高速道路のトンネルでラジオが聞けなくなる!? 地上波ラジオ再放送設備の休止についてNEXCOに聞いてみた。
高速道路のトンネル内では、これまで地上波ラジオを通じて道路交通情報や緊急情報を受信することができた。ところが、NEXCO西日本の管轄する高速道路では、トンネル内ラジオ再放送設備の運用が一部休止されるという。一体どういうことなのかNEXCO西日本に取材しました。
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NEXCO西日本管轄の一部トンネルで、ラジオが聞けなくなる
トンネル内ラジオ再放送設備マップ。オレンジ色の区間で設備が休止される。
これまで高速道路のトンネル内では、地上波ラジオを受信することができ、道路交通や災害などに関する情報をキャッチすることができました。しかし、2025年11月以降、NEXCO西日本が管轄する高速道路において、一部トンネル内においてラジオ再放送設備の運用が順次休止されています。
ドライバーの安全に直結する設備だけに、「情報が入らなくなるのでは?」「非常時は大丈夫なのか?」と不安の声も聞かれます。今回の施策は、私たちのドライブにどのような影響を与えるのでしょうか。
NEXCO西日本によると、休止されるのはトンネル内で地上波ラジオを再送信する設備。これにより、対象となるトンネル内では、通常時にラジオ放送を受信できなくなります。この設備は、交通事故や災害が発生した際には、通常の番組を中断し、緊急告知放送へ自動的に切り替わる仕組みも備えていました。
高速道路は状況の変化が激しく、とくにトンネル内は情報が遮断されやすい環境にあります。そのため、トンネル内ラジオ再放送設備は、これまで安全対策の一環として重要な役割を果たしてきたのです。
なお、ラジオ再放送設備の運用が休止されても、携帯電話の回線が利用できるため、インターネットを通じたラジオ視聴アプリは利用することができます。また、短いトンネルなど、元々再放送設備が設置されていないトンネルでは、ラジオ聴取には影響がありません。
今回の休止対象エリアには、観光地周辺も含まれており、多くのドライバーに影響がありそうです。
一方、すべてのトンネルが対象となるわけではありません。たとえば、新名神高速道路の高槻IC〜川西ICや、京滋バイパスの笠取IC〜宇治東ICなどでは、引き続きラジオ再放送設備の運用が継続される見通しです。
非常時の情報伝達体制は維持される
緊急時の案内放送体制は、これまで通りに維持されるという。
地上波ラジオ再放送設備の休止によって、非常時における安全性が低下する懸念があります。
SNS上では、「インターネットラジオは遅延があるのでは」「スマートフォンの充電が切れたら情報を得られないのでは」といった不安の声も上がっていました。実際、運用休止の公表以降、NEXCO西日本には内容確認や懸念を含め、複数の問い合わせが寄せられているそうです。
これについて、NEXCO西日本の担当者は「今回休止するのは、通常時のラジオ再送信設備です。トンネル火災などの有事に備えた非常用設備は含まれておらず、緊急時には従来通り、ラジオ放送への割り込みによる案内放送を実施します」と回答しました。
つまり、休止されるのはあくまで通常時の情報提供に関する設備であり、緊急時の案内放送体制はこれまで通り維持されるということです。
緊急時の情報伝達は確保されているとはいえ、通常時にトンネル内でラジオが聞けなくなることで、ドライブ中の情報取得のあり方は確実に変わるでしょう。今後、カーナビやスマートフォン、道路情報板など、複数の手段を組み合わせて情報を得る重要性はより高まっていきそうです。
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