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最終更新日:2023.10.19 公開日:2023.10.16

トラックGメンって何者!? 2024年問題を目前にドライバーの待遇改善なるか?

国土交通省はトラック運送における不適正な取引の監視を強化するため「トラックGメン」を発足。万引き犯を見つけ出す万引きGメンのように、悪質な荷主や元請を発見し、貨物自動車運送事業法(貨物車運事法)に基づく「働きかけ」と「要請」を実施。2023年10月6日、発足から2ヶ月が経過したいま、トラックGメンの活動実績から、2024年問題を目前にドライバーの待遇改善となるか、未来の物流を見据えたい。

文=宮本 菜々(KURU KURA編集部)

資料=国土交通省

トラックGメン発足の背景「物流の2024年問題」とは?

北海道から関西まで輸送する場合は、途中フェリーを利用することもある。画像:© naka – stock.adobe.com

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「物流の2024年問題」とは、トラックドライバーに対する残業規制が2024年4月に強化されることから、労働時間の短縮で輸送能力が不足し、これまで運べていたものが運べなくなる可能性を懸念したものだ。

問題の根底には、トラックドライバーの「長時間労働」と「低賃金」がある。環境の整備を進め、不足する人材を確保するため、残業規制の強化を進めることとなった。

何故、トラックドライバーは長時間労働で低賃金を強いられるのだろうか。それは、トラック事業者の立場が荷主に対して弱いという実情がある。

荷主の都合で長時間の荷待ちを強いられる。運賃や料金を不当に据え置かれる。または、無理な依頼を引き受け、長距離輸送のスケジュールを組まざるを得ないなど。トラック事業者にも、ドライバーの長時間労働や低賃金を改善できない事情があるのだ。

本来はトラックドライバーの待遇を改善するための残業規制強化だが、トラック事業者と荷主の力関係が対等にならなければ、表面的には、輸送能力が不足するだけで終わってしまう。そこで、国土交通省は2023年7月にトラック運送における不適正な取引の監視を強化する「トラックGメン」を発足した。

トラックGメン162人が大活躍! 順調な活動実績

トラックGメンのイメージ。実際にこのような恰好はしていないと思われる。画像:© eveleen007/zheng qiang – stock.adobe.comを元に作成

国土交通省と関係行政機関は、貨物自動車運送事業法(貨物車運事法)に基づき、違反原因行為を行っている疑いのある荷主に対して「働きかけ」を実施する。荷主が違反原因行為をしていると疑うに足りる相当な理由があるときは「要請」、なお改善されないときは「勧告・公表」に踏み切る。

なお、違反原因行為としては、以下のような例があげられる。

  • 荷主都合による長時間の荷待ち時間が発生
  • 適切な運行では間に合わない到着時間を指定
  • 荷物の積込み直前に貨物量を増やすよう指示

国土交通省は貨物車運事法に基づき、違反原因行為の疑われる荷主に対して「働きかけ」や「要請」を実施してきた。

2019~2022年までの働きかけと要請の実績

2019年は働きかけ2件(要請はなし)、2020年は働きかけ26件(要請はなし)、2021年は働きかけ24件(要請はなし)、2022年は働きかけ26件、要請3件と実績は伸び悩んでいた。

トラックGメンの働きかけと要請の実績

トラックGメンの発足後、2023年7月21日~9月30日の間に、Gメンだけで働きかけ120件、要請5件を果たした。2023年9月30日時点で、トラックGメンの実績とトラックGメン以外の実績を合わせると、働きかけは127件、要請は12件。前年と比べて大幅な伸びを示した。

今後のトラックGメンの活動

今後のトラックGメンの活動。画像:国土交通省の資料を元に作成

今後、国土交通省は11~12月を「集中監視月間」と位置づけ、トラック事業者に対して荷主の違反原因行為の調査を実施、その結果を踏まえて貨物車運事法に基づき「働きかけ」「要請」「勧告・公表」を集中して実施する。トラックGメンの活躍が期待されるところだ。

同時に、国土交通省は、トラックGメンに加え、厚生労働省の「荷主特別対策担当官」をはじめとする、関係行政機関の地方実施機関と連携し、荷主企業に対して合同ヒアリングの実施も予定している。

トラックドライバーの存在をなくして物流の維持は困難ではないだろうか。待遇の改善だけでなく、トラック事業者と荷主の対等な関係を築くことで、根本的な「物流の2024年問題」の解決に向かってほしい。

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