新濃尾大橋が5月24日に開通! 木曽川を渡り、愛知と岐阜を結ぶ新ルートが誕生【道路のニュース】
愛知県と岐阜県の県境にある木曽川に架かる「新濃尾大橋」が2025年5月24日(土)午後3時に開通する。これまで愛知県一宮市と岐阜県羽島市の間では、木曽川を渡る橋が少なくアクセスが不便だった。しかし、新濃尾大橋の完成によりアクセス性が改善。物流の効率化や近隣道路の渋滞解消、地域経済の活性化が期待される。これにより「西中野渡船(中野の渡し)」は廃止予定。
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新濃尾大橋が5月24日午後3時に開通!

新濃尾大橋の位置図。
愛知県と岐阜県は、木曽川に架かる「新濃尾大橋」を2025年5月24日(土)午後3時に開通すると発表した。
新濃尾大橋は、愛知県一宮市と岐阜県羽島市を結ぶ全長759mの長大橋で、県道135号羽島稲沢線の一部を構成する。アクセス道路も合わせた総延長は約1.6kmに及び、橋脚の高さは半分以上が川底に埋まっているが、橋の中央で55mもある。総事業費290億円をかけたビッグプロジェクトだ。
1994年に発足した「新濃尾大橋架橋促進期成同盟会」によって建設が推進され、2012年に着工。岐阜県羽島市側のアクセス道路は2017年に、愛知県一宮市側は2024年に一部開通しており、今回の橋梁部分の完成により全線が開通することとなる。開通式典は、同日午前9時30分から一宮市の尾西グリーンプラザ多目的ホールで開催され、テープカットや渡り初めなどのセレモニーが行われる予定である。
【親濃尾大橋の開通概要】
開通日時:2025年5月24日(土)午後3時(予定)
開通区間:岐阜県羽島市下中町城屋敷地内から愛知県一宮市東加賀野井字江東地内まで
延長:約1.6km(橋梁 759m、愛知県側取付道路 約350m、岐阜県側取付道路 約450m)
新濃尾大橋の開通メリットは?

上流の「濃尾大橋」と下流の「馬飼大橋」は約8kmもの距離がある。画像=OpenStreerMapを元に編集部で作成。
これまで一宮市と羽島市を結ぶ橋は、上流の「濃尾大橋」と下流の「馬飼大橋」の2本のみであり、その間には約8kmもの距離があった。このため、橋のない中流域から木曽川を越えた対岸への移動は遠回りを強いられ、交通の不便さが指摘されていた。
新濃尾大橋の開通により、一宮市と羽島市を日常的に行き来するドライバーに新たなルートが提供される。
それにより、濃尾大橋で発生していた慢性的な渋滞や、馬飼大橋の混雑が緩和されアクセス性が大きく向上する。特に、一宮市南部から東海道新幹線の岐阜羽島駅や名神高速道路・岐阜羽島ICへのアクセスが向上し、物流の効率化や地域経済の活性化にも寄与する見込みだ。
大規模災害時のバックアップ機能も

新濃尾大橋の開通によって、災害時は救援物資などの搬送経路が強化される。
さらに新濃尾大橋の完成は、防災面でも重要な役割を果たす。
新濃尾大橋を含む県道135号羽島稲沢線は、災害時に避難や救助、物資供給などの応急活動を迅速に行うための第2次緊急輸送道路に指定される予定。県境を越えた救援物資の搬送経路が確保されることにより、これまでより地域の安心・安全性が高まる。
また、上流に架かる濃尾大橋は、開通から約70年が経過していて経年劣化によるメンテナンスの問題が懸念されている。新濃尾大橋は、大規模災害時のバックアップとしても有効だろう。
西中野渡船は2026年3月まで運航継続

新濃尾大橋の写真。 提供=羽島市
新濃尾大橋の開通に伴い、愛知県一宮市西中野と岐阜県羽島市下中町を結ぶ「西中野渡船(中野の渡し)」は廃止となるが、2026年3月までは暫定的に運航が継続される。
西中野渡船は、県道羽島稲沢線の一部として位置づけられ、無料で運航されている。かつて木曽川に20カ所以上存在した渡し船の中で、現存する唯一のものであり、地域の歴史や文化を象徴する存在である。そのため、地域住民や観光客からは存続を望む声も上がっていて、西中野渡船を体験型学習の場として転用する案も検討されている。
一方、新濃尾大橋の近隣では公共・民間を問わず、さまざまな施設の整備が進む。
新濃尾大橋のたもとに位置する冨田山公園では、2022年3月にはグランピング施設、2023年3月にはウッドデッキ、2024年3月にはスケートパークが開設され、幅広い年齢層の地域住民が交流する場として整備が進められている。また今後、尾西プール跡地を活用した「かわまちづくり」計画や、木曽川沿いでサイクリングロードの整備が計画されている。
このように新濃尾大橋の開通は、単なる地域の交通利便性向上を超えて、防災機能の強化や観光資源の充実、そして今後の地域発展に大きな役割を果たすことが期待されている。
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