メグロ復活! ありがとうカワサキ! 世界初公開の5機種とハイブリッドバイクが国内販売決定だ!【ジャパンモビリティショー2023】
カワサキは、ジャパンモビリティショー2023の会場で、世界初公開となる「MEGURO S1」をはじめとした5機種を展示。さらに、ストロングハイブリッドバイク「Ninja 7 Hybrid」とともに、国内導入予定のアナウンスが入った。
メグロGSの正統後継モデルが登場!
クルマ、バイク、空飛ぶクルマにシニアカーといった、実に様々なモビリティが一堂に会するジャパンモビリティショー2023。各メーカーが思い描くコンセプトカーの数々は、どれも夢があり、未来を感じさせてくれるが、あくまでデモンストレーション用として製作されているため、時間が経過すると、「あぁ、そういえばあのモデルはそのまま見なくなったな……」というケースになることがほとんどだ。
そんな中、今回のカワサキモータースは、非常に堅実な姿勢を見せてくれた。まず、10月25日のジャパンモビリティショー開催日まで情報が明かされていなかったワールドプレミア5機種「メグロS1」、「W230」、「KLX230」、「ニンジャZX-10R 40th アニバーサリーエディション」、「ニンジャZX-4RR 40th アニバーサリーエディション」の展示とともに、これらがいずれも国内導入予定であることを発表。さらに、世界初のストロングハイブリッドバイク「ニンジャ7 ハイブリッド」も、なんと国内販売がほぼ確実となった。
カワサキの躍進を支えた「メグロ」の後継機発表も素晴らしかったが、スポーツバイクのHEVモデルが本当に市販されたことは日本のバイク業界にはビッグニュースとなる。それでは、これら6機種について確認していこう。
■メグロS1
カワサキが吸収合併した「目黒製作所」は1924年に創業され、来年で100周年を迎える。これを記念して「MEGURO」ブランドに新たに「メグロS1」が加わることになった。
当時のライダーたちの憧れの的になっていたというメグロブランドから復活することとなったメグロ S1は、1964年に発売したメグロSGの正統後継モデルとなり、空冷エンジン、黒×クロームメッキの燃料タンク、スポークホイールなどがバランスよくまとめられている。メグロの歴史を収めた写真はギャラリーページにまとめているので、気になる人はぜひご覧いただきたい。
■ニンジャZX 10R 40th アニバーサリーエディション
「Ninja」誕生40周年を記念し、ニンジャZXシリーズ最高峰のニンジャZX 10Rに、ZXRシリーズのカラーリングとグラフィックを再現した特別モデル。シルバー塗装のフレームやスイングアーム、ライムグリーンを採用したホイールなどの随所にZXRシリーズの記憶が刻まれている。エンジンは水冷4 ストローク並列4 気筒を搭載し、総排気量は998 cm³、最高出力は149kWとなる。
■ニンジャZX 4RR 40th アニバーサリーエディション
こちらも「Ninja」誕生40周年記念モデル。1980年代から1990年代にレースシーンで活躍した、ZXRシリーズのカラーリングとグラフィックを再現したモデル。白・青・緑の特徴的なカラーリングと、迫力ある「Kawasaki」ロゴを復刻。燃料タンク上にはレーシーなイメージを湧き立たせるチャンピオンロゴ風の40 周年記念ステッカーがあしらわれている。エンジンは水冷4ストローク並列4気筒を搭載し、排気量は399 cm³、最高出力は57kWとなる。
■KLX230
ビギナーからベテランまで幅広いライダーが楽しめるデュアルパーパスモデルの「KLX230」 。フレームとサスペンションの最適化とともに、足つき性と前後ホイールトラベル、シート厚の増加を実現し、オフロードでの走破性と快適性を向上。レース専用モデルのKXシリーズを彷彿とさせるカラーとスタイリングを採用し、スポーティな印象に仕上げている。
■W230
1966年発売の650 W1から始まったWシリーズの血統をしっかりと受け継いだレトロスポーツモデル。味わい深さを追求した空冷4ストロークSOHC単気筒エンジンを搭載し、丸目1灯ヘッドライト、ティアドロップ型燃料タンク、2 連メーター、スポークホイールやスチールフェンダーを組み合わせ、普遍的で美しいスタイリングを具現化。
ニンジャのHEV/EVモデルも量産される?
■ニンジャ7 ハイブリッド
451cm³の並列2気筒エンジンとトラクションモーター&バッテリーを組み合わせた、世界初の量産型ストロングハイブリッドバイク。エンジンとモーターを統合したパワーユニットと、6速ボタンシフトミッション機構が3つの新しいライディング体験を提供する。e-boost機能により、リッタークラスに匹敵する発進加速性能を有している。まずは欧州で導入が始まり、日本国内でも導入される予定だ。
エンジンは水冷4ストローク並列2気筒、モーターは交流同期電動機、リチウムイオンバッテリーの電圧は50.4V、バッテリー容量は27.2Ah、システム最高出力は51.1kW、エンジン最高出力は43.5kW、モーター最高出力は9.0kW、車重は227kgとなる。世界でも前例のないスポーツバイクのHEVモデルは、果たして価格はどうなるのだろうか……。
今回のイベントでジャパン・ワールドプレミアが計7機種展示され、そのうち6機種の国内導入が決まったワケだが、10月31日時点のカワサキ公式HPで、1機種だけ導入予定のアナウンスがなかったモデルがある。それがEVモデルの「ニンジャ e-1」だ。このモデルは400ccクラスのロードスポーツをベースに、リチウムイオンバッテリーを2本搭載し、電圧50.4V、バッテリー容量30Ah×2、最高出力9.0kW、重量140kgとなり、軽快な乗り心地を楽しめそうだが、バッテリー容量が気になる人もいるのではないだろうか。
ニンジャ e-1の航続距離は72kmとされているが、この距離だと高速道路や中距離以上のツーリングは厳しいと感じるユーザーも多いことだろう。カワサキとしても、この数値には納得していない可能性もある。しかし、モビリティショーのプレスデーに、カワサキモータースの代表 伊藤浩氏が挨拶した内容では、ニンジャe-1も日本で発売を予定していると発言していたので、何らかの調整のためにアナウンスを遅らせている可能性もありそうだ。
ニンジャe-1の開発関係者に話を訊いたところ、どうして他社がスクータータイプばかり出すのか、スポーツタイプを実際に作ってみて、身に沁みてよくわかった、と苦笑いしていたのが印象的だった。
だがこうしてカワサキが量産モデルを国内導入を決めてくれたことは、バイク業界にとって大きな前進となることは間違いない。改めて、コンセプトで終わらせなかったカワサキに、ありがとうと伝えたい。
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