ランボルギーニ初のBEVは1360馬力以上! ウルトラGT「ランザドール・コンセプト」が世界初公開。
ランボルギーニは8月19日、同社初の純バッテリーEVとなるコンセプトカー「ランザドール(Lanzador)」を世界初公開した。“ウルトラGT”を標榜するランザドールとは、いかなるクルマか。モータージャーナリストの武田公実が解説する。
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ウルトラGT、ランザドール コンセプトが登場!
北米カリフォルニア州モントレー半島で、一週間以上にわたって開催される自動車イベント群「モントレー・カーウィーク」。その中核をなすイベントとして、8月18日と19日に相次いで開かれた2つのクラシックカー・コンクール、「ザ・クエイル・モータースポーツギャザリング」および「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」において、アウトモービリ・ランボルギーニ社は同社初の純バッテリーEVとなるコンセプトカー「ランザドール(Lanzador)」を世界初公開した。
ランザドールは4シーターのクロスオーバー型スーパーカー
2021年5月、アウトモービリ・ランボルギーニ社は持続可能な開発のための、将来のモデルおよび生産の脱炭素化を目指すランボルギーニのロードマップとして、2024年末までに全ラインアップを電動化することを柱とした「ディレツィオーネ・コル・タウリ(Direzione Cor Tauri)」計画を発表。計画の第3段階(2026~30年)において、初のフル電動ランボルギーニの量産化を目指している旨が謳われていた。
その路線を裏づけるように、昨年春にはステファン・ヴィンケルマンCEOが、2028年までにBEVのランボルギーニを正式のシリーズモデルとしてリリースすること。そして、それは2+2型式のクロスオーバー型スーパーカーとなるであろうことを、オフィシャルの場で認めている。
さらに今年8月16日には、4シーター車であることを示唆するようなシルエットを示したティーザー写真が、SNSのアウトモービリ・ランボルギーニ社公式アカウントで公開。いよいよ、コンセプトカーが公衆の面前に現れるまでのカウントダウンが開始された。
V12ランボルギーニのスピリットを現代に昇華したBEV
かくして8月18日、「ザ・クエイル・モータースポーツギャザリング」の特設会場において、満を持したかたちでアンヴェールされたランザドールは、ヴィンケルマンCEOとティーザーフォトが示唆したように、2ドア/2+2のGTスタイルとなっている。
ランボルギーニの創成期に送り出された「400GT 2+2」や「イスレロ」、「ハラマ」など、2+2レイアウトを採ったフロントエンジン・グラントゥリズモのヘリテージを、新たな電動時代に向けて再解釈したものとの由である。
そのエクステリアデザインは、2008年のパリ・サロンにて発表されつつも、現状では実用化に至っていない4ドアコンセプト「エストーケ」から系譜を受け継いでいるのは間違いのないところ。また、昨今では定番化したSUV的スタンスには、今やランボルギーニの屋台骨を支える「ウルス」や、ウラカンの最終モデルとなった「ステラート」からの影響も明確に見られる。
くわえて「ウラカン・ペルフォルマンテ」および「アヴェンタドールSVJ」で初採用された「ランボルギーニALA(Aerodinamica Lamborghini Attiva)」システムをランザドール・コンセプトにも採用。走行状況に応じて、効率とダウンフォースの両方を向上させるという。
またリヤ側には、サイドとディフューザーから伸びる細いエアブレードもあり、リヤのブロースルー・スポイラーと連動して強大なダウンフォースを発生させるとのことである。
最高出力は1360馬力以上を発生!
いっぽうBEVパワートレーンや搭載されるバッテリーの詳細などについて、現状ではランボルギーニ社から何らのアナウンスもなされてはいないが、分かっているのはフロント/リヤのアクスルにそれぞれ大出力のモーターを配置するAWDであること。また、システム総計では1メガワット以上(1000kW=1360ps)の出力を発生するという。
また、リヤアクスルにはトルクベクタリング機能が盛り込まれるほか、近年のランボルギーニ各モデルに搭載されている、ドライバーの意志を予測・理解し車両を制御するシステム「ランボルギーニ・ディナミカ・ヴェイコロ・インテグラータ(LDVI)」も、BEVに最適化した最新世代のものが採用されているとの由である。
これらの情報を総合すると、もともとはランボルギーニの親会社であるアウディのコンセプトとして開発され、現在では同じグループにあるベントレーのBEVにも引用されるともいわれている「アルテミス」プロジェクトの相関関係も浮き彫りになってくるものの、それらの真偽はこれから明らかになってゆくことだろう。
ランザドールの正式デビューは5年後の2028年
ところで、ランボルギーニでは上記のコル・タウリ計画にしたがって、今年3月にプラグインハイブリッド(PHEV)モデルの「レヴエルト」を発表。また、2024年にはウラカンの次期モデルもPHEV車としてデビューが予定されている。
そして、こちらもPHEV版の追加が既定路線となっているスーパーSUV「ウルス」に続いて、5年後の2028年に正式デビューする新生ランザドールが、ランボルギーニにとって第4のラインとなることを運命づけられている。
ガソリンエンジンを持たない、純電動ドライブトレーンをランボルギーニが採用することには、間違いなく賛否両論が発生するだろうが、それでもランボルギーニの実験的な意欲は賞賛に値する。
今後のランボルギーニの動静に、注目したいところである。
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