まだ約5割が止まらない! 信号機のない横断歩道での一時停止。富山県がワースト1に。
JAFが例年実施している「信号機のない横断歩道における歩行者優先についての実態調査」の結果が発表された。2024年における信号機のない横断歩道でのクルマの一時停止率は、全国平均で53.0%。都道府県別でみると、最も停止率が高いのは長野県で87.0%。最も低いのは富山県で31.6%だった。
JAFが信号機のない横断歩道での一時停止率を発表!
横断歩道で歩行者や自転車が横断しようとしている時、クルマは手前で一時停止しなければならない。道路交通法で定められているルールだが、実態として一時停止をするクルマは多くない。
JAFが、2024年8月7日(水)~8月28日(水)に全国で実施した「信号機のない横断歩道における歩行者優先についての実態調査」の結果から、信号機のない横断歩道において歩行者が渡ろうとしている場合におけるクルマの一時停止率について見てみよう。
同調査は各都道府県で2箇所、全国合計94箇所において、信号機が設置されていない横断歩道を通過する車両6,647台を対象に実施。JAF職員が歩行者として立ち位置やタイミングを統一して横断歩道を渡ろうとし、通過するクルマの反応を調べた。
歩行者が渡ろうとしている場面で一時停止したクルマは全国平均で53.0%(3,525台)で過去最高。前年と比較すると7.9ポイント改善した。しかし、いまだに約半数のクルマが一時停止をしないことがわかる。
都道府県別の一時停止率では富山県がワースト1に。
JAFは同調査の都道府県別データも公表している。一時停止率を高い順に見ると、最も高かったのは長野県で87.0%。次いで石川県が80.9%。岐阜県が75.2%となった。
一方、一時停止率を低い順に見ると、最も低かったのは富山県で31.6%。次いで北海道が34.1%。福井県が34.7%となった。
なお、2023年の調査で最下位だった新潟県(前年の一時停止率23.2%)は、前年と比較すると25.8ポイント改善させて49.0%となり最下位を脱した。
信号機のない横断歩道では歩行者優先!
信号機のない横断歩道での交通ルールは、道路交通法第38条において「横断歩道等における歩行者等の優先」が決められており、横断歩道を渡ろうとする歩行者がいる場合には一時停止をし、その進行を妨げてはいけないことになっている。また、横断する歩行者がいないことが明らかでない限りは、いつでも一時停止できるように速度を落として進行しなければならない。
【信号機のない横断歩道でのルール】
・横断歩道を渡ろうとする歩行者がいる場合には一時停止をし、その進行を妨げてはいけない。
・横断歩行者がいないことが明らかでない場合のほかは、いつでも停止できるように速度を落として進行しなければならない。
・横断歩道内およびその手前30mは追い越しや追い抜き禁止。
また、これに違反した場合には罰則の対象となり、「3月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処する」(第119条の2)と定められている。反則金や基礎点数については下記の通り。
【横断歩道等における歩行者等の優先の違反】
・罰則:3月以下の懲役又は5万円以下の罰金等
・反則金:大型車 1万2,000円、普通車 9,000円、二輪車 7,000円、原付 6,000円
・基礎点数:2点
このように、法律で定められた交通ルールにも関わらず、依然として約半数のドライバーが一時停止をしていない。調査結果は例年改善しているとはいえ、まだまだ低い数値にとどまっているのが現状だ。歩行者の安全を守るため、ドライバー全員が歩行者優先の意識を持ち、法律を遵守した運転を心がけてほしい。
INFORMATION
信号機のない横断歩道における歩行者優先についての実態調査概要
調査期間:2024年8月7日(水)~8月28日(水)のうち、月曜日から金曜日の平日のみ。
調査時間:10時~16時
調査台数:全国合計 6,647台
調査場所:各都道府県2か所ずつ(全国合計94か所)の信号機が設置されていない横断歩道
※センターラインのある片側1車線道路で、原則として、調査場所の前後5m以内に十字路および丁字路交差点がない箇所で、道路幅員が片側2.75m~3.5m、交通量が3~8台/分(目安)。制限速度が時速40~60km程度の箇所。
調査対象:上記の横断歩道を通過する車両。※横断歩行者側の車線を走行する自家用自動車、自家用トラック(白ナンバー)。
調査方法:横断歩行者はJAF職員(横断歩道の立ち位置や横断しようとするタイミングを統一)。調査回数は1か所50回の横断(合計100回の横断)。