桐畑恒治が選ぶ今年の1台は「シンガー クラシック・ターボ」━━【若者はこれに乗れ! KURU KURAカー・オブ・ザ・イヤー2024-25】
日本を代表する著名モータージャーナリスト20名が、20代・30代の若者にオススメしたい今年いちばんのクルマを選出。新車・中古車問わず、いま購入できる車両の中から、桐畑恒治が選んだベストカーを紹介しよう!
今年いちばんのクルマ
シンガー クラシック・ターボ|Singer Classic Turbo
旧いモデルを最新の技術で蘇らせ、現代の道路環境でもストレスなく楽しめる“レストモッド”の極みとも言えるのがシンガーだ。旧き佳き空冷時代のポルシェ911をベースとしながら、現代のスーパースポーツカーにも引けを取らない圧倒的なドライビングパフォーマンスを備えた、唯一無二の存在である。
実際、厳のようなスタビリティをさらに磨き上げた正確無比な走りや、工芸品の如き美しい仕上がりに心奪われた。 億単位のプライスは現実離れしているかもしれないが、それを手に入れたいという夢を抱くにふさわしい価値が、このクルマにはあると思う。手が届きそうになくても、夢の一台が心にあるのは幸せだ。クルマ好きの若者よ、大志を抱け!
ドライブデートしたいクルマ
メルセデス・ベンツ G580 with EQテクノロジー|Mercedes-Benz G580 with EQ Technology
威風堂々たるスタイルを筆頭に、ブランド力も圧倒的なGクラス。現行世代では快適性が格段に向上し、ラグジュアリーSUVとしての完成度も爆上がりである。そして今回“with EQ Technology”、つまり電気自動車(EV)仕様が加わったことで、もはや敵なしの地位を獲得した。
車重は3トンを超えるにもかかわらず、加速力は同門のメルセデスAMG G63にも引けを取らない。そのうえで、EVならではの高い静粛性や、4輪独立のモーター駆動を活かした独自のオフロード性能も獲得している。無骨でありながらスマート。そんなギャップと頼もしさがたまらない、魅惑の一台。デートカーとしても最強なのは間違いない。
家族でお出かけしたいクルマ
ホンダ フリード|Honda Freed
これ見よがしな威圧系が多いミニバンの中で、ほっこりと落ち着きを感じさせるのがフリードだ。歴代モデルから使い勝手や走行性能といった基本部分はしっかりと仕上げられていたが、現行型ではハイブリッドパワートレインのe:HEVも含め、全方位的にレベルが大幅に向上した。
室内の収納力は抜群で、シートアレンジも多彩。とにかく使い勝手が良い。洗練されたモダンリビングよりも、どこか生活の気配を感じさせる居間のような空間が広がっているほうが、お出かけの際にもくつろげていい。そしてそれをこのボディサイズと価格で実現している点こそ、まさにファミリー向け。日本カー・オブ・ザ・イヤーの大賞に選ばれたのも納得の実力派である。
運転が楽しいクルマ
アルピーヌ A110|Alpine A110
運転の楽しさとは、すなわち夢中になれることだ。そう考えると、選ぶべきはやはりスポーツカーである。そのなかでも、現実的な理想として浮かび上がるのが、一定の快適性を備えながら、軽量かつコンパクトに仕上げられているクルマ。その代表格が、2シーターミドシップという伝統的なフォーマットを現代的な技術で再構築し、見事にスポーツカーの本質を体現したアルピーヌA110である。
この一台は、往年のラリーカーをルーツに持つ洗練されたデザインと、ひらりひらりと舞うような軽快な走りをあわせ持つ。快適さを損なわずに運転する楽しさを突き詰めたその特性は、「夢中になれるクルマ」の代名詞としてふさわしい存在と言えるだろう。
いま20代だったら欲しいクルマ
スマート ロードスター|Smart Roadster
うーん、悩ましい……が、(いまでは廃番の)スマート・ロードスターは外せない。かつて所有していたことがあり、いつかまた手に入れたいと願っている一台だからだ。速さこそないものの、その軽快さは際立っている。独特なスタイリングも魅力的で、他人とかぶらない点も好ましい。走行中でも電動トップを開けて気軽にオープンエアを楽しめるのも大きなポイントだ。
そう考えると、軽量コンパクトでスタイリッシュ、そしてリーズナブルなオープンスポーツならもう少し選択肢は広がるか。とにかく身の丈に合っていて、自身の感性を磨いてくれるようなクルマがいい。そして、多くの若きクルマ好きにもそんな心に残るような一台を選んでほしいと思う。
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