ボルボの新型はスター・ウォーズの人気キャラがモチーフ!? ピュアEV「EX30」が登場。
ボルボがコンパクトサイズのピュアEV「EX30」を発表した。ワールドプレミアの会場となったイタリア・ミラノから、モータージャーナリストの小川フミオがリポートする。
ボルボの新型、EX30とは?
ボルボが「都市型」を謳うコンパクトなサイズのピュアEV「EX30」を発表しました。2023年6月、場所はミラノの特設会場です。どうしてミラノかとボルボ・カーズ(本社)に尋ねると「都市型交通が必要とされている国際都市だから(プレゼンするのに説得力がある場所)」とのことでした。
EX30の最大の特徴はどこか。やっぱり、ボルボがバッテリーEVにかける本気度の象徴ってところではないでしょうか。2030年にラインナップのフル電動化を謳うボルボだけに、2022年11月の大型SUV、EX90(24年後半に発売予定)と、今回のEX30、ともに気合いが入っています。
EX30のどこが気合いを感じるかというと、大きな特徴はドライブトレインです。つまりモーターとバッテリー。それに駆動方式があります。
このクルマには、3つのモデルが用意されています。ひとつは比較的廉価なバッテリーの1モーター車(後輪駆動)。価格も抑えめで(3万6000ユーロぐらいと言われています)、走行距離や加速性能も控えめになりそうとのこと。
もうひとつは、走行距離重視モデル。容量の大きな性能の高いバッテリーと1モーターの組合せで、巡航距離は480kmに達するそうです。
3つめは高性能モデル。大容量バッテリーと、高効率のモーターを前後に搭載していて、加速性能は、静止から時速100kmまでを3.6秒で駆け抜けます。これは、ポルシェ911カレラSより速く、アストンマーティンが先ごろ発表した4リッターV8ツインターボのDB12より、わずかコンマ1秒遅れる程度です。
パーツにリサイクル素材を多用
しかも、たんにEVというだけでなく、ボルボが本腰を入れて取り組むのは、カーボンフットプリント(二酸化炭素排出量)の減少。EX30はそこでも確固たる取り組み行っていると宣言します。
ここがボルボが独自の存在感を発揮しているところ。ボディに使われるアルミニウムや鉄にリサイクル材を使うことは当然ながら、内外装のプラスチックもリサイクルだし、シート表皮もリサイクル素材を使っています。
リサイクル材だからといって、貧乏臭くならないのがボルボのボルボたる所以。内装は4種類が用意され、どれも北欧の自然をテーマの中心に据えながら、色づかいや素材感の統一をはかっています。
日本での発売時期と価格は?
内装の全体のイメージは、北欧スカンディナビアらしさを意識したそうで、派手さはまったくなく、落ち着いた印象です。色づかいもさることながら、ドアの内張りなどの造形性も同様です。
ダッシュボードはほとんど物理ボタン類がなく、12.3インチの大型の縦型モニタースクリーンが眼につく程度です。ほとんどの操作はこのスクリーンで行なえますが、私がおもしろいと思ったのは、「カームcalm」という機能。北欧的な景色を呼び出すことができ、音楽もモニターの画像に合ったものが奏でられます。「長い時間のドライブなど、リラックスが必要なときに使って欲しい機能」と、ボルボカーズのデザイン部の担当者は教えてくれました。
スターウォーズの人気キャラクター(ボバ・フェット)からインスピレーションを受けたというフロントマスクは、先発のEX90と同様のグリルレスのテーマを踏襲。LEDヘッドライトは独自デザインが目を引きます。「新しい顔ですが、冷たいイメージを与えないよう、なんとか人間的と思ってもらえるよう努力しました」と、エクステリアデザイン統括のTジョン(ティージョン)・メイヤー氏は語ります。
欧州のいくつかの市場では、発表と同時に販売が開始されたEX30。日本における発売時期や価格についても、もうまもなく発表されることでしょう。ボルボの”やるなら徹底的にやる”という姿勢は、大したものだと思うのです。