BMW 1シリーズからホンダ「フィット」に乗り換えた! 日本の狭い“機械式駐車場”対策で購入、納車後に感じたこととは?
引っ越し先マンションの機械式駐車場が狭すぎたため、BMW1シリーズからホンダ フィットへ乗り換えることにした、自動車ジャーナリストの山崎 明氏。長年連れ添った愛車とのラストランを終え、ついにフィットが納車! 実際に駐車して感じたことや、気になるe:HEV RSグレードの燃費性能はどうだったのだろうか?
この記事をシェア
BMW1シリーズ、ラストランへ!
私のクルマ買い換えプロジェクトだが、前回の記事に書いたように車種はホンダ「フィット e:HEV」のRSグレード、ボディカラーはスレートグレーパールと決定した。
納車は8月のお盆休み明けに可能ということだったが、愛車のBMW 118dを引き渡してからでないと保管場所がないため、納車は9月1日にお願いすることとし、それに合わせて登録は8月末にしてもらうことにした。
まずはBMWを引き渡さなければならない。買ってくれることになったのは友人の息子さんで、クルマの購入は初めてである。もちろん移転登録手続きなど行ったことはない。私は今までに何度も手続きをしたことがあるので、二人で一緒に陸運事務所に行って手続きを行うことにしたのだ。業者に依頼することも可能だが、何事も経験である。
問題は彼が仙台に住んでいることで、登録前に用意する必要がある書類は彼自身で取得してもらう必要がある。
事前に必要な書類とは車庫証明と印鑑証明、そして希望ナンバーにしたい場合は希望ナンバーの申し込みである。一番ハードルが高いのが車庫証明の取得だ。車庫の所在地の地図や車庫の配置図、寸法などを書かないといけないからだ。もちろん駐車場の使用許可も大家からもらわないといけない。
しかし彼は見事一発で車庫証明の取得に成功、希望ナンバーの手続きも問題なくできたという。
私の方で用意すべき書類は私の印鑑証明と譲渡証明書である。譲渡証明書の用紙は国土交通省のホームページからダウンロードできる。クルマの登録を業者に依頼する場合は委任状が必要だが、今回は旧所有者と新所有者が二人とも立ち会うので委任状は不要だ。その他の登録手続きに必要な用紙は陸運事務所で入手できる。
準備がすべて整ったので、8月某日、BMWでのラストランも兼ねて仙台まで出発である。
新オーナーの父親である私の友人も同行したいということで、いろいろ話しながら走っていたらあっという間に仙台に到着した。午前中の受付時間ギリギリでの到着だったが、午前中で移転登録手続きを終えることができ、晴れてBMWは仙台ナンバーとなった。その後は牛タンを食べてビールを飲みながら新幹線で帰還である。
湘南ナンバーを取り外し、愛車のBMW 118dとお別れする山崎氏。
納車されたフィットで長距離ドライブ! 気になっていた燃費は?
そして9月、フィットは晴れて納車となった。やはり機械式駐車場の駐めやすさはBMW 118dに比べ圧倒的で、若干斜めに入ってしまってもパレット上で修正ができるほど余裕がある。これで駐車のストレスからは解放されることとなった(これが買い換えの目的なので当然なのだが)。
ホンダ「フィット e:HEV RS」がついに納車!
BMW 118d(写真右)では両側60mmしか余裕がなかったのに対し、フィット(写真左)ではかなりの余裕があった。
もう一つの目的であるハイブリッドの経済性については、藤沢周辺の街中の走行でも20km/L程度走ってくれるので環境へも貢献しているという気持ちになれる。そして長距離ドライブを試すべく、大阪万博まで行くことにしたのである。
高速道路では100km/h程度の走行でもエンジンが停止してEV走行をする時間も多く、27~28km/L程度の燃費で走ってくれていたのだが、新東名の制限速度120km/h区間に入って状況が一変した。私はGPS速度計も付けているので、GPSで120km/hを維持するように(越えないように)走行した。
しかしこの速度域ではエンジンが止まることはほぼなくなり、燃費は悪化していき20km/Lを割り込んでしまうのだ。つまりこの速度域ではハイブリッドシステムはあまり機能せず、1500ccのNAエンジンなりの燃費になるということなのだろう。結果的に藤沢から万博駐車場までの総合燃費は23.0km/Lとなった。
帰路も22.9km/Lとほぼ同スコアで、新東名を使った高速移動ではこのくらいの燃費となるのだろう。燃料タンクは40Lなので、基準としていた鈴鹿サーキット往復無給油は達成できるだろう(藤沢~鈴鹿サーキットは約350km)
フィットのメーター。藤沢(神奈川)~大阪万博での平均燃費は23.0km/Lだった。
しかしBMW 118dで同じような行程を走った場合は21km/L程度の燃費となることが多く、燃料は軽油(レギュラーガソリンより1Lあたり20円程度安い)なので、120km/h区間中心の高速長距離の移動に限ってはBMW 118dの方が若干経済的という意外な結果となった。
118dのタンク容量は52Lなので、高速長距離移動の場合はリアルで無給油1000km越えが可能なのも118dの美点だ。もちろん100km/h以下の状況、特に市街地ではホンダe:HEVの方が優秀ではあるので、総合的にはe:HEVの圧勝ではあるのだが、ガソリンハイブリッドは万能ではないことがわかる。
ディーゼルゲート事件より前、平均速度の高いヨーロッパではハイブリッドは売れずディーゼル車が中心だったことも納得だ。もちろんディーゼルゲート事件以降話は全く変わってしまったのだが。
フィットe:HEVを買って良かったこと、不満に思うこと
総合的にみてフィットe:HEVには非常に満足している。街中での出足は高トルクのモーターにより軽快で、EV走行時間も長いので静粛性も高い。長距離走行でも疲れなかったし、腰が痛くなることもなくシートも優秀だ。高速安定性はBMW並とは言わないが、日本の速度域では十分だ。
LKA(レーンキープアシスト)をONにすると車線の中央を維持するようアシストしてくれるのでとても楽だった。
大阪へは夫婦だけで行ったので後席は使わなかったが、後席はBMW 118dより明確に広い。後席を畳んだときの荷室も使いやすく、5ナンバーサイズで全高も1550mm以下なので駐車場も選ばず、実用車としては理想に近いのではと思う。
それでも細かい不満点がないわけではない。最大の不満点はRSグレードにはブラインドスポットインフォメーション(斜め後方の死角にいる車両を知らせてくれる機能)がオプションでも選べないことだ。安全に直結するものなので、是非全車標準にしてもらいたい(もう一台の愛車であるマツダ・ロードスターには装備されている)。
ナビの使い勝手にも不満がある。今までBMWとマツダのナビを使ってきたわけだが、どちらも手元のロータリーダイアルで様々な操作をすることができた。
特に地図の拡大縮小はダイアルを回すことでできたので、いちいち地図画面に手を伸ばさなくてはいけないのはとてもストレスだし、走行中の操作は危険でもある。せめて音声操作で拡大縮小ができるようにして欲しい。
そしてフィットe:HEVに乗り慣れたあと改めて気付かされたのは、マツダ・ロードスターの素晴らしさである。適度なパワーの気持ちの良いガソリンNAエンジン+軽量コンパクトな車体とMTの組み合わせは圧倒的に楽しい。
古典的な運転感覚が楽しいロードスターと、最新の電動車の感覚を楽しめるフィットe:HEVは、なかなか良い2台保有の組み合わせなのではと思っている。
友人の息子さんに譲渡し、新たに仙台ナンバーが取り付けられたBMW 118d。良いクルマでした。




