なぜ、いま全国各地の道路が陥没しているのか? 原因は地中の下水管や雨水管の老朽化にあり。
なぜ、いま全国各地で道路の陥没やそれに伴う事故が増えているのだろうか? その理由は、陥没の原因は道路の損傷や劣化ではなく、地中の下水管や雨水管にあるとみられている。
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なぜ道路は陥没するのか?
1月28日、埼玉県八潮市の県道松戸草加線(54号線)で道路の大陥没事故が発生した。昨年9月4日には千葉県市原市でも国道16号で大規模な陥没が起きている。関東にお住いの方ならば、まだ記憶に新しいのではないだろうか。国道16号の陥没は幅15m、長さ5.5m、深さ8.5mの規模で範囲は上下4車線におよび、通行止めの解除にも2日半を要した。
国道16号の陥没の原因について千葉国道事務所は、陥没箇所を横断する銅製の雨水管の腐食にあると説明する。なお、この雨水管は布設から60年経過していたという。
いっぽう、埼玉県道松戸草加線(54号線)の交差点で発生した陥没事故の規模は、直径約9~10m、深さ約5mとみられる。この陥没について、埼玉県は「下水道管の破損に起因すると思われる」と見解を示している(1月28日22時発表時点)。
国土交通省の資料によれば、道路陥没の主な原因は、主に、道路の排水施設(側溝など)や管路(下水管や雨水管など)の劣化や腐食、浸入水などによるものだという。そのうち、下水道管路に起因する道路陥没は年間2600件(2022年度)発生。そのほとんどは深さ50cm未満の小規模なものである。
では、何故、下水管や雨水管の劣化や破損で道路が陥没するのか。
道路が陥没するメカニズム
先の国道16号や埼玉県道松戸草加線における大陥没の原因ではないかとみられている、管路の劣化や破損。この場合、どのようにして道路陥没は起こるのか。そのメカニズムを図とともに説明しよう。
・地中の埋設管が老朽化などで破損する。
・地表から降雨が浸透し埋設管の破損部から水とともに土砂が流入する。
・土砂の流出に伴い地中に空洞ができる。
・空洞が拡大して道路が陥没する。
例えば、夏の大雨で、もともと老朽化していた埋設管に大量の土砂が流れ込めば、それだけ陥没も発生しやすくなる。
国土交通省の資料によると、2022年度末における全国の下水道管路の総延長は約49万km。そのうち、標準耐用年数である50年を経過した管路は総延長の約7%(約3万km)におよぶ。さらに10年後には約19%(約9万km)、20年後には約40%(約20万km)に急増するとしている。
道路陥没を防ぐには「水インフラ」の維持・更新は必要不可欠だ。道路管理と合わせて、適切に管路が管理されることを願いたい。
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