オペル「コルサ」はドイツで人気No.1のコンパクトハッチバック【日本未発売のクルマたち #07】
日本ではほぼ見かけない(正規販売されていない)クルマを取り上げる連載企画「日本未発売のクルマたち」。今回はオペルのBセグメント・コンパクトハッチバックモデル「コルサ」をご紹介。
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目次
3代目までは「ヴィータ」の名で日本に正規輸入されていた
OPEL(オペル)は1862年に創業したドイツのブランド。2017年までは米ゼネラルモーターズ(GM)の傘下だったが、その後プジョーやシトロエンを擁するグループPSAの一員に。2021年にフィアットやジープなどを持つFCAとの合併により、ステランティスが誕生。現在ステランティスに属している。
GM傘下時代、オペルは日本に正規輸入されていた。ここで紹介するコルサも「ヴィータ」の名で販売された。日本名が与えられたのは、その時すでにトヨタが「コルサ」の名称を登録していたから。
日本で発売された「ヴィータ」は2000年登場の3代目まで。2代目および3代目のヴィータは、当時オペルに在籍していた日本人カーデザイナー児玉秀雄氏が手がけたことでも知られている。ちなみに2代目ヴィータは、2000年に放送されたTVドラマ(当時でいう「トレンディドラマ」)にも登場し、話題に。販売増にも繋がった。
ボディサイズはフォルクスワーゲン・ポロとほぼ同じ

オペル・コルサ ハイブリッド|Opel Corsa Hybrid
1982年に初代が誕生したコルサ、2019年に発表された現行型は6代目。ロングセラーなのである。現行型は同じステランティスに属するプジョーの「208」とプラットフォームなどを共有し、ガソリン&ディーゼル車のほか、BEVの「コルサe」をラインナップ。
2023年のマイナーチェンジを機に、48Vマイルドハイブリッド仕様の「コルサ ハイブリッド」が追加。合わせてコルサeの名は「コルサ エレクトリック」に変更された。
コルサは本国ドイツで人気が高い。2024年の新規登録台数は4万3467台を記録し、2020年から4年連続でコンパクトセグメント年間販売台数No.1を獲得。販売台数の規模は異なるが、日本でいうトヨタ・ヤリス的存在なのだ。2025年4月には、現行型の生産台数が100万台を突破したことが発表された。ドイツ以外では英国やクロアチア、オランダ、ノルウェー、スロベニア、ギリシャなどで人気を博している。
現行コルサのボディサイズは全長4061×全幅1765×全高1435mmで、ホイールベースは2538mm。この寸法はフォルクスワーゲン・ポロとほぼ同じといっていい。ポロのドイツ仕様は全長4074×全幅1751×全高1451mmで、ホイールベースは2552mm。厳密に比べるとコルサの方が13mm短く、14mm幅広く、16mm低い。ホイールベースはコルサの方が14mm短い。
荷室容量はエンジン車とハイブリッド車が通常時309Lで、後席シートバックを倒した最大時が1081L。BEVは通常時が267Lで、最大時が1042L。ちなみにポロの荷室容量はそれぞれ351L、1125L。
「オペル・ヴァイザー」デザインが新世代モデルを主張

オペル・コルサ ハイブリッド|Opel Corsa Hybrid
エクステリアデザインはモダンでスタイリッシュ。ブラックアウトされたフロントグリルを特徴とする最新の「オペル・ヴァイザー」デザインの導入が新世代オペル車を主張する。これは、ヘッドライトやグリル、中央の「オペル ブリッツ(ドイツ語で稲妻の意味)」エンブレムをシームレスに統合しているのが特徴だ。ヘッドライトは14基の高輝度LEDで構成する「インテリ-ラックスLEDマトリックスヘッドライト」をオプションで設定している。
「ブレイクスルー」と呼ばれるCピラーのデザインも特徴的。とくにブラックルーフの2トーンボディの場合は、グラスエリアから上の部分が浮かび上がっているかのように見せる効果をもつ。

オペル・コルサ エレクトリック|Opel Corsa Electric
インテリアではフルデジタルのコックピットがオプション設定されている。いずれも10インチのドライバーディスプレイとタッチスクリーンを組み合わせるインフォテイメントシステムは、音声認識機能が搭載されているほか、Wi-Fi経由での自動アップデートが可能。Apple CarPlayやAndroid Autoにも対応する。さらに、クアルコムテクノロジーズ製の「スナップドラゴン・コックピットプラットフォーム」を搭載した最新システムも用意されている。
1.2Lガソリン車、マイルドハイブリッド車、BEVの3種を設定

オペル・コルサ エレクトリック|Opel Corsa Electric
現在ドイツで販売されているコルサは、ガソリン車のほか、48Vシステムによるマイルドハイブリッド車「コルサ ハイブリッド」、そしてBEVの「コルサ エレクトリック」を合わせた3つのパワートレインから選べる。
ガソリン車には、最高出力74kW(100ps)/5500rpm、最大トルク205Nm(20.9kgf-m)/1750rpmを発する1.2リッター直列3気筒ターボエンジンに、6速MTまたは8速ATを組み合わせる。0-100km/h加速タイム/最高速度/WLTPモード燃費は順に以下のとおり。
●6速MT仕様:9.9秒/194km/h/18.5km/L
●8速AT仕様:10.8秒/192km/h/17.5km/L
コルサ ハイブリッドは2機種を設定。いずれも1.2リッター直列3気筒ガソリンターボエンジンに6速DCTを組み合わせる。最高出力75kW(100ps)、最大トルク205Nm(20.9kgf-m)のエンジンに、15.6kW(21ps)のモーターを組み合わせ、総合で110psを発揮する「81kW仕様」と、100kW(136ps)/230Nm(23.5kgf-m)のエンジンにモーター(81kW仕様と同じ)を組み合わせ、総合で145psを引き出す「107kW仕様」だ。0-100km/h加速/最高速度/WLTPモード燃費は順に以下のとおり。
●81kW仕様:9.9秒/188km/h/21.7km/L
●100kW仕様:7.9秒/210km/h/21.3km/L
そして「コルサ エレクトリック」もアウトプットの異なる2機種が用意されている。136ps/260Nmのモーターに50kWhのバッテリーを組み合わせる「100kW仕様」と、156ps/260Nmのモーターに51kWhバッテリーを組み合わせる「115kW仕様」だ。0-100km/h加速/最高速度/WLTPモード一充電航続距離は順に以下のとおり。
●100kW仕様:8.7秒/150km/h/最大357km
●115kW仕様:8.1秒/150km/h/最大429km
運転支援機能は、アダプティブクルーズコントロールをはじめ、高解像度のパノラマリヤビューカメラ、歩行者検知機能付きの前方衝突警報システムなど、最先端技術を積極的に導入している。
ドイツで販売されているコルサには、エントリー版の「エディション」、中間グレードの「イエス」、そして最上級の「GS」の3種のトリムが、各パワートレインに設定されている(エディションのハイブリッドモデルは81kW仕様のみ)。
SPECIFICATIONS
オペル・コルサ|Opel Corsa
グレード:ハイブリッドGS 81kW(ドイツ仕様)
ボディサイズ:全長4061×全幅1765×全高1435mm
ホイールベース:2538mm
乗車定員:5人
車両重量:1192kg
エンジン:直列3気筒ガソリンターボ
総排気量:1199cc
最高出力:75kW(100ps)/5500rpm
最大トルク:205Nm(20.9kgf-m)/1750rpm
モーター最高出力:15.6kW(21ps)
システム最高出力:81kW(110ps)
トランスミッション:6速DCT
駆動方式:FF
0-100km/h加速:9.9秒
最高速度:188km/h
WLTPモード燃費:21.7km/L
価格:2万8450ユーロ(邦貨換算約474万円)