高速道路のはたらくクルマ「ロードタイガー」をフルモデルチェンジ! 僅かなひび割れも発見。
NEXCO中日本と中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京は、2023年10月6日、路面性状測定車「ロードタイガー」のフルモデルチェンジを発表した。運用中の車両と比較してみると、ぱっと見てわかるほどコンパクトに。それでいながら測定の効率は向上、僅かなひび割れも発見できるという。さっそく、新型ロードタイガーを紹介しよう。
高速道路のはたらくクルマ「ロードタイガー」とは?
高速道路では、パトロールカー、路面清掃車、降雪エリアでは除雪車など、様々なはたらくクルマを見かけるだろう。路面性状測定車「ロードタイガー」もそのひとつ。高速道路を走行しながら、搭載したカメラやセンサなどの機器で路面性状を測定する。
この「路面性状」とは、時間の経過とともに、車両の荷重などで発生する路面の劣化や傷みのことをいう。特に3大性状といわれるのが、わだち掘れ、ひび割れ、平坦性の不良である。これらをそのままにすると、走行中の車両がハンドルを取られるなど事故の原因にもなりかねない。
では、ロードタイガーはどのように路面性状を測定するのだろうか。
運用中の車両だと、わだち掘れは車両先方のレーザーとラインセンシングカメラで測定。ひび割れは車両後部のハロゲンライトと電子ストリークカメラで測定。平坦性は車両の左側に取り付けたレーザー変位計で路面の沈下や段差を測定、さらに加速度計で精度を高めた診断を行う。
路面性状を早期発見、早期修理できれば、それだけ高速道路の安全性につながる。
ロードタイガーの誕生は1984年のこと。当時は時速50~60kmで、ミニハロゲン電球を使って主にわだち掘れを測定していた。その後モデルチェンジを重ね、現在運用中のロードタイガーは、ミニハロゲン電球からレーザーへ、フィルムカメラから電子ストリークカメラとなり、時速100kmで測定できる。
ちなみに、ロードタイガーの語源は、Take(捉える)、Inspect(検査する)、Gaze(熟視する)、Exact(正確な)、Rapid(すばやい)の各頭文字をとったものだとか。
新型「ロードタイガー」のここがすごい!
NEXCO中日本と中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京は、2023年10月6日、ロードタイガーのフルモデルチェンジを発表。リニューアルではなくフルモデルチェンジ。見た目も性能も大きく変わる。
車両がコンパクトに!
見た目の進化はわかりやすいだろう。ボックスタイプの中型車だったのがバンタイプになってコンパクトに。わだち掘れとひび割れの測定用に前後に別のカメラを搭載していたのを、3Dカメラ1台に集約したことで車両の小型化を実現。これで普通自動車免許でも運転できるようになった。
効率化と省力化!
路面性状測定時のデータ解析を自動で処理することで、作業時間を短縮。さらに、乗員も運転手1名と測定者2名から、運転手・測定者各1名で可能に。効率化と省力化を実現している。
測定可能な速度範囲が拡大!
位置情報も自動で取得、測定速度も時速100kmから120kmに。走行している車両と車間距離を保ちながら測定する課題を解決。時速120kmで走行しながらも、路面の1ミリのひび割れ変状を見つけ出せる。
昼でも路面性状測定が可能に!
運用中のロードタイガーは夜間しか測定を行えなかったが、新型には左右2台の3Dステレオカメラを搭載し、青色LED照明を路面に照射して撮影する方式に変えたことで、昼夜問わず測定できるようになった。
測定対象の拡大に向け開発中!
測定対象も、わだち掘れ、ひび割れ、平坦性と段差に加え、レーンマークはく離率や骨材飛散などへの拡大も開発中という。
新型のロードタイガーは、NEXCO中日本管轄の東名高速などで11月から測定をはじめるという。これまで夜間にしかお目にかかれなかったロードタイガーだが、これからは日中にも見られるようになりそうだ。
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