横山剣さんも20代の若者も東京を走った! クラシックカーってイイネ!イイネ!イイ〜ネ!【コッパ ディ東京2024】━━ハッサンの「ワカモノ旧車オーナー探訪記」番外編 #04
全国のカーマニアを訪ね西へ東へ。カメライター、ハッサン(高桑秀典/53歳)の連載である「ワカモノ旧車オーナー探訪記」は番外編も展開しています。第4回目は、2024年11月23日(土・祝)に開催された「コッパ ディ 東京 2024」に参加していたワカモノ&ベテランオーナーさんをご紹介。
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戦前車をドライブするふたりの20代
「コッパ ディ東京」のようなPC競技(決められた区間を主催者が設定したタイムで、いかに正確に走行することができるかを競うコンペティション)と、チェックポイント認証による公道走行を主なコンテンツとする自動車ラリーイベントは、クラシックカーが主役となることが多い。
そのため、ベテランオーナーばかりが参加しているように思いがちだが、実はそんなことはない。戦前車を愛用しているワカモノもいて、1928年式のロールス・ロイス20“GTM27”とともに現れて、コッパ ディ 東京 2024を満喫しているふたりに話を聞くことができた。
ロールス・ロイス20“GTM27”をドライブしていたのは、ワク井ミュージアム館長/ワク井商会セールスマネージャーの若林恭平さん(写真左)で、彼も29歳という年齢であった。若林さんはケントエンジンの1976年式モーガン4/4に乗って、「ワク井ミュージアム」へ見学に出かけた際、その美しさに感動し、好きなことを仕事にしようと思ってワク井商会に入社したそうだ。
大貫峻介さん(26歳/写真右)も、リアル戦前車を楽しむオーナーのひとりだ。今回は愛車での参加ではなかったが、いろいろと興味深いエピソードを伺えたので、お伝えしよう。

ロールス・ロイス20“GTM27”に同乗した大貫峻介さん(26歳、写真中央)はリアル戦前車オーナーで、2022年に購入したMG TAは1937年式
「2022年に購入したMGミジェット タイプTA(以下MG TA)は1937年式です。総走行距離が7918マイルの個体でした。使い方は、地元をお散歩する際と、ごく稀にラリーに出ています。もともとは親しみを込めて“虫”と呼ばれることもあるイタリアのバルケッタが欲しかったのですが、気がついたら戦前車に行っていました」
MG TAとの出会いは、どんなキッカケがあったのだろうか?
「イタリアのバルケッタが気になっていましたが、英国製の戦前車を探すことにしました。探し始めた頃に以前から家族ぐるみで仲がよく、それこそ自分が生まれる前から知り合いだった自動車ライターさんがMG TAを紹介してくれたのです。それで買うことにしました」

大貫さん曰く、欲しいクルマが山のようにあるので、少しずつ買ったり乗ったりできるように頑張りたい
愛車のこだわりポイント、そしていちばん思い出深いエピソードも聞いてみた。
「購入が決まってから本国のT-register(MGオーナーのためのクラブ)に問い合わせをして、このクルマが新車時に装着していた登録ナンバーを教えていただき、レプリカのプレートを作って装着したところがこだわりのポイントです。クラシックカーラリーのイベント、コッパデッレ アウトストリケに参加した際、ストップウォッチだけで走ったにも関わらず、たまたまPC競技の区間賞をいただけたことが楽しかったエピソードですね」
続いて、購入してからの苦労話、これまでにイジったり直したりしたところ、今後、計画していることについても話していただいた。
「購入後、初めてしっかり高速道路を走ったときにエンジンブローしたことがありました。しばらくの間ナンバーが付いていないクルマだったので、修理したところはたくさんあります。これからは年に数回、クラシックカーラリーに出たいですね」
参考までに、過去の愛車を伺ってみたら、一番最初が1994年式のローバーミニ、その後スマートブラバス、1965年式のMG Bを愛用していたのだという。
2017年に父親から譲り受けたローバーミニは現在も乗っており、それにプラスして2019年式のアバルト 695C リヴァーレ(2024年購入)、1977年式のロールス・ロイス コーニッシュ I(2024年購入)も所有しているそうだ。
いつかはバンディーニをドライブしたい!

Nさん(21歳)がコ・ドライバーを務めたのは、1957年式のバンディーニ750サポネッタ

Nさんは今回が初参加で、ルートブックを見るという重要な役目があるが、イベントをエンジョイしたいと話す
戦前車/クラシックカーのオーナーではないが、大貫さんの他にもコッパ ディ 東京 2024を楽しんでいるワカモノがいたので紹介しよう。1957年式のバンディーニ750サポネッタのコ・ドライバーとして参加したNさん(21歳)がその人だ。
「今回が初参加です。ルートブックを見るという重要な役目がありますが、イベントをエンジョイしたいですね。いまはBMWミニに乗っていますが、MT車に乗れる免許を取ったので、自宅にあるトライアンフTR3やポルシェ356で練習し、いつの日にかバンディーニも乗ってみたいです」
娘さんのプランを聞いてニコニコしていたお父さんだが、内心はドキドキしていたに違いない。

1927年式のベントレー 4 1/2 Litreで参加した涌井清春さん。元ベントレーモーターズジャパンの広報である横倉 典さんがオールド・マザー・ガンのコ・ドライバーを担当した

ベントレー 4 1/2 Litreはオールド・マザー・ガンとも呼ばれる。2007年2月に日本に輸入され、現在に至るまで涌井清春氏の個人コレクションとして所蔵されていた
ここからはベテランドライバーを紹介しよう。まずは、1927年式のベントレー 4 1/2 Litreで参加した涌井清春さんだ。
日本を代表するロールス・ロイス/ベントレーコレクターである涌井さんのコレクションに2007年2月に加わったベントレー 4 1/2 Litreはオールド・マザー・ガンとも呼ばれ、1928年のル・マン24時間レースで優勝した超有名なワークスカー。
もっと説明すると、オールド・マザー・ガンは4.5リッターベントレーの一号車(シャシー番号:ST3001)で、ウォルフ・バーナート大尉の名前で1927年に初登録。同年、エントリーしたル・マン24時間レースでは、メゾンブランシェコーナーでの多重クラッシュに巻き込まれてリタイアとなってしまった(クレメント/カリンガム組がドライブ)。
1928年に再エントリーし、オールド・マザー・ガンというニックネームを付けられ、バーナート/ルービン組の果敢な運転で見事優勝。1929年には、クレメント/シャザーン組が2位でフィニッシュしている。
コッパ ディ東京 2024においても97年前に生産されたとは思えない力強い走りを披露し、沿道のギャラリーを楽しませた。
横山 剣さんもセクシーな走りを披露!

クレイジーケンバンドのヴォーカル、横山 剣さんは、サックス/フルート担当の中西圭一さんと参加

気心の知れたメンバーと一緒に走ったので、剣さんは終始笑顔だった
最後に紹介するのは、東洋一のサウンド・マシーン! として知られるクレイジーケンバンドのヴォーカル、横山 剣さんだ。剣さんはクラシックカーを駆り、以前からラリーやサーキットでのレースを堪能しており、昨年も姫路でジャガーEタイプを走らせ、510型ブルーバードでJCCA Sクラスのレースに参戦した。今回は1956年式のオースチン・ヒーレー100/4 Bn2でエントリー。
“歌うメロディー・メイカー”は、コッパ ディ 東京 2024でもセクシーな走りを披露してくれた。
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