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最終更新日:2024.08.06 公開日:2023.12.18

【座談会】若者だってクルマ好き! 僕たちのリアル・カーライフ:愛車紹介篇──YOUNG CAR NUTS <Vol.01>

クルマ好きな若者なんてもういない? 免許がなくても問題ない? その答えが知りたくて、愛車と暮らす20代の男女3人に集まっていただき座談会を開催。自分たちのリアルなカーライフについて語ってもらった。

文=今尾直樹

写真=河野マルオ

クルマ好きな3人の若者たち

左からアキラ・ランボーさん(23歳)、坂本 麗さん(22歳)、西坂和浩さん(28歳)

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いまどき貴重な、クルマ好きの若者たちはどんなカーライフを送っているのだろう? そのリアルを探るべく、クルマ好きを自認する若者たち3人に集まってもらい、座談会を開いた。出席者は編集部の知り合いベースで探した。坂本 麗さんはミニ・コンバーチブルに乗る、22歳の大学4年生。アキラ・ランボーさんは1991年のホンダの初代NSXと、同年のトヨタの初代セルシオに乗る、クルマを中心とする映像監督で23歳。西坂和浩さんは1970年のアルファ・ロメオ・ジュリア1300GTジュニアに乗る、男性誌の編集者で、最年長の28歳である。

渋谷のど真ん中でセルシオと──アキラ・ランボーさん

映像監督で23歳のアキラ・ランボーさん。愛車は日本が世界に誇る名車、ホンダの初代NSXとトヨタの初代セルシオの2台持ち。

──まずは自己紹介から始めましょう。まず、アキラさんはなにに乗っているんですか?

アキラ クルマは91年式のホンダNSX。初代NA1型です。3年前、二十歳のときに買いました。高かったですけど、いまはもっと高くて、もう買えないです。

──ちなみに1000万ぐらい?

アキラ その半分ぐらい。オートマで安かったんですけど、ちょくちょく部品を買ったりして、それなりに……。マニュアルのギアボックスを去年買って、来年には載せ替えたいと思ってます。マニュアルのギアボックスは高かったです。ヤフーオークションにたまたま出てきて。3年間買えなかったんです。毎日見てました、ヤフオフ。

あとは足車で91年式のトヨタ・セルシオ。これも初代。C仕様のFパッケージというフルオプションの車両です。セルシオはフル純正です。友人のつながりで、50万ぐらいでした。ホントは100万ぐらいするんで、いい買い物ですけど、納車されたのが1年前ぐらいで、首都高で3回ぐらい止まって……。長いこと乗られてなくて、それを僕が急に乗り出して、一気に壊れて、それなりにお金がかかった。燃料タンクが空の状態で放置されていたので錆びちゃっていて、燃料ポンプが止まって、首都高で止まった。で、タンクとポンプと燃料フィルターを交換して直って、その次、パワステのポンプが壊れて、その下についているオルタネーターにパワステのオイルがかかって、で、渋谷のど真ん中で止まっちゃって、その時初めてJAFさんにお世話になりました。

朝の3時です。すぐにJAFさん、来てくれて、本当に助かりました。ありがとうございます。そこから会員です。いまもう入っているんで安心です。

──クルマ好きはいつから?

アキラ 本当小さい頃からですね。

アキラさんの愛車は、二十歳のときに買ったという91年式の初代ホンダ NSX

八王子のラーメン屋でミニ・コンバーチブルと──坂本 麗さん

坂本 麗さんは22歳の大学4年生。遊びもバイトもいつもクルマででかけるという彼女の愛車は、ブラウン色のミニ・コンバーチブル。

──次のかたは?

坂本 坂本 麗と申します。クルマは、ミニのコンバーチブルです。2年前に10年落ちで買いました。100万ぐらいです。

──最初の2代目のBMWミニのコンバーチブルですね。クーパーかな。

坂本 あ、そうです。

──いいですよね、あれ。

坂本 はい。

──なんでミニを買ったんですか?

坂本 中学3年の時にテレビCMで見て、え、このクルマ、かわいいと思って、自分で免許取ったらこのクルマに乗りたいと思って、大学生になって、頭金払えるぐらいのお金を稼いで、大学2年生ぐらいでローン組んで。ずっと探していたんですよ、中古車のサイトで。で、自分の好きな形と、ある程度の綺麗さとか色とか、どのぐらい走っているのかとか、いろいろ見て、実際に乗りにいって、これだったら平気かなと確認して買いました。一応母もクルマが好きだったんで、一人では心配だから一緒についてきてもらったんですけど。

──ちなみに頭金は30万ぐらい?

坂本 そうです。

──よく貯めましたね。バイトはなにをやったの?

坂本 ラーメン屋でバイトしているんです。いまも。八王子市なんですよ、住んでいるところが。実家暮らしで、駐車場は家にあります。

──バイトにクルマで行っているの?

坂本 はい。イオン・モールのなかにバイト先のお店があって、クルマ通勤OKだったんで、それもいいなと思って。大学は駅までクルマで行って、そこからは電車で。自宅から駅まで20分ぐらいかかるんですよ、クルマで。

──ラーメン屋のバイトで30万貯めたんだ。えらいですね。

坂本 あと、コロナで補助金10万円とかあったじゃないですか。コロナ禍でバイトしかやることがなかった。それでお金貯めやすかった、ということもあると思うんです。

クルマ好きな母と一緒に選んだ坂本さんの愛車、ミニ・コンバーチブル

南アフリカでジュリアと──西坂和浩さん

雑誌編集者で28歳の西坂和浩さん。クラシックカーを愛する彼の相棒は1970年のアルファ・ロメオ

──最後に西坂さん。クルマはなにに乗っているんですか?

西坂 アルファ・ロメオのジュリアGT1300ジュニアです。いわゆる「段付き」の、どノーマルをあえてそのまま乗ってます。ちょっと変わった経緯で手に入れて、2017年くらいに自分が乗り始めたんです。もともとそれまでAE111型のFFレビンに乗っていたんです。(坂本さんが)30万貯めたのは立派で、僕は学生のその時5万しか持ってなくて、半分違法改造車みたいなのを買ってきて、当時自動車部に少しだけいたので、みんなで元に戻して。その僕がまさかジュリアなんて。だから買うつもりはぜんぜんなかったんです。

デルオート(川崎のアルファ・ロメオ専門店)とかで、だいぶボロいのが250万、まあまあきれいなのは350万ぐらいしていたから、学生にはちょっと……。しかも練習するのに使えるクルマではないですし。個人的には崎山さんのところ(東京・三田にあった自動車修理工場、崎山自動車サーヴィス)にずっと行っていたので、イタリアのクルマは大好きでした。

その頃、父が南アフリカにたまたま駐在に行っていたんですよ。で、アルファ・ロメオって当時、向こうに工場があった関係で、中古車の売り物がそこそこあって、60〜70万ぐらいでまあまあの「段付き」が売ってるけど、どうする? といわれて、現物は見ないで、父は見てますけど、後で払うから買って、といって、父が帰任するまで2年ぐらい南アフリカにあったんですけど、持って帰ってきて、それで父の帰任と僕の就職がうまくかぶったんです。

──南アには右ハンドルの「段付き」がいっぱいある?

西坂 イギリスからの買い付けも多いらしく、いまはわからないけど、当時の向こうの中古車情報サイトにはけっこう出ていました。だけど、みんな適当に乗っているんで、本当に変なのが多かったです。ウチのもパッと見はきれいだったですけど、こっちにきてから色々と大変でした。それから6〜7年、ずっと乗ってます。

──メインテナンスはどこで?

西坂 都築にあるガレージMMさん(神奈川県横浜市)という、ミッレミリア系の小さなバルケッタなどを得意とするお店でメインテナンスしてもらっています。息子さんが僕の2つぐらい上で、段付きに乗っていて、いま、親父さんのGTAを譲ってもらって、GTAに乗っているんですけど、一緒にツーリングに行ったり、コッパ・デ・東京に出たり、ジュリアのおかげでだいぶひとの輪が広がりましたけど……、なんせ夏に乗るには暑いし、ガソリン臭いし。なので、アキラさんと同じで、足のクルマを持っています。ついこの前乗り換えたばかりで、10年落ちのトヨタ86です。いま底値で、けっこう買いやすいから。

──86ですか。

西坂 競技熱がまた出てきて、ダートラ用の車両を買ったんです。クーラーがついていれば、僕にとっては十分足だから。後部座席とか全部ないし、ロールバーが入っている。優秀な戦績をもつ個体で140万円でした。

──走行距離は?

西坂 13万kmぐらいいってます。でも、ミッションは1回載せ替えている。ジェラルミンのアンダーガードが付いていて、LSDも入っていて、オーナーさんが自分でやる方だったみたいで、足まわりも1回リフレッシュしていて13万km感はぜんぜんない。もちろん、パッと見はいわゆる競技車らしい年季が入っていますが。

当時の南アフリカはアルファ・ロメオのパラダイスだった!? 現地で手に入れたジュリアGT1300ジュニアが西坂さんの愛車だ

アキラ すいません、「段付き」ってなんですか?

西坂 ジョルジェット・ジウジアーロがデザインしたジュリアの初期型は、ボンネットのところがちょっと下がっていて、段が付いているんです。

アキラ BTCCに出ていたやつですか? 超にわかなんで、わからないんです。

西坂 こういう顔です(とスマホで写真を見せる)。

アキラ ああ、シブいですね。見たことがある気がする。

西坂 途中でなくなるんですよ。75年ぐらいまでつくられて、最後2000までいって、アルフェッタにかわるんです。

アキラ パッと見、むちゃくちゃきれいに見えましたよ、外装。

西坂 はったりは効いているかもしれないけど、古いクルマはボディがお金がかかる。そこに手を出すと何十万、何百万といっちゃう。でもジュリアは部品はシンプルだし、壊れてもそんなにお金はかからない。パーツも多い。エンジンはブロックが上も下もアルミで、アルファのエンジンは丈夫といえば丈夫ですよ。

アキラ クルマ自体に、もともと南アフリカにあったとか、ヒストリーがあるのがうらやましいですね。

西坂 いやいや、パーソナルな歴史だから売るときにはなんのアレにもならない。

アキラ 自分にとっての価値は高くなるんじゃないですか。

西坂 思い入れは強い。日本の細かいひとが見ると、ここはなんでこうなっている? というところがあるけど、まあ、いいんですよ。

──いつからクルマ好きをやっているんですか?

西坂 やっぱり2、3歳ぐらいから。父親が古いメルセデス、パゴダ・ルーフの280SLに乗っていて、それの後ろに乗っけられていたことをいまでも覚えているんです。臭いとか音とか。親父は僕が生まれる前、LAに駐在していて、向こうでUS仕様のシルバーのパゴダを買って持って帰ってきたらしいんですよ。バブルの時代、ちょうど円高で270万ぐらいで持ってきて、そのとき崎山さんに見てもらっていたんです。1995年生まれの僕が古いクルマが好きなのは、その時の記憶によるものですね。気づけばクルマ好きになっていた。280SLはいまでもあるんですけど、動かないんで、いずれ直そうと思っているんです。乗って、そんなに面白くはないけど、きれいなクルマです。

──自己紹介が終わったところで、本題に入りましょう。

(次回に続く)

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