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最終更新日:2023.08.18 公開日:2023.08.18

さすがお見事。ロールス・ロイスは電気になってもロールス・ロイスだった! 初のBEV、スペクターに試乗。

ロールス・ロイスが満を持して送り出す初の100%電気自動車(BEV)、スペクターに小川フミオが試乗した。エレキになってもロールス・ロイスの個性は残っているのか?

文=小川フミオ

写真=ロールス・ロイス・モーター・カーズ

ロールス・ロイス スペクター|Rolls-Royce Spectre

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ロールス・ロイス初の電気自動車、スペクター

ロールス・ロイスが送り出したブランド初の量産EV「スペクター」に試乗しました。発表されたのは、2022年10月。”サイズ感があって、ラグジュアリアスなクーペだなあ!”と感心したそのままの姿で、23年7月、カリフォルニア州ナパバレーにやって来たのです。

スペクターは、全長5475mmにおよぶ2ドアボディに、430kW(584hp)の出力と900Nmのトルクを持つモーターとバッテリーによる全輪駆動システムを載せています。

ロールス・ロイスのEVってどんなだろう……。それが私の興味の中心でした。これまでドイツのメーカーのEVに乗ると、独自のキャラクターがあって、いってみれば変奏曲を聴くような個性があったからです。

しかし、「EVであることは二番目、一番はロールス・ロイスであることです」と、ナパバレーで話を聞いたロールスロイス・モーターカーズのトルステン・ミュラー=エトヴェシュCEOは言いました。

ロールス・ロイスのプロダクトを特徴づけている要素はたくさんあります。メーカーの言葉を借りれば「エフォートレスドライビング」「マジックカーペットライド」「ワフタビリティ」などです。

力が要らず優雅に操縦できて、静かで路面の凹凸を感じさせない乗り心地で……しかも、誰が観ても一目でロールス・ロイスとわかるデザインと、ラグジュアリアスな内装も欠かせない要素です。

内装は「アークティックホワイト」に「テイラードパープル」の組合せ

後席空間は見た目以上にスペースがある

電気になってもしっかり残るエンジン車との共通点

スペクターは、これまでの12気筒エンジンのロールス・ロイス車と同様の目標を掲げて開発されたそうです。「こちらはピュア電動なので、いろいろ苦労もありました」と、開発総指揮のドクター・ミヒア・アヨウビは語ります。

はたして、ナパバレー周辺をドライブしてみると、まさに首脳陣の思惑どおりのクルマに仕上がっていました。

出始めの頃の電気自動車は、アクセルペダルを軽く踏んだだけでドンッと猛烈ともいえるほどの加速性を見せました。スペクターの加速を言葉で表現するなら”粛々(しゅくしゅく)と”。

静かに加速していきます。そしてハンドルの操作感覚も、V12エンジン車に似ていると思いました。極端なことをいえば、くねくねとカーブの続く屈曲路も、ハンドルを指でつまむように操舵するだけで、難なくこなしてしまいます。

ファストバックスタイルは「レイス」に通じるものがある

広がる宇宙空間

電子制御エアサスペンションは、車体の動きをしっかりコントロール。カーブでの車体のロールは少なめで、それでいて、高速道路などで硬いと思うことはありませんでした。快適性の点では、さすがお見事。大型船舶が鏡のような水面を滑るようにいくさまを表現するようなワフタビリティの実現を、クルマで目指しているだけあります。

同乗していると、つい眠りに誘われてしまいます。それほど気持ちがよいのです。2ドアですが、ホイールベースが3210mmもあることも手伝って、後席空間の居住性も上々。脚元も頭上もスペースがしっかり確保されているのです。

もうひとつ、後席には魅力があります。夜間のドライブ。スペクターで採用された「スターライトドア」のオプションを、「スターライトヘッドライナー」と組み合わせた仕様に乗っていると、視野ぜんたいに星がキラキラと輝くのです。そう、宇宙空間のように。

SPECIFICATIONS
ロールス・ロイス スペクター|Rolls-Royce Spectre
ボディサイズ:全長5475×全幅2144×全高1573mm
ホイールベース:3210mm
車両重量:2890kg
駆動方式:4WD
モーター:交流同期電動機
モーター数:2機
モーター最高出力:430kW(584hp)
モーター最大トルク:900Nm
0-100km/h加速:4.5秒
バッテリー総電力量:102kWh
一充電走行距離:530km(WLTP)
価格:4800万円〜

ナパバレーは高級ワイナリーが並ぶエリアもあり、スペクターの顧客の嗜好とも重なるという

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