小さなレクサスが欲しい! 新型コンパクト高級SUV「LBX」はクルマ好きのハートを射止めるか?【試乗レビュー】
最近のクルマ、なぜそんなに大きいの? もっと小さい高級車が欲しい! レクサスの新型「LBX」はそんなユーザーの気持ちに答えて開発されたコンパクトSUV。モータージャーナリストの小川フミオがさっそく試乗した。
最近のクルマが肥大化する理由
コンパクトサイズの高級車。レクサスが新型車「LBX」で目指している、新しいマーケティングです。全長4.2メートルほどの車体ですが、作りも走りも、レクサスの名に恥じないように作り込んだ、と開発陣は言います。はたして「なるほど」という出来でした。
高い価格帯のブランドのプロダクトは「サイズも大型」というのが通念かもしれません。でも、よくよく見ると、メルセデス・ベンツはAクラス、BMWは1シリーズ、アウディはA1と、LBXと同等(かちょっと大きめ)サイズのコンパクトカーを手掛けています。
ただし、たとえばメルセデス・ベンツAクラス。1997年登場の初代は全長が3615mmと、いまよりずっとコンパクトでした。2代目(2004年)では3850mmに伸び、3代目(2012年)は4.3m前後に、そして現在の4代目では4.5mを超えています(セダン)。
コンパクトカーが大型化していく背景には、厳しくなっていく衝突安全テストをクリアするための、衝撃吸収スペースの拡大が大きな理由としてあげられます。そこにあって、あえて全長をコンパクトに抑えたレクサスLBXのコンセプトは貴重といってもいいでしょう。
コンパクトなレクサスが欲しい!
「コンパクトモデルを手がけた理由は、これまでレクサス車を乗ってきたお客さまから、市街地などで扱いやすいモデルが(も)欲しいという声をいただいたからです」
開発を指揮したレクサスインターナショナルの遠藤邦彦チーフエンジニア(CE)は説明してくれました。
使用した車台は、トヨタ・ヤリスシリーズなどと共用。ただし、レクサスにはそれなりのクオリティが求められる、と剛性から足回り、ステアリング、パワートレイン、内外装にいたるまで、「徹底的に手を入れました」(遠藤CE)と説明します。
パワートレインは1.5リッター3気筒と電気モーターを組み合わせたシリーズパラレル式ハイブリッド。基本的にこちらもヤリスシリーズと共用ですが、こちらにも手が入っています。
バッテリーの性能を上げて中間加速を強化するとともに、エンジンが高回転で回ったとき「楽器みたいな高音を聞かせてくれるように」(エンジン開発担当者)チューニングされています。
LSオーナーも納得のビスポーク仕様
実際試してみると、走りはやや重めだけれど、車体の動きとのリニアリティが高いステアリングや、カーブではゆっくりとロールしていく車体のコントロール性、それによく動くサスペンションによるよい乗り心地と、上質感があります。
強めの加速のときは、エンジンが5000rpmを超えて回るので、けっこう音が大きくなりますが、先述のとおり、楽器として音づくりをしたとするエンジニアの言葉を思い出すと、あえて、耳を澄ませて楽しもうではありませんか。
内装の仕上げもなかなか上質です。「(レクサス)LSから乗り換えても納得いくような質感をめざしました」と遠藤CEは言います。どちらかというと、クラシックなスタイルで統一されています。
欧州製の同クラスのクルマがミニマルでエッジの効いたデザインを採用しているのに対して、LBXのそれは正反対ともいえます。別の見方をすると、同じようなテイストは他にないので、評価するひとも結構いそうです。
特に、LSオーナーを念頭に開発されたのが「Bespoke Build(ビスポーク・ビルド)」なる限定仕様。特別な外装と、より上質な雰囲気の内装の仕上げをもつモデルです。レクサスによると、内外装の仕上げと装備の組合せは約33万通りだそう。
SPECIFICATIONS
レクサス LBX|Lexus LBX
ボディサイズ:全長4190×全幅1825×全高1545mm
ホイールベース:2580mm
車両重量:1310kg(FF)、1390kg(4WD)
駆動方式:FF、4WD
エンジン:1.5リッター直列3気筒
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
燃費(FF):27.7km/L(WLTCモード)
燃費(4WD):26.2km/L(WLTCモード)
価格:460〜486万円(リラックス、クール)、550〜576万円(ビスポーク・ビルド)