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最終更新日:2023.06.16 公開日:2021.11.04

見ても走っても面白い、ぐるぐる道のループ橋5選

ぐるりと円を描くように上ったり下ったりする道路「ループ橋」は、急勾配を緩和するために螺旋状に建設される構造物だ。その機能性はもちろんのこと、巨大建築としてのダイナミックさや美しさも魅力である。本記事では、景観や旋回する走り心地など、ループ橋の魅力を味わえる5つのループ橋を紹介しよう。

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河津七滝ループ橋を見上げた様子

河津七滝ループ橋を見上げた様子 Ⓒtokoriki – stock.adobe.com

 ループ(輪形のもの)という名称の通り、円を描くように立体交差しているループ構造の道路は、高速道路のジャンクションやインターチェンジなどでもよく見かける構造物だ。ループ線とも呼ばれ、線路もしくは道路の高低差を緩和するために螺旋状に敷設したものである。また、山間を越えるための道としても馴染み深く、トンネルの土木技術が未発達だった頃は、山の斜面を蛇行して上る道路の形状として一般的でもあった。この蛇行して上るループ線は、現在でも山地の高低差をカバーするためや、川や海での船舶の通航路確保のため、橋の両端(陸地部分)をループ状にして水面からの高さを確保するためなどにも利用されている。中でも、橋にこの建築手法が活用されている「ループ橋」は、ダイナミックな景観で観光地としても名高い場所が多数ある。早速、どのようなループ橋があるのか見てみよう。

河津七滝ループ橋(静岡県賀茂郡)

河津七滝ループ橋(静岡県賀茂郡)

©tokoriki – stock.adobe.com

 静岡県沼津市から下田市に至る国道414号、天城越えで有名な天城峠にある河津七滝(かわづななだる)ループ橋は、高低差45mの2重ループ橋で名所として知られている。ループ橋ができる以前は、山の中をつづら折れになった国道が通っていたが、1978年の伊豆大島近海地震の際に山腹の道路が断絶。その後、土砂崩れの教訓を生かし、安全な通行の確保や高低差を限られた範囲でつなげるという特長を持ったループ橋が採用されることとなり、1981年に完成した。

正式名称は「七滝高架橋」だが、「河津七滝ループ橋」と呼ばれることが多い。投げ縄のような珍しい形状なので、クルマで走っていると突然空に投げ出されたような浮遊感を覚えてしまいそうである。さらに、直径80mとループ橋の中でもコンパクトな円によって、運転中のドライバーは、アトラクションさながらの足を踏ん張る程の遠心力を感じることもできるのだとか。

雷電廿六木橋(埼玉県秩父市)

雷電廿六木橋(埼玉県秩父市)

©yumiko – stock.adobe.com

 埼玉県と山梨県を結ぶ国道140号「彩甲斐街道」の一部として建設された「雷電廿六木橋(らいでんとどろきばし)」は、2本の橋(廿六木橋270m、大滝大橋345m)で構成されているループ橋だ。全体でひとつのループに見えるようなデザインへの評価も高く、土木学会田中賞をはじめとした多数の賞を受賞している。ちなみに、「雷電」の名称は、秩父地方に伝わる巨人伝説「でえだんぼう」に基づいて創作された「雷電坊物語」に由来するそうだ。

山梨県側には滝沢ダムがあり、堤防を眺めることもできる。その景観をもっと楽しみたい人には、秩父市街側から滝沢ダムに向かって行く途中にある展望スポット「廿六木望郷広場」がおすすめだ。

奥出雲おろちループ橋(島根県仁多郡)

奥出雲おろちループ橋(島根県仁多郡)

©yoshida hirofumi – stock.adobe.com

 広島県と島根県をつなぐ国道314号の三井野原地区と坂根地区を結ぶ三井野原道路。その一部にかけられた奥出雲おろちループ橋は、高低差105mを一気に駆け上がることができる。11本の橋と3つのトンネルで結んでいる日本最大級の二重ループ橋で、最も高い場所の谷間にかかる三井野原大橋の赤く美しいアーチはフォトスポットとしても人気が高い。

ちなみに、奥出雲おろちループ橋がある奥出雲は、神話「ヤマタノオロチ」の舞台でもあり、このループ橋もそれをイメージして建設されたのだそう。その神話の神々しさを象徴するような緑深い自然の中にあるループ橋は、走行しながら美しい四季折々の自然を楽しむこともできる。

しまなみ海道サイクリングロード 来島海峡大橋ループ橋(愛媛県今治市)

しまなみ海道サイクリングロード 来島海峡大橋ループ橋(愛媛県今治市)

©sirius – stock.adobe.com

 しまなみ海道サイクリングロードといえば、海峡を横断できる自転車道として有名だ。瀬戸内海の島々を結ぶ西瀬戸自動車道に併設する全長約70kmのロードで、サイクリストの聖地としても名高い。その一部にあたる来島海峡大橋は、今治市と大島を結ぶ長大橋で3つの橋梁(来島海峡第一大橋、来島海峡第二大橋、来島海峡第三大橋)により構成された世界初の3連吊橋だ。この橋の高さまで上がるための自転車・歩行者専用道が、来島海峡大橋ループ橋となっている。ループ橋を上り切ったところに広がるのは、橋梁と瀬戸内海の自然が織り成す絶景。なんと、一番高い所から海面までは65mもあるのだとか。

ちなみに、絶景スポットとしては、国道161号を北側からループ橋に向かう途中にある「来島海峡展望館」もおすすめしたい。多島海景が織り成す絶景を一望できるのはもちろんのこと、来島海峡大橋の架橋技術などを紹介する展示室や土産購入を楽しむことも可能だ。

桃花橋(山梨県南アルプス市)

桃花橋(山梨県南アルプス市)

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 桃花橋は富士川西武広域農道に架かるループ橋だ。甲府盆地に位置しており、御坂山地越しに富士山を望める絶景スポットでもある。そのほかにも、甲府盆地の自然豊かな風景を楽しめるこのループ橋からは、毎年4月頃に見頃を迎える南アルプス市旧白根町に広がる桃畑「南アルプス桃源郷」を一望することもできる。桃花橋の中心にある「桃花橋公園」からは、オレンジ色にライトアップされたループ橋と南アルプス市の夜景を同時に楽しむこともできるので、ドライブの際に立ち寄る夜景スポットとしてもおすすめだ。

ダイナミックな構造美を見上げて楽しむも良し。カーブを曲がり、高所からの景色を楽しむも良し。ループ橋にはそんな魅力が溢れている。国内にはまだまだ多数のループ橋があるので、自分のお気に入りを見つけるためのドライブをしてみてはいかがだろうか。

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