身近なドアリングの危険。ドア開放事故の責任は?防止法は?
英語圏では「ドアリング(dooring)」といわれる「ドア開放事故」は、後ろから走ってきたバイクや自転車などが、開いたドアに衝突する交通事故のことだ。運転者や同乗者の不注意で起こることが多いこの交通事故について、責任と防止法を解説する。
ドアリングは同乗者の不注意で起こりやすい?
道路にクルマを駐停車して、運転者や同乗者がドアを開けると、すぐ後ろから自転車が……! このような状況に「ヒヤッ」とした経験はないだろうか。もし、開けたドアに衝突したバイクや自転車が転倒するとケガをする可能性は高いし、他の車両に轢かれたりする二次衝突の可能性もある。
このような事故を、日本では「ドア開放事故」などと呼ぶ。英語圏では「ドアリング(dooring)」と呼ぶらしい。車外を確認しないでドアを開ける不注意が原因だが、運転者に限らず、同乗者、特に後部座席の子どもがドアを開けてしまうケースも考えられる。
ドアリングで二輪車や自転車の運転者にケガを負わせたら?
では、運転者や同乗者のドアリングで事故が発生したら、運転者はどのような責任を負うのだろうか?
運転者自身がドアリングをしてしまった場合は、事故の発生状況によるものの、運転者が何らかの責任を問われる可能性は高い。道路交通法の第71条で、運転者に「ドアを開ける場合の安全確認」を義務付けていることからも明らかだ。
さらに、同法では、運転者の責任は「同乗者のドアを開ける行為」にも及ぶとしている。したがって、同乗者のドアリングによる事故であっても、運転者も責任を負う可能性がある。
ダッチ・リーチでドアリング防止!
このように危険な上に、運転者に対して安全確認が求められているドアリング。対策はどうすればいいのだろうか。
そのヒントが「自転車大国」オランダにあった。世界的にも国民ひとりあたりの自転車保有台数が多いオランダでは、度々、発生するドアリングの対策として、ドライバーに対し「ダッチ・リーチ」というドアの開閉方法を推奨しているという。
ダッチ・リーチはドアに近い手(右ハンドル車では右手)ではなく、ドアから遠い手(右ハンドル車では左手)でドアを開くようにするというもの。運転席のドアを左手で開けるには、体を右にひねらなければならない。このとき、自然と視線が後ろに向くので、接近してくる二輪車や自転車が認識しやすくなる。
とはいえ、「ドアを開く度にダッチ・リーチをするのは、なかなか面倒では……」という運転者のつぶやきも聞こえてきそうだ。だからこそ効果があるともいえるのだが……。ドアを開ける前に必ず車外を確認するクセが付けられるならいいのだが、それを忘れてしまうようなら、ダッチ・リーチもよいかもしれない。
一方、同乗者への対策だが、路肩等に停車した際には、車外を確認してからドアを開けるよう、必ず声がけをするようにしたい。特に子どもの場合は「ドアを開けないで」というと、逆にふざけて開けることもあるので、「ちょっと前を見て話を聞いて」など、注意の仕方も工夫した方がよさそうだ。
また、クルマ側の対策として、オートドアロックや集中ドアロック、チャイルドプルーフなどの機能もある。それぞれメリット、デメリットがいわれており今回は詳しくふれないが、ドアリングが心配なら、マイカーの機能についても調べてみるといいだろう。
以前「ドアパンチの被害者は泣き寝入り?やった&やられた際の対処法を含めて徹底解説」で取り上げたドアパンチ同様、ドアリングも何気なく起こしてしまいがちな交通事故だ。だからこそ、運転者はもちろん、同乗者もドアを開ける際には周囲の確認を徹底したいものである。
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