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最終更新日:2023.05.19 公開日:2023.05.19

新型ランボルギーニは一体何がスゴイのか? 「ルヴエルト」が受け継ぐ伝統と革新性

アヴェンタドールに変わる、ランボルギーニの最上級モデルがついに登場した。その名もルヴエルト。PHVとなった新世代スーパースポーツを、モータージャーナリストの大谷達也が解説する。

文=大谷達也 写真=ランボルギーニ S.p.A.

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ランボルギーニ ルヴエルト|Lamborghini Revuelto

ランボルギーニの伝統を受け継ぐルヴエルト

 ランボルギーニの最新フラッグシップモデル、ルヴエルトが発表されました。

 1963年にランボルギーニ初のモデルとして誕生した350GT以来、同社のフラッグシップモデルは必ず自然吸気式のV12エンジンを搭載してきました。350GT(とその後継モデルにあたる400GT)はフロントエンジンの後輪駆動でしたが、2作目のミウラでは、エンジンをキャビン後方に搭載するミドシップ方式をいち早く導入。

 ただし、このときはエンジンを進行方向に対して横向きに積む横置き式が採用されました。ロードカーでV12エンジンを横置きミドシップとしたのは極めて異例で、量産車に限っていえばおそらくミウラだけでしょう。

 これに続くランボルギーニ・フラッグシップモデルが、あのスーパーカーの代表作というべきクンタッチ(カウンタック)でした。しかも、クンタッチでランボルギーニはついにV12エンジンを縦置きのミドシップとしたのです。

 それ以降、ディアブロ、ムルシエラゴ、アヴェンタドールとランボルギーニのフラッグシップモデルには自然吸気式V12エンジンを縦置きミドシップにする伝統がほぼ50年間にわたって続いてきました。

 エンジンを縦置きするミドシップモデルは特に珍しくありませんが、ランボルギーニのフラッグシップモデルだけは極めて特殊なレイアウトを採用してきました。通常、縦置きミドシップモデルでは、キャビンの直後にエンジンを積み、ギアボックスはそのさらに後方に搭載するのが一般的。そしてディファレンシャルギアはエンジンとギアボックスの中間に配置するのが主流です。

 この場合、ギアボックスはリアタイヤの後方にぶら下がる格好となり、重量配分の面ではあまり好ましくありません。また、キャビンの後方にエンジンとギアボックスを縦に並べるとボディ全長が長くなりがちな点もデメリットのひとつといえます。

 そこでクンタッチの開発に際して、ランボルギーニは革新的な手法を編み出します。通常の縦置き式ミドシップとは逆の、ギアボックス→エンジンの順でパワートレインを積んだのです。しかも、ギアボックスをセンタートンネル(運転席と助手席を隔てる”膨らみ”のこと)内に押し込むことで、V12エンジンの縦置きミドシップモデルながら全長を限りなく詰めることに成功したのです。

 さらにクンタッチは、極端に背が低いくさび形をしたデザインが一大旋風を巻き起こし、その後、誕生したランボルギーニのフラッグシップモデルは、前述したパワートレインのレイアウトとともに、すべてこの特徴的なデザインを継承することとなります。

ルヴエルトの革新的レイアウト

 こうした、半世紀近くに及ぶ伝統の一部が、レヴエルトでついに崩されました。

 新開発した自然吸気式V12エンジンをキャビン後方に縦置きするところまでは、レヴエルトもこれまでのランボルギーニ・フラッグシップモデルと同じ。ただし、ギアボックスはエンジンの後方、つまり一般的な縦置き式ミドシップのレイアウトとされたのです。

 これは、従来ギアボックスを収めていたセンタートンネル内にバッテリーを搭載するために採られた措置。そう、ルヴエルトはランボルギーニ史上初のプラグインハイブリッド・モデル(PHV)で、その大容量の高圧バッテリーを搭載するスペースとしてセンタートンネル内が割り当てられたのです。

横から見たレヴエルトのパワートレインのレイアウト。PHVとなった新型はフロントに2基、リアに1基のモーター、中央に大容量のバッテリーを搭載。ギアボックスの位置はV12エンジンの後方に。

 ただし、一般的な縦置き式ミドシップと同じようにギアボックスをエンジン後方に積めば、全長が長くなり、重量配分も悪化します。そこでランボルギーニは、通常、前後方向に長いギアボックスを、レヴエルトでは横向きとすることでパワートレインの全長を詰め、比較的コンパクトな外観と良好な重量配分を実現しました。

 ルヴエルトでプラグインハイブリッド方式を採用したのは、地球温暖化現象の原因のひとつとされるCO2排出量を削減するため。そう、ついにCO2削減の流れはスーパースポーツカーの世界にも及んできたのです。ランボルギーニは2024年までに全モデルをPHVとし、製品が排出するCO2を半減することを目標として掲げています。そしてルヴエルトは、その第一歩にあたるモデルなのです。

V12エンジン+3モーターのモンスターマシン

 ここまでに述べた点を除けば、ルヴエルトはランボルギーニの伝統に忠実なモデルといえます。外観はご覧のとおりのウェッジシェイプで、ドアは跳ね上げ式。Y字型や多角形を多用した造形もランボルギーニらしいものです。

 前述のとおり自然吸気式の超高回転型のV12エンジンを積むこともランボルギーニの伝統そのもの。その排気量は6.5リッターで、825psを9250rpmという超高回転で発揮します。くわえてフロントに2基、リアに1基のモーターを搭載。フロントモーターの最高出力は1基あたり150psで、左右輪を個別に駆動することによってクルマが積極的にコーナリングしようとするトルクベクトリング機能を実現しています。

 なお、V12エンジンと3基のモーターを合計したシステム出力は実に1015psに到達。この結果、0-100km/h加速を2.5秒で駆け抜け、最高速度は350km/h以上を豪語するモンスターマシンが完成しました。

 ちなみに、ランボルギーニのモデル名には歴史的な闘牛に由来するものが少なくありませんが、ルヴエルトの場合も1880年代にスペイン・バルセロナで活躍した闘牛の名にちなんでいるとか。また、ルヴエルトはスペイン語で「混ぜる」を意味しますが、これはエンジンとモーターを「混ぜた」ハイブリッド・モデルであることを示唆しています。

 ランボルギーニの次世代モデルというべきルヴエルトのセールスは好調で、発表時点ですでに2年分の生産台数に相当する注文が舞い込んでいるそうです。

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