EV充電規格の本命はどれ!? 日産がNACSを採用、米ホンダは合弁会社設立へ!
7月19日に日産は2025年から北米充電規格「NACS」を採用することを発表。続く7月26日、今度はホンダの米国現地法人はBMWグループ、ゼネラルモーターズら7社が北米でEV用高出力充電網を構築する合弁会社設立に合意した。
日産アリアがNACS対応へ一番乗り!
7月19日、日産は2025年から北米充電規格「NACS」を採用することでテスラ社と合意したことを発表。続く7月26日、今度はホンダの米国現地法人アメリカン・ホンダモーターとBMWグループ、ゼネラルモーターズ、メルセデス・ベンツグループら7社が北米でEV用高出力充電網を構築する合弁会社設立に合意したことを発表。北米でEV充電規格の覇権争いが加速している。
まずは日産の動きから確認してみよう。現在、日産の「アリア」は急速充電にCCS1規格(Combined Charging System 1)を採用しているが、2024年以降に販売されるアリアにNACSのプラグに接続可能な充電アダプターを提供するという。
さらに日産は、2025年以降は北米向けに生産するその他のEVモデルにおいてもNACS用充電ポートを搭載することも発表。これでテスラの急速充電ネットワーク「スーパーチャージャー」での充電にも対応するようになり、さらなる日産のEVユーザー獲得を狙う。
テスラのスーパーチャージャー(SC)は、2022年11月に同社の急速充電規格であるTPC(Tesla Proprietary Connector:テスラ独自コネクタ)を発展させ、新たに北米充電標準規格(NACS)として公開されたものだ。充電コネクタのサイズはCCSの半分程度とコンパクトになりながら、最新型のV3では最大250kWの高出力を実現している。SCは2022年末時点で世界中に約4万基設置されており、日本国内でも57拠点に264基が稼働している。
EV用高出力充電網を構築する合弁会社が北米で誕生?
次に、7月26日にホンダの米国現地法人アメリカン・ホンダモーター、BMWグループ、ゼネラルモーターズ、メルセデス・ベンツグループ、現代自動車(ヒョンデ)、起亜自動車(キア)、ステランティスN.V.の7社が、北米でのEVの普及加速を目指し、EV用高出力充電網を構築する合弁会社設立に合意したと発表した。
新設する合弁会社では、2024年の夏にアメリカで充電ステーションを開設し、大都市圏や主要幹線道路沿いでも順次、充電ステーションを拡大していく予定だ。
このステーション内には高出力の急速充電器を複数設置し、充電規格であるCCSやNACSに対応したEVが充電可能となる。また、消費電力は環境に配慮し再生可能エネルギーのみでまかなうつもりだという。今後はアメリカとカナダで少なくとも3万基の充電器を設置し、EVユーザーが利用しやすい環境を目指すとしている。
ユーザーはいつEVに乗り換えればいい?
世界各国の自動車メーカー同士が協力して新たな充電規格やサービスを開発・提供するのはよいとしても、こうしてサービスが乱立すると、私たちユーザーはどれを選ぶべきか困惑してしまう。
日本での主流は国内自動車メーカーや充電器メーカーに協議会が協力して開発した「CHAdeMO(チャデモ)」であり、欧米ではフォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェ、メルセデス・ベンツ、BMWらが開発した「CCS2」。また、ゼネラルモーターズ、フォード・クライスラーが開発した「CCS1」があり、EV大国になりつつある中国は「GB/T」だ。
ちなみに、CHAdeMO協議会は中国の電力企業連合会と共同で次世代急速充電規格「ChaoJi(チャオジ)」の開発を発表。こちらはGB/TとCCSとの互換性を持たせ、アジアを中心に世界での普及を狙っていくという。ただ、今回発表された合弁会社のステーションの対応規格には、CHAdeMOもChaoJiも確認できなかった。
一時は世界で最も広がったCHAdeMOも、最近は押され気味。今後充電器の仕様がどうなっていくかは余談を許さないが、ユーザーとしては仕様がバラバラなのは不便かつ車や充電施設のコスト削減にも支障となるため、メリットはない。ぜひ、仕様の統一を進めてほしいものである。
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