なぜスズキの新型バイク「GSX-8T/8TT」はカッコイイのか? デザイナーが本気を出すと、日本のストリートバイクはこうなる。
東京ビッグサイトで11月に開催された「ジャパンモビリティショー2025」。各バイクメーカーの中で最も注目すべきモデルは何だったのか? 今回はスズキより、国内販売のアナウンスが待たれる新型「GSX-8T」「GSX-8TT」に注目する。
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幅広いジャンルの移動手段を提案するスズキ
スズキのブースでは、二輪・四輪モデルに加え、特定小型原付などの多様なコンセプトのモビリティを展示。未来の移動手段を幅広く提案していた。
自転車・バイクの二輪カテゴリーでは、電動モデルが数多く発表されていた中、とりわけライダーの熱い視線を集めていたのが、市販予定車として国内初披露となったネオレトロなストリートバイク「GSX-8T/8TT」の2台だ。
写真左からGSX-8T、GSX-8TT。
なぜ、欧州ストリートバイクの空気感が漂っているのか
欧州ではすでに販売がスタートしており、日本導入も大いに期待されている「GSX-8T/8TT」。開発コンセプトには「レトロスピリッツ、ネクストジェネレーションパフォーマンス」が掲げられている。
本モデルは、過去の名車を現代に蘇らせる、いわゆるリバイバルモデルではない。スズキの歴史の中で培われてきたDNAを受け継ぎつつ、現代的な解釈で再構築したタイムレスデザインとして成立している点が大きな特徴だ。どこか懐かしさを感じさせながらも、古さを感じさせないモダンな雰囲気を纏っている。
その世界観を象徴するのが、丸型ヘッドランプをはじめ、丸型のバーエンドミラー、ブラックアウトされたエンジンカバーといったディテールの数々。随所にクラシカルなモチーフを散りばめることで、ネオレトロらしい雰囲気を高めている。
GSX-8Tの丸目ヘッドライトは、T500といった過去のモデルに採用されていたフラットボトムライトを意識したもの。
また、タンク容量はGSX-8Sが14.0Lであるのに対し、8T/8TTでは16.5Lへと拡大。8TTにあしらわれた「SUZUKI」ロゴは、ペイントではなく立体造形となっており、よりリッチな印象を与える。
マッシヴな燃料タンクや短めのリアフェンダーによって、欧州ストリートバイクの要素が色濃く表現され、とにかく見た目が良い。それもそのはずで、デザインを手掛けたのは、イタリア・トリノにあるスズキのデザインセンターに勤務するフランス人デザイナーだという。
ほかにも、マフラーカバーは樹脂製からステンレス製へと変更され、シュラウドには“8ボール”のエンブレムを配置。細部まで作り込まれた意匠は、オーナーの所有欲を強く刺激する。
GSX-8T/8TTでは776cc並列2気筒エンジンを採用。各所に散りばめられたビリヤードの8ボール意匠も、眺めるたびにテンションが上がる要素だ。
パワーユニットには、GSX-8S/8Rで高い評価を受けている775cc直列2気筒エンジンを搭載。高剛性スチールフレームに軽量なアルミスイングアームを組み合わせることで、機敏さと快適性を高次元で両立している。走る・曲がる・止まるというバイクの基本性能を、非常にバランスよくまとめ上げた一台と言えるだろう。
電子制御面も抜かりはない。スズキドライブモードセレクターや電子制御スロットルをはじめ、スズキ独自の電子制御システム「S.I.R.S.」を採用。ルックスだけでなく、日常からスポーツライディングまで快適に楽しめる懐の深さも備えている。
GSX-8T/8TTの国内販売時期や価格は未定だが、ホンダ「CB1000F」やカワサキ「Z900RS」が登場・発表された今、新たな選択肢が増えることはファンにとって嬉しい悩みとなりそうだ。
スズキ GSX-8T|Suzuki GSX-8T
BEVファンバイクの市販化は期待できるのか
このほか、スズキのブースで注目しておきたい電動モデルも紹介したい。BEVスクーター「e-Address」は、タイムレスなデザインに加え、スムーズで快適な走行フィールを生み出すモーターを搭載。3つのドライブモード(A/B/ECO)を備え、WMTCモードで航続距離83kmを実現している。
さらに、そのユニットを活用し、かつて人気を博したVanVan(バンバン)をモチーフに仕立てたBEVファンバイク「e-VanVan」も登場。コンセプトモデルながら、パワーは原付二種相当(50~125ccクラス)で、車体サイズは全長1810×全幅825×全高1050mm。初代VanVanを彷彿とさせるデザインも好印象で、遊び心あふれるスタイリングと先進的なカラー&グラフィックが来場者の注目を集めていた。
スズキ e-アドレス|Suzuki e-Address
スズキ e-バンバン|Suzuki e-VanVan




