国はガソリン減税を拒否! 戦争で原油高騰は確実! だったら太陽光パネルで自給自足すればいいんじゃない?【国沢光宏がクルマ業界にモノ申す!】第6回
イランとイスラエルの戦争にアメリカが介入し、ガソリン価格の高騰が懸念されている。こうした状況の変化に、いちいち振り回されないためにはどうすればよいのか? 自動車評論家の国沢光宏氏が日本のクルマ業界にモノ申す!
この記事をシェア
“国”に頼らずエネルギーの自給自足を目指す
アメリカのイラン攻撃により、世界情勢が一段と複雑になった。原油の90%以上を中東地域に頼っている我が国は、またもガソリン価格の心配をしなければならない。今回の騒乱が落ち着いたとしても原油調達の不安定さは続き、遠からず原油価格に一喜一憂することになる。
“国”に頼らずエネルギーの自給自足を目指したらいかがだろうか? 幸い、様々な技術が実用化されてきた。
筆頭は電気自動車だ。個人的な実証試験なのだけれど、ホンダN-VAN e:という軽電気自動車のルーフに楽天で買った太陽光パネルを載せてみた。写真のサイズで発電能力は545W。5万円なり。理論上は年間4000km走れるだけの電力を自給出来ることになる。
実際にやってみると、太陽光で作った直流を交流に変換し、そいつをさらに直流として充電するため効率悪く2500kmくらいのイメージ。

国沢氏のN-VAN e:「だん吉リスペクト号」に搭載された太陽光パネル
太陽光で作った直流のまんま電気自動車の電池に入れられるようにすれば、4000km走れるだろう。また、545Wの太陽光パネルの面積は2.6平米ほど。軽自動車のサイズ(全長3400mm×全幅1480mm)分の太陽光パネルに増やすことで、軽自動車の年間平均走行距離に相当する年間8000km走れてしまう。日当たりの良い駐車場であれば、外部からの充電環境無くても足りる。
損得勘定どうか? 4000km走るのに必要なガソリン価格は、標準的な軽商用車の燃費を14km/Lとしたら5万円ほど。10年/4万kmで50万円になる。同じ条件で8000kmだと100万円。
N-VAN e:は250万円だ。国からの補助金が57万円。東京都の場合、国と合わせ100万円程度の補助金出るため、今のままのガソリン価格でも収支トントンになる(ガソリン高騰すれば有利に!)。

ホンダの電動二輪車「EM1 e:(イーエムワン イー)」。原付一種扱いで、一充電あたりの走行距離は53km。
電動バイクならもっと簡素なシステムで済む。原付バイクの年間走行距離は大半が3000km以下。となれば100Wという1万円で買える1000mm×600mmの太陽光パネル1枚でカバー可能になる。
原油の輸入が激減したって、ガソリン価格が高騰したって全く気にすること無く快適に移動できる手段を持てるのだった。こういったサバイバル精神を日本政府が持って欲しいと強く思う。

N-VAN e:とEM1 e:
もうすぐ電気自動車は安く買える?
さて。未だに「電気自動車を走らせるのに化石燃料を使う!」みたいなことを言う人がいる。確かに商業電力を使えばその通り。また「自宅じゃないので充電出来ない」という人もいる。
これらは車体に太陽光発電パネルを付けることで解決出来ると思う。走行中も発電しているため、私のN-VAN e:だと夏場の炎天下の渋滞すら電力使用量の半分以上を太陽光パネルから賄えるほど。
「電気自動車は高い!」と思っている人もいるだろう。確かに現時点の日本の状況を見たらその通り。けれど中国はエンジン車と電気自動車の価格が同等になってしまっている。電池の技術革新と大量生産によるコストダウンのためだ。
考えてみたらエンジン車は複雑な構造のエンジンや変速機が必要。設計上の大きな制約になる燃料タンクや排気系も電気自動車なら不要になる。
電気自動車は専用設計することで安く作れるワケ。日本勢もトヨタや日産がガソリン車と同じ価格の電気自動車を中国で発売した。やがて同じ技術や安くて安全な電池を搭載する日本メーカーの電気自動車だって出てくる。
そうなったら戸建てに住んでいるのなら太陽光発電を1kWくらい導入するだけでガソリン価格に左右されず、エネルギーを自給自足出来てしまう。
太陽光発電は一番安価なエネルギー?

日産 SAKURA 画像=日産
「電気自動車の値下がりを待てない」という人だって打つ手はある。電気自動車の中古車などいかがだろうか? 日産の軽電気自動車『SAKURA』は諸費用込みで120万円台から買えるし、『リーフ』も100万円以下で先代後期型のコンディション良い中古車を探せる。
こういったクルマ(電池)に太陽光発電を組み合わせれば、自動車についてエネルギーサバイバーになれます。
とにかく太陽光発電パネルが安くなった。直近だと100Wで1万円。インバーターも800Wで5万円以下。もはや一番安価なエネルギーになっている。
現状だと廃棄にお金の掛かる太陽光パネルも、最近になって安価なリサイクル技術が多数出てきた。地球環境もさることながら、生活基盤を安定させるという意味でも太陽光の活用を真剣に考えるタイミングだと思う。
記事の画像ギャラリーを見る