リレーアタック対策は100均グッズでできる? 色んなもので実験してみた。
クルマのドアノブに手を触れることで施錠・開錠し、キーを挿さずにエンジンを始動できる「スマートキー」。その便利さとは裏腹に、スマートキーが発する電波を悪用してクルマを盗む「リレーアタック」という手口による被害も発生している。そこで本記事では、リレーアタック被害を未然に防ぐため、100円均一のお店で手に入る身近なグッズを試してみた。
目次
リレーアタックとは
「リレーアタック」とは、「スマートキー」が常に発している微弱な電波を特殊な装置で受信・増幅。さらにその増幅した電波を中継することで、まるでクルマの近くにキーがあるように誤認させ、カギを開錠・エンジンを始動してクルマを盗む方法。
たとえば、家の中にスマートキーが置かれていた場合、犯人Aはスマートキーの微弱な電波が受信できるまで家に近づき、そこで特殊な装置を使用して電波を受信し増幅して再び送信する。次に、犯人Bがその電波を受信してさらに中継。犯人Bは、対象のクルマまで電波を再送信するために複数の場合もある。最後に、クルマの近くにいる犯人Cがカギを開錠、そのままクルマのエンジンをかけて盗むのである。たとえスマートキーが家の中に置いてあっても、漏れ出ている電波をリレーアタックの装置でキャッチされると、クルマのカギを開錠されてしまう。
以前は、この特殊な装置の性能が低かったため、玄関にカギを置かなければ大丈夫だと言われていた。しかし、現在は装置の発達により、より家の奥に置いてあっても受信できるのだという。
さらに、この方法の怖いところは、外出先でも被害に遭う可能性があること。例えば、犯人グループがお店の駐車場にいたとしよう。目当てのクルマが入ってくるのを確認。オーナーがクルマを降りて歩く後ろを、犯人がリレーアタックの装置を持って一緒に店に入る。スマートキーの電波を増幅・中継し、外にいる仲間がクルマを盗むという具合だ。
このリレーアタックを防ぐには、スマートキーが常に発している微弱な電波を遮断する方法が効果的で、一般的にアルミやブリキなどが電波を遮断できる素材として知られている。
100均グッズで電波遮断の実験! リレーアタック対策になるのか?
そこで100円均一などのお店で手に入る、アルミやブリキなどの材質を使ったグッズと、リレーアタック防止ケースとして販売されている用品を入手。それらでクルマのキーを包み込めば、リレーアタックを防げるのかどうか試してみた。
【電波遮断グッズ】
・アルミホイル
・ブリキ缶
・アルミ蒸着ペットボトルケース
・リレーアタック防止ケース
【実験方法】
1.通常、スマートキーでドアが開錠できる距離を歩測。
2.電波遮断グッズに入れたスマートキーを編集部員Aが持ち、編集部員Bがドアノブに手を触れて開錠できるか調べる。
3.編集部員Aが1歩ずつクルマから離れ、開錠できなくなる距離を歩測。
4.2~3をそれぞれのグッズで繰り返し測定。
スマートキーが作動する距離を調べる
まず、電波遮断グッズを使わずに、どのくらいの距離でスマートキーは作動するものなのか確認してみた。クルマのドアに手の届く0歩の距離ではもちろん開錠できたので、1歩だけ、スマートキーを持つ編集部員Aがクルマから離れてみた。ドアノブに手が届くかどうかの距離だ。編集部員Bが手を触れると、この距離でもドアロックは開錠できた。
次に2歩離れてみるとどうだろう。するとドアロックは開錠できなくなった。ちなみクルマ後方だと0歩のところにスマートキーを持った編集部員Aが立っても、編集部員Bは運転席ドアを開錠できなかった。運転席側にスマートキーがある方が反応しやすいようだ。
ブリキ缶は電波遮断に効果あり
まずは100円ショップで購入したブリキの缶。家庭にあるクッキー缶や飴の缶などと同じような材質のものだ。
しっかりとフタを閉めて0歩の距離からスタート。その効果のほどはどうだろう。編集部員Bがドアノブに触れてみると、開錠できなかった。今回使用したブリキ缶は、電波の遮断効果が優れているのかドアノブすれすれの距離に持って行っても、反応しなかった。素材によって電波の遮断効果は違うので効果は一概には言えないが、これならリレーアタック対策になりそうだ。
ペットボトルケースは隙間から電波が漏れる
次は保冷効果のあるアルミシートが内側に蒸着されたペットボトルケース。袋型の携帯灰皿ケースなど、内部にアルミ素材が使用されているケースには電波遮断効果があると言われている。チャック式なので隙間が心配だが果たして効果はあるのだろうか。
まずは0歩の距離からスタート。やはりチャック部分から電波が漏れているのだろうか、開錠できた。
1歩下がってみると、まだ開錠できる。対策グッズなしの状態で2歩で反応しなくなったので、1.5歩離れてみよう。すると開錠できなくなった。今回のペットボトルケースはチャックの隙間があだとなったか、リレーアタック対策には少し心もとない。
アルミホイルは効果ありだが面倒くさい
つづいては、調理用のアルミホイル。先ほどのペットボトルケースでは、あまり効果がなかったが、こちらはどうだろうか。
まずは0歩の距離からスタート。アルミホイルで包んだスマートキーは開錠ができなかった。こちらもドアノブすれすれの距離まで近づけても全く反応しない。これはかなり効果的である。ただ、軽くスマートキーを覆った状態では電波が漏れるようで効果は弱くなり、0歩の距離で開錠できた。
効果的とはいえ、毎日クルマから降りてキーをアルミホイルに包むことを想像すると少々面倒くさい。安価かつ効果的だが実用的ではないかもしれない。
リレーアタック防止ケースは効果あり
最後は大本命「リレーアタック防止ケース」が登場。リレーアタック防止用に開発された市販ケースで、内部に電波を遮断する素材が使用されているという。マジックテープで止めるタイプだがケースの口がしっかりと閉まるようになっているので効果が期待できそうだ。
まずは0歩の距離からスタート。ドアノブに触れてみると、ドアノブすれすれの距離でもドアロックは一切反応しなかった。ブリキ缶やアルミホイルと違って携帯性や使い勝手も良さそうだ。ちなみにこちらもケースをしっかりと閉めないと効果が薄れ、スマートキーが見えるような状態で0歩の距離だとドアロックは開錠できた。
ケースに入れて玄関から離れたところに保管
今回の実験では、電波を遮断する効果があると言われるアルミ、ブリキ素材であっても、少しでも隙間があるとスマートキーの電波が漏れ出てしまう恐れがあることが分かった。ジッパー式のアルミ蒸着ペットボトルケースはもちろん、リレーアタック防止をうたうグッズであっても、隙間が空いていればドアロックが開錠できたからだ。
逆に、しっかりとアルミやブリキ素材で密閉できれば、これらの素材の電波遮断性能はかなり高いことも確認できた。スマートキーをいかに電波遮断素材で密閉するかが、ポイントになりそうだ。
※2019年5月21日に掲載した記事を再編集しました。
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