なぜ関越道の「小出IC」は「魚沼IC」に変更された? 地元が主体となった取り組みを追う。
NEXCO東日本と魚沼市(新潟県)は、2023年12月20日、関越自動車道 小出ICを魚沼ICに変更することを発表した。地元の魚沼市を主体とした、名称変更の経緯を追う。
市の玄関口のICなのに「魚沼」の2文字がないなんて…。
新潟県魚沼市は日本有数の米どころとして全国的な知名度を誇る。その他、絶景や温泉などの観光資源に恵まれ観光客の人気も高い。特に、市内を通る「関越自動車道」は、魚沼市と県の中心部や首都圏をつないでいることから、市内にある小出ICと堀之内ICの利用も盛んである。地域の経済や観光に貢献しているインターチェンジだといえるだろう。
しかし、市内のICでありながら、どちらのICにも「魚沼」の2文字はない。実は、魚沼市は小出町と堀之内町を含めた周辺の自治体の合併で2004年に誕生した新しい自治体だが、合併前に供用をはじめた小出ICと堀之内ICについては、当時の町名をインターチェンジ名としたままとなっているのだ。
魚沼市の最寄のICはどこ? 知っている人はたったの13.8%
魚沼市のアンケート調査(インターネットで10都県のモニター1000人にアンケートを実施)では、「魚沼市」の認知度は89.3%と高いものの、最寄のインターチェンジ(小出IC)の認知度は13.8%と低いことがわかった。
これでは、関越道を走っていても魚沼の付近を通っていることが分からず不便だし、魚沼市に行きたいドライバーが誤って通過してしまうかもしれない。
このような状況から、魚沼市は2022年12月5日~2023年1月13日の期間で、小出ICを魚沼ICに変更することについて、市民にアンケートを実施した。結果、賛成は61%、反対は38%と賛成が半数を超えた。
この結果を受け、魚沼市長は「市の将来を見据えたなかで必要不可欠なものである」と、2023年5月18日に「魚沼市インターチェンジ名称検討協議会」を設立。2023年12月20日、NEXCO東日本と魚沼市は、小出ICを魚沼ICに変更すると発表した。2024年の秋頃の変更を予定しているという。
なお、堀之内ICは、ブランドユリの生産地として全国的に知られるようになりつつあり、現在の名称のままのほうが、経済面や観光面で有益であると判断したため、変更の検討は進めないこととなった。
魚沼ICに変更を決定! いつ頃に変わる?
魚沼市によると、関越道 小出ICを魚沼ICに変更することによる経済波及効果は約16億円にのぼるという。道路案内をはじめとした看板を取り替えるなど、インターチェンジ名の変更にかかる費用は3億円を見込んでいる。長期的にみればコストをベネフィットが大幅に上回ることが見込まれている。
魚沼市では、観光誘致にとどまらず、企業の誘致、商工業の振興、移住・定住の促進など、地域の活性化に向けた、様々な活動につなげていくとしており、既存のICの名称を変更することで、どれだけ地域の経済や観光に恩恵をもたらすのか、魚沼市の今後に注目したい。
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