよね。幼い頃の原体験って、必ず将来に生きてくるから。これは今後も続けてほしいな。

本田 モビリティに関する何かしらの体験ができて、それが思い出として残るのがいいよな。

後藤 俺らにもいろんな原体験があって、それが今こうして身を結んでいるように、今の子どもたちの良き原体験として、モビショーはこれからもあり続けてほしいな。

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