アウディのデザインが変わる! 新型2シータースポーツカー「コンセプトC」を発表【新車ニュース】
9月2日、アウディは電動2シータースポーツカーの新しいコンセプトスタディモデル「コンセプトC」をイタリア・ミラノで発表した。将来のアウディ車のデザインの方向性を明確に示すものだ。
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「アウディ コンセプトC」発表の場にミラノが選ばれた理由

アウディAG ゲルノート・デルナーCEO|Audi CEO Gernot Döllner
アウディは新しいデザイン哲学について、「アウディの抜本的な再構築の一環であり、アウディ全体にとって新しい始まりを意味します。製品、プロセス、そして組織構造は本質にフォーカスし、イノベーションと技術的リーダーシップが発揮される環境を生み出します」と説明。
「Strive for Clarity(明快さの追求)」を掲げて開催されたミラノでのイベントは、アウディのトランスフォーメーションにおける次章も示した。明快さに焦点を当てたデザインによって、アウディは競争が激化する時代でもアウディの独自性を継続させる、無駄を削ぎ落とした、普遍的な美学へと大きな一歩を踏み出す。
何世紀にもわたりデザイン、テクノロジー、そして卓越した人物を輩出してきたミラノという街でこの新しい一歩が始まったのは、決して偶然ではない。今日でもルネサンスの理念ほど強いインスピレーションを与え続けるものはほとんどない。アウディAGのゲルノート・デルナーCEOは「先見的な思考と既成概念を超えようとする姿勢は、アウディにとって模範となります」と述べている。
「コンセプトC」が披露されたイタリアのデザインの中心地であるミラノは、新しい時代のスタートを切るための完璧な場所だとアウディは主張する。
不要なラインや要素を排除して本質に絞り込むこと、そして幾何学的な明快さにコミットすること

アウディAG マッシモ・フラスチェッラCCO|Audi Chief Creative Officer Massimo Frascella
新しいアプローチは、ブランドのアイデンティティを明確に体現するデザイン言語によって明らかになる。アウディは独自のデザイン、妥協のない品質、そして洗練を象徴。CCO(チーフクリエイティブオフィサー)のマッシモ・フラスチェッラ氏は「徹底したシンプルさが私たちのアプローチの核心です。すべてを本質にまで減らすことで、私たちは明快さを実現します」と語る。
これはエクステリアだけでなく、インテリアにも適用される。最新の技術革新と素材は、顧客に新しい可能性をもたらす場面で的確に活用され、最小限の工夫が最大の成果を生み出す。
フラスチェッラ氏にとって、このアプローチは理性的な体験を超えて、クルマを魅力的にする要素に関わる。したがって、エモーションがこのデザイン哲学において重要な役割を果たすという。「私たちは、憧れを呼び起こし、文化的なインパクトを創造できるブランドを作りたいのです」
9月9日にドイツ・ミュンヘンで開幕する「IAAモビリティ2025」でショーデビューを飾る「コンセプトC」は、この新しい哲学を初めて具現化したモデル。このコンセプトカーは、将来の製品のデザインと新しいインテリア体験の方向性を示し、普遍的なデザインの原則を体現する。それは、不要なラインや要素を排除して本質に絞り込むこと、そして幾何学的な明快さにコミットすることだ。
フロントデザインは、アイコニックな「アウトウニオン・タイプC(1936年)」レーシングカーや、3代目の「A6(2004年)」にインスピレーションを得たバーティカルフレームによって定義。垂直方向のデザインが視線を惹きつける。
力強いショルダーラインは、この2シータースポーツカーの立体的なフォルムを際立たせている。そのプロポーションは、中央にあるバッテリーのレイアウトによって生まれたものだ。キャビンは後方に大きく伸び、ボディにしっかりと据え付けられている。
電動リトラクタブルハードトップは、アウディのロードスターに初めて採用されるもの。このリトラクタブル・ハードトップはふたつのルーフエレメントで構成されており、車両がモノリシックなシェイプを保持すると同時に、オープントップのドライビングエクスペリエンスを可能にする。
リヤでは、クリーンなサーフェスと水平のスラットが、このモデルのスポーティなキャラクターを強調している。
ヘッドライトおよびリヤライトそれぞれには、4つのエレメントを水平方向に配置した新しいライトシグネチャーを導入。このデザイン要素は、昼夜を問わずアウディのビジュアルアイデンティティを定義し、道路上での明確で間違いようのない存在感を示す。エクステリアはチタニウムカラーにペイント。暖かみと技術的な洗練さを感じさせる、チタンの光沢にインスパイアされた、精緻さ、軽さ、強さを体現する素材だ。
本質まで絞り込むというアプローチはインテリアにも反映されており、ユーザーの気を散らす要素から解放し、インテリジェントなテクノロジーによって、適切なタイミングで適切な情報を提供する。

アウディ コンセプトC|Audi Concept C
インテリアは力強い建築的な表面と明確な幾何学的フォルムが特徴。2名の乗員にスペースを確保しつつ、さりげなくドライバーを中心に取り囲む。
アルマイト加工されたアルミニウムから製造された物理的なスイッチ類は、その外観、触感、そして独特の「アウディクリック」を通じて、機械的な品質を感じさせる触覚的な体験を提供する。ステアリングホイールは洗練された触覚体験の中心となる。その特徴である丸い形状、洗練された触感要素、そして中央に配置された金属製のアウディリングスは、究極の技術的精緻さにより作られている。すべての素材が、インテリアの純粋で洗練された雰囲気を演出する。
10.4インチの折りたたみ式センターディスプレイは、あらゆる状況に応じて関連情報を直感的に提供。ステアリングホイールおよびセンターコンソールの触感コントロールとともに、ユーザーインタラクションにおける明快さと精緻さを実現するデザインだ。
カラーパレットもチタンにインスパイアされ、同系色の調和を示す。天然素材によって、洗練した、暖かみのある、格調高い環境を作り出している。ナチュラルな色調による間接的なアンビエントライティングは、素材をくっきりと際立たせ、インテリアデザインの確かな重厚感を一層引き立てている。
明快さはアウディの理念であり、これからの時代においてアウディを導く羅針盤(ゲルノート・デルナーCEO)

アウディ コンセプトC|Audi Concept C
「アウディの歴史は、デザインの明快さに対する妥協のないフォーカスと、最先端技術を組み合わせた大胆なイノベーションによって彩られています」とデルナーCEOは強調。「私たちの最も伝説的なモデルは、この組み合わせを完全に体現しています」と続ける。
アウディのquattro(クワトロ)四輪駆動システムは、自動車の世界に革命を起こした。モータースポーツにおいても、アウディはパワフルなエンジン、革新的な素材、そして空力デザインにより多くの勝利を収めている。それはレーストラックをはるかに超えて、車両開発全体に影響を与える成功の方程式となった。
アウディを象徴するものへの回帰と本質へ立ち戻ることは、デザインにおいてだけでなく、アウディ社全体において中心的な役割を果たす。「私たちがクルマをデザインするアプローチは、同時に私たちが会社を形作るアプローチでもあります」と、デルナーCEO。したがって、新しいデザイン哲学はアウディにとって企業の原則であり、モデルポートフォリオや製品ラインナップのデザインに反映されるだけでなく、会社の組織構造にも反映される。デルナーCEOはさらに「明快さはアウディの理念であり、これからの時代においてアウディを導く羅針盤なのです」と述べている。
ミラノでの新しいデザイン哲学の発表は、新たな始まりを意味する。「振り返りの段階は終わりました。今こそ未来を見据えて加速する時です。私たちはデザインと品質において基準を設定するために、本当に重要なことに集中しています(デルナーCEO)」
年末までに20以上の新型モデルを発表。IAAモビリティ2025では「Q3スポーツバックe-hybrid」を披露

アウディ コンセプトC|Audi Concept C
アウディは2023年以来、「Audi Agenda」を通じて大きな変革を推し進めてきた。2025年上半期には、その実行をさらに進め、革新力を強化し、ビジネスモデルを将来にわたって持続可能なものにするために取り組んだ。
デルナーCEOは、「私たちは今、初期の成功を目にしています。例えば、私たちのモデル戦略や、焦点を絞ったモデルラインナップによって、品質と技術革新に投資が可能になりました。また、中国での私たちのビジネスモデルにおいても、新しい姉妹ブランド『AUDI』を通じて、再びパイオニア精神を示しました」と述べた。
3月に取締役会と労働評議会との間で合意された「未来に向けた協定」によってもまた、アウディの将来性と競争力が強化された。さらにアウディは、2029年までドイツの拠点に約80億ユーロ(約1兆3800億円)を投資する。
アウディは年末までに20以上の新型モデルを発表し、24カ月以内にプレミアムセグメントにおいて最も新しいモデルラインナップを実現する予定。今年春の「A6」、夏の「Q3」といったコアモデルのフルモデルチェンジに続き、IAAモビリティ2025では「Q3スポーツバックe-hybrid」が披露される予定だ。
そして来年もモデル戦略を継続。さらに、2026年からアウディAGが本拠を置くインゴルシュタットで生産される完全電動のエントリーモデルや、Audi Sportによるパフォーマンスモデルが追加される。完全電動モデル、プラグインハイブリッド、そして新世代の内燃機関搭載モデルを組み合わせ、電動モビリティへの移行が進むなかで、ヨーロッパ、中国、北米の主要市場における堅実かつ柔軟なポジションを確保する。
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