高速道路の非常口はどこにつながっている?扉の向こうを調べてみた。
トンネルの中や高架の脇に設置されている高速道路の非常口。走行中に見かける機会はあっても、その扉の先に出たことのある人は少ないだろう。万が一、地震や火災、交通事故などに遭った時のために、非常口の先がどうなっているのかを調べてみた。
高速道路の非常口はどこにつながっている?
トンネルの中や高架の脇に設置されている高速道路の非常口。その名の通り、地震や火災、交通事故など、万が一の事態が発生した際、車道から避難するために設けられている。しかし、この非常口を実際に使ったことがある人、その先を見たことがある人は多くはないのではないだろうか。
首都高など高架橋の非常口
高速道路の非常口には設置場所によっていくつかのタイプがある。まずは、首都高のような高架橋式の高速道路や自動車専用道路に多く設置されている非常口の先を見てみよう。
高架橋などに設置されているタイプは、非常口の扉を開けるとすぐに非常階段につながっていて、非常階段を降りると地上に出ることができる。上動画を見ると分かるように、一般的なビルに設置されている非常階段と同じような構造になっている。
また首都高では、山手トンネルなどの地下トンネルの非常口も非常階段につながっている。こちらは地下にあるため、階段を登って地上に出るような構造だ。なお、山手トンネルの非常階段は、地上までの距離が長いため、途中に一時待機所が設けられていて、ベンチや緊急電話が設置されているそうだ。
トンネルに設置された非常口
次にトンネルの中に設置された非常口の先はどうなっているのだろうか。NEXCO東日本に聞いてみた。
NEXCO東日本「トンネルの非常口には、反対車線のトンネルにつながっているものと、別のトンネル(避難坑)につながっているものがあります。避難坑につながっているタイプは、トンネルを造る際の地質調査や水抜き、薬液注入などのために掘ったトンネルを避難坑として活用しているものがあります。例えば関越道・関越トンネルや中央道・恵那山トンネルなどがそのタイプです」
関越道・関越トンネルの入り口を見てみると、本線のトンネルの横にやや小さなトンネルが設けられているのが分かる。これが避難坑であり、本線に沿うような形で設置されている。横幅はクルマが余裕で入れるほどの大きさで、緊急車両が通行することも可能。しっかりと電灯なども設置されているようだ。
なお、高速道路のトンネルの非常口は、トンネルの長さと交通方式(対面交通、上下線分離交通)によって設置基準が定められている。関越トンネルのような長いトンネルには設置されているが、短いトンネルには設置されていない。
アクアラインの非常口は車道の下?
高速道路の非常口には、この他にもちょっと珍しいタイプのものがある。それは東京湾アクアラインの非常口だ。
NEXCO東日本「東京湾アクアラインのトンネルに設置された非常口は珍しいタイプです。非常口は、車道の下にある緊急避難路につながっています」
東京湾アクアラインは、約10kmの海底トンネル(アクアトンネル)と約5kmの橋りょう(アクアブリッジ)から成る、東京湾を横断する道路。そのアクアトンネルに設置された非常口は車道の下につながっているのだという。なんと、海底トンネルの車道のさらに下に緊急避難用の通路があったのだ。
アクアトンネルの非常口は扉を開けると階段ではなく滑り台になっているのも珍しい点だ。これは、避難時に集まった人々が押し合う事故が発生しないように、との配慮から設置されているそうだ。これなら確かに、足の不自由な方や、子供から高齢者まで安全に避難できるだろう。滑り台の数は上りに33基、下りに33基の合計66基。片側約300mごとに設置されている。
また、万が一、車道で火災が発生した時に、緊急避難路に煙が流れ込まないよう、緊急避難路に強制的に風を送り込んで気圧を高くするという工夫もされているそうだ。
上動画では、緊急避難路へ降りる滑り台を滑る様子や、避難路の中をクルマで進む様子などを見ることができる。NEXCO東日本は、YouTubeやWebサイト上にて非常口や緊急避難路の様子を公開するほか、オンラインでの体験ツアーなども実施しているので、興味がある人は参加してみてはいかがだろうか。
このように高速道路の非常口は、非常階段、反対車線、避難坑、緊急避難路などにつながっていて、設置場所によってさまざまな仕様があることがわかった。万が一、災害や交通事故に遭遇した時、慌てずに避難できるよう、非常口の先をあらかじめ確認しておくといいだろう。
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