車に貼られた「黄色いちょうちょマーク」 の意味とは? 知らずに運転を続けると違反になるかも!
初心者マークや高齢者マークのように「黄色いちょうちょマーク」を貼り付けているクルマを見かけたことはありますか? このマークには、実は大切な意味があって、知らないと交通違反になってしまうかもしれません。さてどのような意味があるのでしょうか?
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黄色のちょうちょマークは「聴覚障害者標識」

「聴覚障害者標識」が貼り付けられているクルマは、聴覚障害のあるドライバーが運転しているため、クラクションが聞こえない可能性がある。
クルマのボディに貼り付けるマークと言えば、「初心者マーク」や「高齢者マーク」が有名ですが、その重要性に反してまだ認知が広がっていないマークもあります。クルマを走らせている時、「黄色いちょうちょマーク」を貼り付けているクルマを見かけたことはないでしょうか?
このマークは「聴覚障害者標識」と呼ばれ、聴覚に障害があるドライバーが運転するクルマの前後に貼り付けることが義務付けられているマークです。そしてその目的は、周囲へ聴覚障害があることを知らせ、安全車間距離の確保や、無用なクラクションを避けてもらうことです。
警察庁の資料には、聴覚障害者標識を貼り付けたクルマに対して、幅寄せや割り込みを行った場合、ドライバーは違反点数1点、普通車であれば反則金6000円が科されると明記されています。
さらに、「警笛を鳴らせ」の標識がある場所や、見通しの悪い交差点、進路変更や脇道から大きな道路に入ろうとしている時には、聴覚障害者標識をつけたクルマの動きを注視したうえで、必要であれば徐行・減速するなどの配慮が必要であるとも明記されています。
そのため、聴覚障害者標識を貼り付けたクルマを見かけたら、走行速度をゆるめて余裕ある車間を確保し、進路変更のタイミングにも配慮することが必要です。
聴覚障害者標識はいつ導入された?

ワイドミラーおよび補助ミラーの取り付けについて。画像=広島県警
この聴覚障害者標識は、2008年6月の道路交通法改正の際に導入。以前までは、運転免許を取得することのできなかった聴覚障害者も、一定の条件を満たせば普通自動車免許が取得できるようになりました。その後、2017年3月の道交法改正により、聴覚障害者の取得できる運転免許の種別が拡大。準中型自動車の運転免許も取得可能となりました。
一定の条件とは、補聴器を用いても10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえない人を対象とし、後方の安全を確かめるためのワイドミラーまたは補助ミラーの装着と、車両の前後に聴覚障害者マークを貼り付けすることです。
ワイドミラーは、通常のルームミラーより鏡面が大きく、死角を減らすことで後方の状況を把握しやすくなる構造のミラーです。
なお、条件付き運転免許の取得方法は通常とは異なり、指定の教習所や警察署で講習を修了し、必要書類を提出することで免許が交付されます。講習では、ワイドミラーの正しい角度調整方法や、耳からの情報を補うための危険察知方法、サイドミラーとの視線移動のコツ、周囲の交通音を視覚情報へ置き換える方法など、具体的な訓練も実施されます。
条件付きの免許であることを忘れてはならない

聴覚障害者標識を貼り付けたクルマに対して、幅寄せや割り込みをすると非常に危険。
一般のドライバーだけではなく、聴覚障害者標識を貼り付けているドライバーにも注意するべき点があります。それは、聴覚障害者標識の貼り付け義務を守ることや、補聴器を正しく装用することです。
前述した通り、聴覚障害者標識は、車両の前後に貼り付ける義務があります。また、運転免許取得時に「補聴器使用条件」が付与されている場合には、常に補聴器を装着した状態で運転する必要があります。そのため、条件を守らずに運転した場合には、免許条件違反として違反点数1点と反則金4000円が科されます。
このように「黄色いちょうちょマーク」こと「聴覚障害者標識」の意味を知ることは、ドライバー同士が互いの特性を理解し、適切な対応を取るために必要なことです。正しい知識とマナーを身につけて、お互いに安心してハンドルを握れる環境を実現しましょう。
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