首都高で二輪車事故が増加中! どのような年代がいつ起こしやすいのか?
首都高速道路(以下、首都高)では、二輪車の事故が増加傾向にあります。どのような傾向があるのか。交通技術ライターの川辺謙一が、首都高を運営する首都高会社に尋ねてみました。
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増え続ける二輪車事故
首都高では、近年二輪車による事故が増加傾向にあります。首都高全体で見ると、事故発生件数が減っているのに、二輪車の事故が増えているのです。
また、2025年度においては、10月までの約半年で二輪車の重大事故(重傷・死亡事故)が7件発生しており、過年度とくらべて急増しています。7件のうち3件は死亡事故でした。
二輪車の重大事故発生件数の推移。年度別の二輪車の事故の発生件数の推移。この10年間で増加傾向にある。画像出典:交通安全対策の推進,首都高公式サイト
首都高における全車種の年間交通事故発生件数は、2024年度に9,295件で、2015年度の10,919件よりも減っています。いっぽう、対象を二輪車に限定すると、2024年度に208件で、2015年度の163件より増えています。
もっとも多いのは20代
首都高では、次のようなときに二輪車の事故が多く起きています。
・月:3〜4月と7〜12月
・曜日:土日祝日
・時間:7〜17時台
年代では20代が多いです。2024年度における各年代の割合は、10代は6%、20代は38%、30代は16%、40代は16%、50代は16%で、20代の割合が突出しています
追突事故が約4割
事故形態では、追突事故が圧倒的に多いです。事故形態の割合は、追突事故が38%、車両接触事故が22%、施設接触事故が21%、転倒事故が19%です。
追突事故では、渋滞末尾または停車車両に対するものが全体の約6割を占めています。とくに見通しの悪いカーブやトンネル入口部では、前方不注意等により、渋滞末尾や停車車両に気づかず追突してしまうケースが多発しています。
年代別で事故形態を見ると、追突や施設接触、転倒事故においては、20~30代が約6割を占めています。ただし、車両接触事故においては、近年50代の割合が増えています。
二輪車による追突事故の年代別内訳。20代の割合が大きい。画像提供:首都高速道路株式会社
二輪車の車両接触事故の年代別内訳。2022年度以降、50代の割合が増えている。画像提供:首都高速道路株式会社
二輪車利用者以外も注意
以上、首都高で起きている二輪車事故の傾向を示すデータを紹介しました。もちろん、これらのデータから、主たる原因を特定することはできません。ただ、事故が全車種では減っているのに、二輪車では増えているという事実は、気になるところです。
また、車両接触事故において50代の割合が増えているのも気になります。現在の日本では、50代が総人口で大きな割合を占めています。私は二輪車に乗っていませんが、このデータを見て、首都高を利用する50代の一人として気をつけたいと感じました。
現在首都高会社は、二輪車の事故を減らすため、案内看板や横断幕を道路に設置する、もしくはSNSなどのツールを使って、二輪車の利用者に注意を呼びかけています。同社は、二輪車の事故が起きやすい場所をウェブサイト「首都高ドライバーズサイト」で公開しています。
二輪車の事故は、乗用車や大型車に乗る人にとっても無関係ではありません。自分が乗る車両が二輪車に接触して事故が起こる可能性があるからです。
首都高などの高速道路を利用するときは、そこで起こる事故の傾向を知り、それを減らすための対策を「わがこと」として考え、たがいの安全を確保する。そのことが高速道路のユーザーにあらためて求められている、と私は考えます。
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