選ぶならガソリンか電気か? 新型BMW「X2」は運転がすこぶる楽しいSUV。【試乗レビュー】
ドライバーと一体感を強く感じさせる加減速とハンドリングはBMWの真骨頂! 2代目に進化した新型BMW「X2」にモータージャーナリストの小川フミオが試乗。リポートをお届けします。
選べる魅力
BMWによると、日本は珍しい国だそうです。というのは、いわゆるドイツのプレミアムブランド御三家のなかで、BMWが首位になっていないから。BMWの評価は世界的にものすごく高いようです。
成功の理由を“多様性”とするBMW。それを象徴する1台が、2023年10月のジャパンモビリティショーでワールドプレミアとして公開された新型(2代目)のX2だといいます。
私はこの新型X2にポルトガルで試乗しました。BMWでは「SAC(スポーツアクティビティクーペ)」とよぶスタイリッシュさが身上だった先代からのキープコンセプトで、大径タイヤによるしっかりしたスタンスと、躍動感のあるボディが大きく目を惹くモデルです。
私が乗ったのは2台のX2。現在のところラインナップでもっともパワフルな2リッターガソリンエンジンの「X2 M35i xDrive」と、X2として初のピュアバッテリーEV(BEV)の「iX2 xDrive30」です。
どちらも一見、区別がつかないほど。2023年の新車販売のうち6台に1台はBEVだったというBMWだけあって、もはやバッテリーで走るモデルはフツウ。ユーザーは気負いなしに、エンジン車とバッテリー車どっちにしようかな、って選べるようにしているのでしょう。
クルマとの一体感が楽しい
乗った印象は、ともにドライブを楽しめるモデルです。基本プラットフォームは、先に発売された新型X1(とiX1)と共用ですが、足回りやステアリングの設定は「よりスポーティ」(開発者)とのこと。実際、打てば響くというか、ドライブしている私との一体感を強く感じさせる加減速とハンドリングが印象的でした。
とりわけドライブモードを「スポーツ」にして走ると、スポーツカー的に機敏。クーペ的なデザインを好んで買うひとなら、かなり満足がいくと思います。いっぽう、「エフィシエント」というエコモードは、低回転域からトルクはしっかり出て、意外なほどゆったりした気分で走れるので、私的にはとても気に入りました。
ドライブルートは、カスカイスというリスボン郊外のリゾートを中心に、きれいな海岸線と、くねくねと屈曲路が続く山岳地帯と、高速道路。つまりX2の持ち味が発揮できるフルコースです。さきに触れたとおりで、ドライブしている私とクルマとの一体感がとてもよく、じつに楽しい思いができました。
日本車にない娯楽性
もうひとつ、新型X2で特筆すべきは、新世代のインフォテイメントシステム。「BMWオペレーティングシステム9」と呼ばれるもので、新型X1についでX2にも搭載されました。
それまでの「同8.5」との最大の違いは、リナックスベースでなくアンドロイドベースで開発されたこと。「サードパーティの参入もしやすいのがメリット」(BMWのOS開発担当者)といい、スマートフォンのようにウィジェットを並べて操作性を上げたり、ゲームなどさまざまなアプリを搭載できるようになっています。
BMWは室内のライティングシステムや音響システムをドライブモードに連携させたり、日本車にない娯楽性を備えています。X2とiX2では、それをもう一段階引き上げたといえます。体験する価値、大いにありです。
SPECIFICATIONS
ビー・エム・ダブリュー X2 M35i xドライブ|BMW X2 M35i xDrive
ボディサイズ:全長4565×全幅1845×全高1575mm
ホイールベース:2690mm
車両重量:1710kg
エンジン:1998cc 直列4気筒ターボ
トランスミッション:7段DCT
駆動方式:4WD
最高出力:233kW(317ps)/5750rpm
最大トルク:400Nm(40.8kgm)/2000-4500rpm
価格:810万円(税込)
ビー・エム・ダブリュー iX2 xドライブ30 Mスポーツ|BMW iX2 xDrive30 M Sport
ボディサイズ:全長4555×全幅1845×全高1565mm
ホイールベース:2690mm
車両重量:2050kg
モーター:交流同期電動機
モーター数:2機(前後)
駆動方式:4WD
システム最高出力:225kW(306ps)
システム最大トルク:494Nm(50.4kgm)
価格:742万円(税込)