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最終更新日:2022.05.30 公開日:2022.05.30

雨の日の事故は晴天時の約5倍! 梅雨時に気を付けたい安全運転のポイント

雨が続く梅雨時には、ぬれずに移動できるクルマを重宝する人も多いと思う。しかし、一方で「雨の日の運転は苦手……」という人もいるのではないだろうか。雨の日の交通事故発生率は、晴天時に比べて約5倍と言われている。雨による視界不良やスリップ対策など、雨の日に気を付けたい安全運転のためのポイントについて紹介しよう。

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こまめなワイパーメンテナンスで視界不良を防ぐ

©Sundry Photography – stock.adobe.com

 じっとりとした空気と雨が憂鬱な梅雨の季節がやってくる。雨の日でもぬれずに移動できるクルマは、梅雨時には一層便利に感じられることだろう。しかし、雨天時の運転には、危険も多く潜んでいるのだ。首都高速によると、雨の日の1時間あたりの事故件数は、晴れの日の約5倍にも上るという。その原因には、大きく分けて視界不良とスリップが挙げられる。

 まず、雨の日の運転時における視界不良は、フロントガラスやサイドミラーに付着した雨粒やくもりなどが原因であることが多い。この外側に付着した雨粒は、基本的にワイパーを作動させることによって解消することができる。しかし、ワイパーをきちんと動かしているにもかかわらず、前が見えづらい場合にはワイパーそのものの機能劣化が考えられる。

 ワイパーは、ワイパーブレードとワイパーアーム、ゴムで構成されている。汚れや水分を拭い取る役目を担うゴムは、常に日光や雨風に晒されていることもあり、定期的に交換をしないと硬化してその役割を果たせなくなる。適切なワイパーゴムの交換頻度は、一般的に半年から一年に一度といわれており、雨天時の視界をしっかり確保するために、ワイパーのメンテナンスは欠かさないようにしよう。

 ワイパーはしっかりメンテナンスしているのに、それでもフロントガラスがくもって前が見えにくいということもある。この場合、原因にはフロントガラスに付着した「油膜」が考えられる。一般的には、排気ガスや路上の汚れ、クルマに塗布しているコーティング剤等が溶け出して付着するといわれ、ワイパーで拭いてもかえって油を引き延ばし、光を反射させて視界を悪化させてしまう可能性がある。しかも水では落ちないため、専用の除去剤で取り除く必要がある。フロントガラスがギラギラと見にくい際には、自動車用品店等で専用の除去剤を入手し、試してみるといい。

©NorGal – stock.adobe.com

激しい雨なら、昼間でもヘッドライトを点灯しよう

 雨天時は雲が多く暗くなりがちだ。また激しい雨だと、雨粒のために視界は非常に悪くなる。そのような状況下では、運転している自分自身が周囲が見づらくなっているのと同様に、他のクルマや二輪車、自転車、歩行者からもこちらが見えづらくなっている。特に歩行者は傘を差しているため、なおさら視界が狭くなりがちだ。このようなときには、昼間であってもヘッドライトを点灯させて、周囲に自分の存在を知らせることが大切になる。

ぬれた路面での制動距離は乾いた路面の約1.5倍

©Stephane Bonnel – stock.adobe.com

 次に、雨天時のスリップについて見てみよう。首都高によると、事故形態の割合では、雨天時以外には「追突事故」が約4割を占めるのに対して、雨天時には「施設接触事故」が約5割を占めるという。さらに、1時間あたりの施設接触事故件数が晴天時には0.12件。雨天時には1.73件と約14倍にも膨れ上がる。ちなみに、施設接触事故とは側壁などに衝突する自損事故のこと。雨天時には、路面がぬれて滑りやすいので発生しやすくなるという。

グラフ参考=首都高ドライバースサイト「雨の日に事故が多発しています」より

 スリップは、タイヤの溝の摩耗によって引き起こされることがある。2015年にJAFが行った「摩耗タイヤの検証」の動画では、タイヤの状態と路面状況で制動距離がどのように変化するのかを確認することができる。検証では、それぞれ溝の深さが異なる夏用タイヤとプラットフォームが出現しているスタッドレスタイヤを使用して、ドライとウェットの路面を直線で走行。時速60km100kmでブレーキをかけた際の制動距離をそれぞれ計測した。その結果、ドライ路面での制動距離はいずれもほぼ同等だったが、ウェット路面では溝が3.1mm2分山タイヤは7.6mの新品タイヤより、時速60km時に約1.2倍、時速100km時には約1.5倍も制動距離が長くなった。このことから、加速時だけではなく、タイヤの溝が浅くなるにつれ、ウェット路面ではより滑りやすくなるということが分かった。

 タイヤは、「スリップサイン」というタイヤ溝にある突起の露出によって、使用限度を確認できる(氷雪路は別の基準がある)。タイヤの摩耗による使用限度は、道路運送車両法の保安基準第167条で1.6mmと定められているので注意が必要だ。ただ1.6mmはぎりぎりの限界ともいえるもの。スリップサインが露出し切る前であっても、溝が半分くらいになるとグリップ力や制動力などの性能低下が始まるため、安全のためには早めの交換が安心だ。

 さらに、こうした路面の走行時には、晴天時と同じ感覚でブレーキをかけても、停車するまでの距離が伸びる。また高速走行では、タイヤと路面との間に水の膜ができて摩擦力を失い、タイヤが水の上を滑走するハイドロプレーニング現象が発生しやすくなる。ハイドロプレーニング現象が起こると、ハンドルやブレーキが効かなくなり大変危険な状態になる。雨天時は意識的に速度を落とし、急発進や急ブレーキなど「急」がつく運転を避け、慎重な運転をするように心がけたい。

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