超レアな「シングルナンバー」はカッコイイけれど、古いナンバープレートはどこまで引き継げるのか?
旧車マニアにとっては「カッコイイ」シングルナンバーなど、現在のプレートの仕様や表記のルールとは異なる古いナンバープレートは、どこまで引き継げるのだろうか。あまり知られていない、ナンバープレートを引き継ぐ条件について調べた。
みんなのあこがれ!? シングルナンバーとは?
ナンバープレートには「シングルナンバー」といわれるものがある。地域名1文字、または分類番号1桁のものだ。地域名のシングルナンバーは1987年(昭和62年)以前、分類番号のシングルナンバーは1967年(昭和42年)以前に発行されたもので、ナンバープレート愛好家や旧車マニアにとっては憧れの存在である。
特に、1964年(昭和39年)に相模(神奈川県)、三河(愛知県)、姫路(兵庫県)に登録第二課を設置し、神奈川の車両は横浜と相模に、愛知の車両は名古屋と三河、兵庫の車両は神戸と姫路としたことで消滅した「神(神奈川)」「愛(愛知)」「兵(兵庫)」のレア度は高いかもしれない。
ナンバープレートの変遷については「品川のナンバープレートはいつできた? 実は東京だけ地域名なしの時代が存在した!」に詳しくまとめているが、昭和中期~後期の「標準」だったシングルナンバーは、今日では見かけないだろう。当時の車両を廃車にしたとき、ナンバーも抹消されたはずだ。
しかし、レトロカーイベントなど、その道のマニアの集まるところでは、「品5」などのシングルナンバーを見かけることがある。SNSでは、「前の所有者からシングルナンバーを引き継いだ」といった書き込みもみられる。どうすれば、シングルナンバーなど、現在のプレートの仕様や表記のルールには当てはまらないナンバープレートを使い続けられるのだろうか?
どんなときにナンバープレートを変更する?
ナンバープレートは車両の使用の本拠(市区町村)の運輸支局または自動車検査登録事務所での手続きを経て発行される。ナンバープレートに表記される「地域名」「分類番号」「判別番号」「登録番号」の組み合わせを重複して発行することはない。また、この情報と車両の車体番号は紐づいているので、他の車両に付け替えることはできない。車両が変われば、ナンバーも変わることになる。
つまり、古いナンバープレートを維持するには、そのナンバープレートが使われていた頃の古いクルマを乗り続けていることが条件になる。
さらに、以下に例を上げたような場合は、同じクルマでもナンバーが変わるので、古いナンバープレートを維持することはできない。
- 他の都道府県に転居して住所を変更した
- 他の運輸支局の管轄の居住者の車を譲り受けた
- 盗まれた
シングルナンバーは引き継げる?
関東運輸局に問い合わせてみたところ、現在のプレートの仕様や表記のルールとは異なっているナンバープレートの車両をそのまま登録するには、以下の3つの条件が必要だという。
- 車検の有効期限内であること
- 同じ運輸支局内であること
- 数字や文字を識別できること
例えば、兵庫県神戸市に住むAさんは、同県同市に住むBさんに、定期的に車検を通してきた「兵」ナンバーの車両を譲り渡すことにした。この場合は、1~3の条件を満たすため、別の所有者でもシングルナンバーを引き継ぐことができる。
ただし、ナンバープレートの損傷や劣化が激しく、傷や汚れが目立ち、文字や数字を識別できないようであれば、ナンバープレートごと取り替えなければならない。その際、現在のナンバープレートの仕様や表記に当てはまらないものは、同じナンバーで発行できないため、新しいナンバーを発行することになる。
現実的ではないが、廃車せずに車検を通し続けている、同じ運輸支局内で乗り続けている、そして、ナンバープレートの数字や文字を識別できる状態の車両であれば、ナンバープレートの制度化されたおよそ70年前の車両であっても、当時のナンバープレートを使い続けられることになる。
ちなみに、関東運輸局と兵庫陸運部は、実数は把握していないものの、消滅した「神(神奈川)」と「兵(兵庫)」ナンバーは、現在も登録されているという。兵庫陸運部は、実態を調査してるわけではないとしながら、「神戸で廃車せず車検に通していると思われる。日常の足ではなく、レトロカーマニアの愛車として大事に扱われているのではないか」との見解をしめしていた。
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